ノイズを除去する

ノイズのタイプ

レンダリングからノイズを除去する最初のステップは、ノイズの原因を特定することです。ノイズには次のような原因があります。

不十分なサンプリング:

その他:

ほとんどの場合、ノイズはサンプリングの不足が原因で発生しますが、不適切なレイのサンプリングを増やしてもレンダリング時間が増加するばかりで、ノイズの除去には役に立ちません。通常、アーティストはレンダリング時間やレイの数という制約のもとで作業しなければならないため、できるだけ効率的にレイを割り当て、最も効率的な方法でノイズを最小限に抑えようとします。そのため、DOF ノイズを除去するためにカメラ(AA)サンプル数を増やす必要がある場合は、他の設定を下げてレンダリング時間を短くする必要があります。 ただし、DOF またはモーション ブラーに問題がない場合でも、カメラ(AA)サンプル数を増やせばすべてのノイズは修正されますが、不要なレイが原因でレンダリング時間が長くなることがあります。

注:

ノイズ除去の手順については、ノイズ ワークフローを削除するの図に従ってください。

次に、すべてのサンプルで 1 に設定した、非常にノイズが多いシーンを示します。

すべてのサンプル: 1 最終的なサンプル設定

ノイズを識別するための最も効果的な方法は、AOV のレンダリングです。これにより、不必要に設定を調整する必要を減らすことで、時間を節約できます。

AOV

diffuse_direct diffuse_indirect specular_direct
specular_indirect sss transmission

次の例では、スムーザー オプションが 10 のサンプルを示します。これは非常に大きい値です。説明のために、カメラ(AA)と他のすべてのサンプルを 1 に設定し、ノイズ領域とスムーズな領域を比較するため、ここでのみ使用します。通常、カメラ(AA)サンプルは 4 ~ 8 で、乗数のような役割を果たし、同様の値が他のサンプルにも必要となります。

モーション ブラーと被写界深度のノイズ

モーション ブラー ノイズは移動するジオメトリの軌跡に発生し、DOF ノイズは焦点範囲外に発生します。

モーション ブラー

すべてのサンプル: 1 カメラ(AA) のサンプル数: 10

被写界深度

カメラ(AA) のサンプル数: 1 カメラ(AA) のサンプル数: 10

被写界深度とモーション ブラーによるノイズがあるかどうかは、アルファ チャネルを調べることで確認できます。

モーション ブラー アルファ 被写界深度アルファ

モーション ブラーと被写界深度のノイズは、カメラ レイの不足が原因のため、解決する唯一の方法は、カメラ(AA)サンプルを増やすことです。カメラ(AA)サンプルの実際の数はこの数の 2 乗です。カメラ(AA)サンプルが 4 の場合、キャストされるレイは 16 です。 カメラ(AA)サンプルを増やすと、他のサンプルも増えてしまうため、カメラ(AA)サンプル以外は減らして補正する必要があります。

カメラ(AA)サンプルを増やすと、レンダリング時間に大きく影響します。モーション ブラーまたは DOF が問題ではない場合、カメラ(AA)サンプルは、他のノイズ タイプを修正するための最後の手段として検討すべきです。

拡散反射光ノイズ

すべてのサンプル: 1 diffuse samples: 10

間接拡散反射光ノイズは、一般的なタイプのノイズです。このノイズの原因を確認する最も簡単な方法は、間接拡散反射光 AOV を確認することです。もう 1 つの方法は、間接拡散反射光がオフになるように拡散反射光サンプルを 0 に設定することです。ノイズが消えた場合は、それが間接拡散反射光によって発生していたことになります。

拡散反射光サンプルがゼロより大きい場合、拡散反射光サーフェスを交差するカメラ レイによって間接拡散反射光レイが発生します。レイの方向は半球面をランダムにサンプルしたものです。レイが不十分で環境からの値の範囲を解決できない場合は、ノイズが発生します。 拡散反射光サンプルを増やすと、ノイズを除去することができます。

鏡面反射光ノイズ

すべてのサンプル: 1 specular_samples: 10

間接鏡面反射光ノイズは、specular_roughness パラメータが 0 よりも大きい場合に発生します。このノイズの原因を確認する最も簡単な方法は、間接鏡面反射光 AOV を確認することです。もう 1 つの方法は、ブラーが適用された反射が除去されるように鏡面反射光サンプルを 0 に設定することです。ノイズが消えた場合は、間接鏡面反射光によって発生していたことになります。

間接鏡面反射光ノイズは、鏡面反射光サンプルが不足すると発生します。これらのサンプルは、鏡面反射 BRDF でウェイト付けされた半球面上で積分された反射間接放射を計算する場合に発生するレイの数を制御します。レイの正確な数はこの値の 2 乗になります。 この数を増やすと、間接鏡面反射光ノイズが減少します。 サンプリングはそれぞれのカメラ(AA)サンプルに対して実行されるため、カメラ(AA)サンプルと鏡面反射光サンプルの両方の値が大きいと、レンダリング時間が長くなる可能性があります。

透過ノイズ

すべてのサンプル: 1 transmission_samples: 10。その他すべてのサンプル: 1

透過ノイズは、specular_roughnessが 0 よりも大きい場合、透明オブジェクトのぼけた屈折で顕著に表れます。この原因を確認する最も簡単な方法は、transmission AOV を確認することです。もう 1 つの方法は、ぼけた屈折が除去されるように 透過サンプルを 0 に設定することです。ノイズが消えた場合は、透過によって発生していたことになります。

透過ノイズは、透過サンプルが不足すると発生します。透過サンプルは、マイクロファセットに基づいた光沢屈折評価のシミュレートに使用するサンプル数をコントロールします。レイの正確な数はこの値の 2 乗になります。 透過を使用してシェーダのノイズを削減するには、この数字を増やします。

SSS ノイズ

すべてのサンプル: 1 sss_samples: 10

サブサーフェス スキャッタリング(SSS)ノイズは、SSS を有効にした standard_surface シェーダを使用しているサーフェス上に発生します。確認するには、SSS AOV をチェックします。SSS サンプルを増やすと、SSS ノイズを除去することができます。

直接鏡面反射光とシャドウのノイズ

直接鏡面反射光とシャドウのノイズは、ライト サンプルが不足すると発生します。通常、直接鏡面反射光のノイズを除去するには、小さなサンプル数が必要とされますが、シャドウのノイズを除去するには、多くのサンプルが必要になることがあります。光源の半径が大きいほど、シャドウは柔らかくなるため、シャドウのノイズを除去するには、多くのサンプルが必要になります。

ライト サンプル: 1 ライト サンプル: 10
ライト サンプル: 1 ライト サンプル: 10
ヒント:

ほとんどのシーンには、3 ~ 4 個のライト サンプルで十分です。

シャドウ ノイズは間接拡散反射光ノイズと頻繁に混同されます。シャドウを柔らかくするため、特に大きな半径のライトの場合に混同されます。シャドウのノイズを確認するには、direct_diffuse AOV を調べます。 または、拡散反射光鏡面反射光のサンプル数を 0 に設定します。これにより、GI が除去され、それにより直接光成分だけを 抜き出すことができます。間接鏡面反射光ノイズと間違えてしまうことがあるので、直接鏡面反射光ノイズの特定には注意が必要です。直接鏡面反射光は、物体表面におけるライトそのものの反射です。これは、周囲のオブジェクトの反射をカラーと強度に基づいて区別するために役立ちます。

また、ノイズは、specular_weight の値が高いシェーダを使用する細いジオメトリの鏡面反射光ハイライトにも発生します。カメラ(AA)サンプルの数を増やすと、1 つのポイントに対するノイズの影響を抑えることができます。ただし、カメラ(AA)サンプルを増やしても、アンチエイリアシング アーティファクトは発生します。specular_roughness の値を大きくすると、このタイプのノイズは減少します。ライトのサイズを大きくして、その強度を小さくしても、この状況に役立ちます。

specular_roughness: 0.2 specular_roughness: 0.5

大気散乱ノイズ

すべてのサンプル: 1 atmosphere_volume samples: 10

Atmosphere_volume は、ライト ビームのシャドウ処理された領域内に発生します。このノイズは、Atmosphere_volume シェーダのサンプルが不足すると発生します。サンプルは、ボリューム密度にしたがって配分されます。サンプルが多いほど、結果の品質が向上します。

輝点ノイズと火花

一般的に、輝点ノイズ(明るい「スパイク」タイプのノイズ)は、輝きがあり、粗さが低く、光沢のあるサーフェス上に強いライトが反射すると生成されます。通常、数百のサンプルが最終的なピクセルのカラーに関係します。サンプルの 1 つで鏡面反射光レイの値が大きい場合(強いライトの反射が原因)、多くのサンプルの値は小さくなり、1 つのサンプルの値だけが膨大な数になります。この 1 つのサンプルは、ピクセル全体を白くしてしまいます(「輝点ノイズ」)。

クランピング

サンプルのクランピングは、この種類のノイズを除去するのに役立ちます。大きなサンプルの値をクランプすると、値が大きく外れた 1 つのサンプルを弱めて、最終的なカラーにできるだけ影響しないようにすることができます。ただし、これはレンダリングの最終的なダイナミック範囲に影響します。使用の際は注意してください。

ライト減衰フィルタ

輝点ノイズは、特に光源がライトのキャビネットやカバーのようにジオメトリに非常に近い場合など、非常に明るいホットスポットからの間接拡散反射光によって発生することもあります。ライトの逆二乗の減衰により、近くのサーフェスが非常に明るく照らされます。回避するには、開始値が非常に小さいライトの減衰フィルタを追加し、ライトに非常に近いサンプルが計算されないようにします。これは慎重に使用する必要があります。

その他の検討事項

クリーンなレンダリング

DOF なし

カメラ(AA) サンプル: 7、拡散反射光サンプル: 3、鏡面反射光サンプル: 2、透過サンプル: 6、sss サンプル: 4、*ライト サンプル: 3。

DOF あり

カメラ(AA) サンプル: 15、拡散反射光サンプル: 1、鏡面反射光サンプル: 1、透過サンプル: 4、sss サンプル: 3、ライト サンプル: 3。

注:

レンダリングのノイズを特定する場合は、AOV をレンダリングして表示すると便利です。これにより、ノイズのタイプを分離して、関連するサンプルを調整できます。一般的なノイズ タイプを特定する優先順序を以下の表に示します。これは一般的なガイドです。シーンによって状況が異なることに注意してください。

ノイズが現れる場所 調整するサンプル
アルファ チャネル カメラ(AA)のサンプル数
間接拡散反射光 拡散反射光のサンプル数
直接鏡面反射光(鏡面反射光ノイズ) ライト サンプル
直接拡散反射光(シャドウ ノイズ) ライト サンプル
間接鏡面反射光 鏡面反射光のサンプル数
透過 透過のサンプル数
SSS (直接と間接) SSS (直接と間接)のサンプル数
ボリューム ボリュームのサンプル数(ライトにもボリューム サンプルがあります)

ノイズとサンプリング

単純なカラーで構成されたシーンがあり、写真の平均カラーを知りたい場合は、サンプルの数を減らして、結果を平均化することで、任意の点のカラーを簡単に把握することができます。

シーン全体のカラーが 1 つの場合、正確な平均値の取得に必要なサンプルは数個のみです シーンの半分が 1 つのカラーで、残りの半分が他のカラーである場合、サンプル数を増やすと、適切な平均値が得られます

ただし、複雑なシーン(キャラクタを使用した場合など)で、使用するサンプル数が少ししかない場合は、半分が黄色で、残りの半分が青になることがあります。場合によっては、すべてのサンプルでどちらかのカラーになることがあります。まれに、ごく一部のシーンのキャラクタが黄色であっても、すべてのサンプルのキャラクタが黄色になることがあります。平均値を改善する方法は、カメラ(AA)サンプルの数を増やすことです。

カメラ(AA) のサンプル数: 4 (低品質) カメラ(AA) のサンプル数: 4 (中品質) カメラ(AA) のサンプル数: 5 (高品質)
注:

カメラ(AA)サンプルの数を増やすと、ノイズが除去され、イメージの品質が向上します。

注:

サンプリングの詳細については、こちらこちらを参照してください。