図面で作業しているときに、同じ一連のコマンドを何度も繰り返していませんか?たとえば次のような操作です。
タイトル ブロックを挿入し、最初の図面設定プロセスの一部としていくつかの画層を定義する。
同じ一連の手順を実行して、クライアントの図面をクリーンアップする。
古い図面で定義されている CAD 標準仕様を更新する必要がある。
AutoCAD ユーザ インタフェースから一連のコマンドを実行する代わりに、スクリプト ファイルを使用して、同じ入力のコマンド シーケンスを実行することができます。スクリプトは、拡張子が SCR のプレーン テキスト ファイルで定義されます。
注: ビデオには、音声または字幕はありません。
注: 手順、イメージ、ビデオは、お使いのバージョンの製品と若干異なる場合があります。
コマンドとシステム変数に関する知識を活用する
スクリプトを使用すると、コマンドとシステム変数に関する知識を活用して、反復的な作業を自動化できます。AutoCAD ユーザ インタフェースからコマンドを開始し、コマンド プロンプトに対して値を入力したりオプションを選択したりするする代わりに、メモ帳などのアプリケーションを使用して、コマンド シーケンスをプレーン テキスト ファイルに入力して保存します。
次に、tblk という名前のブロックを挿入するコマンド シーケンスの例を、コマンド プロンプトに対する入力形式で示します。
Command: -INSERT
Enter block name or [?] <tblk>: tblk
Units: Inches Conversion: 1.0000
Specify insertion point or [Basepoint/Scale/X/Y/Z/Rotate/Explode/REpeat]: 0,0
Enter X scale factor, specify opposite corner, or [Corner/XYZ] <1>: 48
Enter Y scale factor <use X scale factor>: 48
Specify rotation angle <0>: 0
次に、上記のコマンド シーケンスがスクリプト ファイル内でどのように記述されるかを示します。
-INSERT
tblk
0,0
48
48
0
ほとんどのコマンド シーケンスは、次のように、スクリプト ファイル内の同じ行に配置することもできます。
-INSERT tblk 0,0 48 48 0
スクリプト ファイルを作成する
スクリプト ファイルを作成する前に、次の点を理解しておく必要があります。
ヒント: スクリプト ファイルを作成する前に、AutoCAD のコマンド プロンプトに対してコマンド、オプション、値を入力して、正しい順序になっていることを確認します。これを行うことで、コマンド ウィンドウからコマンド履歴をコピーして、メモ帳に貼り付けることもできます。
貼り付けた後、プロンプトとメッセージを除去して、必要なコマンドと入力のみを残すことができます。
次の手順では、次のようなスクリプト ファイルを作成します。
title_block という名前の画層を作成する
サイズが 828 x 552 単位の長方形を描く
[端点]、[中点]、[交点]定常オブジェクト スナップを設定する
直交モードを有効にし、グリッド モードを無効にする
AutoCAD で、コマンド プロンプトに対して notepad と入力し、[Enter]を 2 回押します。
メモ帳が空のドキュメントで開きます。
メモ帳で、次のテキストを入力し、各行の末尾で[Enter]を押します。最後の行の後に 1 行の空白行が必要です。
注: -LAYER コマンドを完全に終了するには[Enter]を 2 回押す必要があるため、ここでは -LAYER コマンドの後に空白行が必要です。
-LAYER m title_block c 6 title_block
RECTANG 0,0 828,552
OSMODE 35
ORTHOMODE 1
GRIDMODE 0
ZOOM E
注: 実際には、長方形を描くのではなく、前のセクションで示したように、-INSERT[ブロック挿入]コマンドを使用してタイトル ブロックを挿入します。
メニュー バーで、[ファイル] > [名前を付けて保存]をクリックします。
[名前を付けて保存]ダイアログ ボックスで、[ドキュメント] フォルダを参照します。
[ファイル名]テキスト ボックスで、既定の文字列を選択してから、drawing_setup.scr と入力します。
[ファイルの種類]ドロップダウン リストをクリックし、[すべてのファイル (*.*).
[保存]をクリックします。
ヒント: スクリプトには、コメントを含めることができます。スクリプト内のコメントはセミコロンで始まります。セミコロンの右側はすべて無視されます。
; Creates a new layer
-LAYER m title_block c 6 title_block
; Draws a rectangle
RECTANG 0,0 828,552
…
スクリプト ファイルを管理する
スクリプト ファイルは任意のフォルダから実行できますが、AutoCAD サポート ファイルの検索パスの一部として識別される共有フォルダにスクリプト ファイルを保存することをお勧めします。これにより、スクリプト ファイルが他のカスタム ファイルと一緒に保存され、誰もが簡単に実行できるようになります。
注: [オプション]ダイアログ ボックス(OPTIONS[オプション]コマンド)の[ファイル]タブで、[AutoCAD サポートファイルの検索パス]設定のフォルダを管理することができます。[AutoCAD サポートファイルの検索パス]設定にフォルダを追加する方法については、「
サポート ファイルの検索パスを変更するには 」を参照してください。
図面でスクリプト ファイルを実行する
スクリプト ファイルを作成した後、SCRIPT[スクリプト実行]コマンドを使用して AutoCAD で実行することができます。
次の手順では、前の「スクリプト ファイルを作成する」セクションで作成した drawing_setup.scr ファイルを実行する方法を示します。
新しい図面を作成します。
リボンの[管理]タブ > [アプリケーション]パネル > [スクリプト]をクリックします。 検索
[スクリプト ファイルを選択]ダイアログ ボックスで、drawing_setup.scr ファイルを参照して選択します。
[開く]をクリックします。
図面には、画層 title_block にサイズが 828 x 552 の長方形が表示されます。また、ステータス バーを見ると、3 つの定常オブジェクト スナップが有効になっており、直行モードが有効になっており、グリッド モードが無効になっていることがわかります。
SCRIPT[スクリプト実行]コマンドに加えて、次の方法でスクリプト ファイルを実行することもできます。
作図ウィンドウにドラッグ アンド ドロップする(Windows のみ)
デスクトップ ショートカットで、/b (Windows)または -b (Mac OS)コマンド ライン スイッチを使用する
コマンド ライン スイッチの詳細については、「概要 - 起動をカスタマイズする 」を参照してください。
リボンからスクリプトを実行する
SCRIPT[スクリプト実行]コマンドを使用してマクロを定義し、リボンのボタンから特定のスクリプトを実行することができます。次に、SCRIPT[スクリプト実行]コマンドを開始し、drawing_setup.scr という名前のスクリプト ファイルを実行するマクロを示します。
^C^C_script drawing_setup.scr
リボンのカスタマイズについては、「お試しください: 独自のリボンをデザインする 」を参照してください。
複数の図面でスクリプト ファイルを実行する
CAD 標準仕様を変更したり、図面クリーンアップ操作を実行したりする必要がある場合など、複数の図面ファイルでスクリプト ファイルを実行したい場合があります。各図面を開いて目的のスクリプト ファイルを実行することもできますが、AutoCAD ScriptPro ユーティリティを使用する方が効率的です。ScriptPro は、Windows でのみ使用可能なユーティリティで、選択した図面ファイルでスクリプト ファイルを実行できます。
注: ScriptPro は、AutoCAD LT では使用できません。
ScriptPro は、次からダウンロードすることができます: http://knowledge.autodesk.com/ja/support/autocad/downloads/caas/downloads/content/autodesk-customization-conversion-tools.html
注: ScriptPro をインストールするには、管理者の権限が必要です。
次の手順では、ダウンロードしてインストールした後、ScriptPro を使用する方法を説明します。
Windowsで、[スタート]メニュー> [Autodesk] > [ScriptPro.exe]をクリックします。
ScriptPro が表示されます。
ScriptPro の[List]パネルで、[Wizard]をクリックします。
ScriptPro ウィザードの[Step 1]で、[Browse]をクリックし、選択した図面で実行するスクリプト ファイルを指定します。
[Step 2]で、[Add]をクリックします。追加する 1 つまたは複数の図面を参照して選択し、[Open]をクリックします。
注: 選択するすべての図面がフォルダ内にある場合は、[Add from Folder]をクリックし、スクリプト ファイルを実行する図面ファイルを含むフォルダを選択します。
[Step 3]で、インストールされている AutoCAD のバージョンを選択します。
ヒント: アプリケーション バージョンのリストにある accoreconsole.exe を使用すると、バックグラウンドで AutoCAD のインスタンスを使用して ScriptPro を実行することができます。これにより、選択したすべての図面の処理にかかる時間を短縮できます。
[Finish]ボタンをクリックします。
必要に応じて、[Save As]をクリックし、図面リスト ファイルの場所と名前を指定します。
図面リスト ファイルを使用すると、スクリプト ファイルを再実行する必要がある場合に、選択した図面ファイルを ScriptPro にロードし直すことができます。
[Run]パネルの[Checked]をクリックします。
チェックした各図面の処理が開始され、進行状況に応じて[Status]列が更新されます。
ScriptPro が終了すると、生成されたログ ファイルを確認するように求めるプロンプトが表示されます。[Yes]または[No]をクリックして、ファイルを表示します。
注: 1 つまたは複数の図面が失敗した場合は、「ScriptPro を使用する際のヒント」セクションを参照して、問題の解決方法に関するヒントを確認してください。
ScriptPro を使用する際のヒント
注: ScriptPro は、AutoCAD LT では使用できません。
ScriptPro では単一のスクリプト ファイルしか選択できませんが、AutoCAD 2016 以降、SCRIPTCALL[スクリプト呼び出し]コマンドを使用することで、スクリプトから他のスクリプト ファイルを呼び出すことができます。これにより、ユーティリティを複数回実行しなくても、ScriptPro を使用して選択した図面で複数のスクリプトを実行することができます。
図面で ScriptPro が失敗した場合、スクリプト ファイルを実行せずに AutoCAD を待機させておくための遅延時間を増やす必要がある場合があります。これは、図面に外部参照図面またはその他の外部参照ファイルが含まれている場合に発生することがあります。ScriptPro の[Options]パネルの[Settings]をクリックします。次に、[Settings]ダイアログ ボックスで、スライダを右に動かして[Delay During Process (seconds)]の値を大きくします。
スクリプトが期待どおりに実行されない場合は、ScriptPro の[Settings]で、[Run the Tool in Diagnostic Mode]を有効にすることができます。この設定により、完全なコマンド ログが有効になり、スクリプトがどのように失敗しているかを確認することができます。このオプションの場所については、上図を参照してください。
システム変数
説 明
既定値
保存場所
CMDDIA
DIMEDIT[寸法編集]コマンドと QLEADER[クイック引出線記入]コマンドのインプレイス テキスト エディタの表示、および AutoCAD ベースの製品での特定のダイアログ ボックスの表示をコントロールします。
1
レジストリ
FILEDIA
ファイル選択ダイアログ ボックスの表示/非表示をコントロールします。
1
レジストリ
スクリプト ファイルは、エラーを減らし、反復ワークフローの効率化に役立ちます。次回、別の図面でコマンド シーケンスを実行していることに気付いた場合、この記事で学習したことに基づいて、スクリプト ファイルを作成できるようになることを期待します。