サージ アドバイザー

InfoWorks WS Pro のシミュレーションには追加でさらに別の結果を生成できるオプションがあり、この結果を使用すると、一時水圧が原因で発生しうる問題領域を明らかにすることができます。

このオプションをオンにするには、[シミュレーション オプション]ダイアログで[水力遷移に関する通知]オプションをオンにします。

このトピックでは、圧力波伝播のメカニズムと InfoWorks WS Pro によって実行される計算について説明します。

注:

非定常解析は非常に複雑なテーマであり、専門知識と専用のソフトウェアが必要です。

注:

InfoWorks WS Pro が生成したサージ アドバイザー結果から、一時水圧が原因で発生しうる問題領域を定性的に評価して、さらに調査を進めることができます。非定常状態を詳しく解析するには、非定常システム シミュレーションを実行する必要があります。

水力遷移

水力遷移(ウォーター ハンマーやサージとも呼ばれます)は、流速の変化によって生じる圧力変動です。

給水ネットワークにおける非定常状態の原因には、次のものがあります。

非定常状態では、次のことが原因で給水ネットワークで問題が生じる可能性があります。

バルブの上流にある管が瞬時に閉鎖した場合を考えてみましょう。

  1. バルブが閉じると、そのバルブに隣接する水の流れが止まり、そのためにバルブの上流にある水が圧縮されて、バルブの上流にある管断面が膨張します。バルブの圧力が上昇すると、圧力波が正の過剰圧力水頭(ΔH)で発生して、上流に伝播されます。
  2. 圧力波が貯水池に到達します。
  3. 水が貯水池の後方に押し出されます。管内の速度が逆転し、圧力が再び静(貯水圧)に戻ります。圧力波が逆転し、閉じたバルブに向かって伝播します。
  4. 圧力波が閉じたバルブに到達すると、バルブに低圧領域が形成され、流れが破壊されて、減圧波が発生し、貯水池に向かって伝播されます。
  5. 減圧波が貯水池に到達します。水が貯水池から管に流れ、管内の速度が逆転し、圧力発生波が閉じたバルブに向かって伝播されます。

このサイクルが、摩擦によって短時間のうちに減衰する圧力振動で繰り返されます。

InfoWorks WS Pro でのサージ アドバイザー

シミュレーションの実行時に、追加で一時水圧振幅および最大一時水圧の結果が生成されることがあります。この結果を使用すると、一時水圧が原因で発生しうる問題領域を明らかにすることができます。

サージ アドバイザーのオプションをオンにするには、[シミュレーション オプション]ダイアログで[水力遷移に関する通知]オプションをオンに設定します。

一時水圧の結果には圧力波の振幅が表示され、その計算にはジュコーフスキーの定理が使用されます。

硬質管内でバルブが瞬時に閉じた時点での一時水圧 ΔH:

(1)

各変数は、次のとおりです。

g = 重力加速度

Δv = 流速の変化

c = 圧力伝播速度

一時水圧振幅は、タイムステップ(t)ごとに計算されます。ここで、

したがって、最初のシミュレーション タイムステップでの一時水圧はゼロになります。

圧力伝播速度を設定する

圧力伝播速度は、流体と管自体の弾力性、および管の外部拘束に依存します。

圧力伝播速度は、[管の材質]ダイアログに設定された圧力伝播速度値から管の材質に基づいて自動的に設定できます(詳細は、「圧力伝播速度を設定する」を参照してください)。ただし、この機能の場合、[管の材質]ダイアログから設定できる圧力伝播速度値は、管の材質ごとに 1 つだけです。

圧力伝播速度値は、リンク グリッド ビューに手動で入力することもできます。圧力伝播速度値は、以下のグラフと表(出典: Fluid Transients in Pipeline Systems, Thorley ARD, 1991)から求めることができます。複数の管の材質について直径/管厚比に対する圧力伝播速度が曲線で描かれています。

圧力伝播速度図

直径/管厚(D/e) 鋼鉄 ダクタイル鉄 鋳鉄 コンクリート 石綿セメント uPVC

5

1400

1400

1360

1230

1200

550

10

1365

1355

1290

1100

1040

400

20

1310

1290

1190

930

860

290

30

1260

1230

1100

820

750

240

40

1210

1180

1040

740

680

200

50

1170

1130

980

680

620

180

60

1130

1090

930

630

580

168

70

1095

1055

890

591

540

157

80

1060

1020

848

560

510

145

90

1030

995

820

530

485

135

100

1005

965

790

510

465

125

110

985

940

765

490

440

118

120

965

920

745

475

421

110

130

940

895

720

455

405

105

140

920

880

700

440

395

103

150

900

860

680

425

385

100

圧力伝播速度の曲線の表(Thorley ARD 1991)

結果を解析する

注:

InfoWorks WS Pro が生成したサージ アドバイザー結果は、定性的な評価にのみ適しています。この結果を解析することで、大きな一時水圧のためにリスクが発生しうるリンクを特定できますが、さらなる調査が必要です。InfoWorks TS (非定常システム)シミュレーションを使用すると、非定常解析をもれなく実施できます。

サージ アドバイザー結果は、他の結果と同様に、単一ネットワーク オブジェクトの時系列結果をグリッド レポートまたはグラフで表示できます。

一時水圧振幅は、複数の一時水圧値を結ぶ滑らかな連続した線としてグラフ化されます。画像を表示

実際には、一時水圧の変化は非常に短い時間(秒)で発生します。画像を表示

InfoWorks WS Pro がグラフに描く滑らかなトレースは、実際にスパイクのある非定常状態のおおよその境界エンベロープを表します。