次の仮定を繊維の構成破損基準の作成に使用します。
繊維破損は、繊維の平均応力成分 、、 の影響を受けると仮定されます。
繊維破損は、繊維の平均応力成分 、、 に依存しないと仮定されます。
繊維破損の生成における の寄与は、 が引張か圧縮かによって異なります。
繊維構成は横等方性であると仮定されるため、結果的に繊維破損に対する と の影響を区別することはできません。
一方向複合材料では、繊維構成は横等方性材料と見なされますが、繊維破損は等方性イベントと仮定されます。つまり、繊維破損の生成に寄与する応力成分の特定の組み合わせに関係なく、繊維構成の剛性に対する繊維破損の影響は同じです。具体的には、繊維破損の発生時に、繊維の各平均弾性率(、、、、、)が、元の値のユーザ定義のパーセンテージ(既定は 1% )まで低減し、繊維の平均ポアソン比(、、)は変更されないとみなします。
織物複合材料では、繊維破損は直交異方性イベントであると仮定され、具体的には、、、 は劣化する一方で、、、 は変化しません。
これらの 5 つの基本的な仮定を使用して、ワイオミング大学とオートデスクの研究者は、繊維の平均応力成分の二次関数として表される、次の繊維破損基準を開発しています。
数量 (i = 1,4) は、繊維の平均応力状態の 2 つの横等方性不変量です。
数量 (j = 1,4) は、繊維破損基準の調整係数です。方程式 26 で、上付き記号 ± が係数 の前に置かれている場合、この値は関連する繊維の平均応力が引張か圧縮かに応じて異なり、このため、 には 2 つの可能な値があることを示します。したがって、繊維破損基準(方程式 26)には、複合材料の測定された強度を使用して決定する必要がある合計 3 つの調整係数が含まれています。
不変量を構成している繊維の平均応力成分が合計の応力項になっていることに注意してください。つまり、機械的応力と熱応力の両方が含まれます。熱残留応力計算をアクティブにしている場合は、材料の硬化後冷却により生じた繊維構成内の残留応力が、外部から適用されるどの機械的荷重や熱荷重よりも前に、合計の応力に明示的に含まれます。これらの残留応力は、繊維と母材構成とで熱膨張係数が違うことによって引き起こされます。通常、複合材料の硬化後冷却時には、母材構成は繊維構成よりも大きく収縮しようとします。したがって、母材構成は引張熱残留応力を示し、繊維構成は圧縮残留応力を示します。これらの熱残留応力がどのように決まるかの詳細については、「熱残留応力」のトピックを参照してください。
全体として、母材と繊維の構成破損基準には、一方向複合材料では合計 13 個の調整係数、織物複合材料では 6 個の調整係数があります。これらの係数値を決定する手順については、後で説明します(「一方向複合材料の破損基準」を参照)。