接続ワークグループについて

接続ワークグループを設定して、リモート サイトでの Microsoft SQL のパフォーマンスを高めることができます。

リリース別の機能対応状況

接続ワークグループ機能は、Vault の特定のエディションで使用できます。ご使用のエディションがこの機能に対応しているかどうかについては、次の表を参照してください。

  2012 2013 2014
Autodesk Vault Basic    
Autodesk Vault Workgroup    
Autodesk Vault Collaboration
Autodesk Vault Professional

複製

複製は、2 つのサーバ間(通常は、それぞれ物理的な場所が異なる)でデータをコピーするプロセスを指します。このプロセスによって、2 つの異なる場所にある Vault 環境の設定が可能になります。そのため、広域ネットワーク(WAN)を通じてサイズの大きい CAD ファイルをダウンロードする手間が省けます。B

接続ワークグループの機能が追加されるまでは、ファイルのみが複製されました。

接続ワークグループ機能では、Microsoft SQL パブリッシャー/サブスクライバ テクノロジによる複数のデータベース サーバの使用をサポートしています。このテクノロジにより、複数の場所にある SQL データベースの複製が可能になります。

システム要件

推奨事項

Windows ファイアウォールでポートを開く

接続ワークグループの概要

接続ワークグループとは、あるサイトから別のサイトに複製されたファイル ストアの設定であり、このファイル ストアは Microsoft SQL データベースで管理されます。一般的なワークグループ設定について、以下の図に示します。単一のワークグループにあるすべてのサイトで、同一の Microsoft SQL Server を共有します。

各サイトに独自のデータベース サーバを配置して SQL のパフォーマンスの向上を図るために、Vault は接続ワークグループを使用します。2 つの異なるサイトを持つワークグループと、単一のサイトを持つ 2 つ目のワークグループが接続されている様子を、以下の図に示します。

接続ワークグループの作成

接続ワークグループ環境をインストールする際には、次に示すように、各コンポーネントを適切な順番でインストールして設定する必要があります。

パブリッシャーの設定

Vault では、Microsoft SQL Express における接続ワークグループをサポートしていません。Vault Server をインストールする前に、「AutodeskVault」という名前のデータベース インスタンスとともに Microsoft SQL のフル バージョンをインストールしておく必要があります。詳細については、「プリインストールされた Microsoft SQL」を参照してください。

  1. MS SQL をインストールします。
  2. SQL をインストールしたら、 SQL Server Management Studio を介して SQL AutodeskVault Instance にログインします。最上位のサーバ名を右クリックして、プロパティを選択します。[接続]タブで、オプションの nocount が選択されていないことを確認します。
  3. すべての情報の複製元となるコンピュータに Vault Server をインストールします。このコンピュータのことを「パブリッシャー」と呼びます。
  4. Vault Server のインストールが終わったら、Vault Server Console を開始します。
  5. 共有フォルダの UNC パスを入力します。例: ¥¥server¥share¥
  6. ユーザ ID を入力します。この ID は、複製用に設定されたユーザ アカウントで、共有フォルダへのフル アクセス権を持つものでなければなりません。
  7. 入力したユーザ ID に対するネットワーク パスワードを入力して、誤りがないか確認します。
  8. [OK]をクリックします。

ファイアウォールの設定

ファイアウォールの設定

ワークグループを追加する前に、ファイアウォールを介して SQL Server と Vault Server が通信できるようにしておく必要があります。これを行うには、SQL 実行ファイル sqlbrowser.exe および sqlserver.exe の例外を許可します。

サブスクライバの設定

パブリッシュ サーバの設定が終わったら、サブスクライブ サーバの設定が行えるようになります。サブスクライブ サーバを設定する際、パブリッシュ サーバによって、Vault Server データベースがサブスクライブ サーバにネットワーク経由でインストールされます。

注: サブスクライブする場所のネットワーク接続速度が遅い場合には、サーバをパブリッシャーと同じ場所に設定してから、サーバを発送すると便利です。異なる場所にサブスクライブ サーバを発送した場合は、ネットワークに再接続した際に複製が適切に行われるよう、14 日以上ネットワークから切断した状態にしないでください。
  1. パブリッシャーで使用されいているものと同じバージョンの SQL をインストールします。その際に、「AutodeskVault」という名前の設定済みインスタンスと、パブリッシャーと同じパスワードを使用してください。
  2. パブリッシャーから、Vault Server Console を起動します。
  3. Server Console の左ペインで、[ワークグループ]ノードを右クリックして、[ワークグループを追加]を選択します。
  4. 新しいワークグループの名前を入力します。
  5. SQL の新しいインスタンスがインストールされているコンピュータの名前を入力します。
  6. ネットワーク ユーザ設定で複製を実行するためのユーザ ID とパスワードを入力します。
  7. [OK]をクリックします。バックグラウンド プロセスで、リモート SQL サーバがサブスクライバとして設定され、パブリッシャーから KVM データベースが複製されます。設定が終わったセカンダリ サーバは、Console の[ワークグループ]ツリーに追加されます。
    注: 設定が終わっても、複製は終わっていない場合があります。次の手順に進む前に、複製が終わっているかどうか確認してください。パブリッシャーによってデータベースがサブスクライバにインストールされると、サブスクライブ サーバに Vault Server Console をインストールできるようになります。
  8. サブスクライバに Autodesk Data Management Server をインストールする

Vault 複製の有効化

接続ワークグループの設定が終わったら、最後の手順として、複製を行う Vault を有効化します。これは、「複製を管理」ツールを使用して設定できます。

  1. 1 次ワークグループを選択します。
  2. 右ペインで、管理対象の Vault を右クリックして、[複製を管理]を選択します。
  3. ワークグループを[未複製]列から選択し、>> ボタンを押して[複製済み]列に追加します。
  4. [OK]をクリックします。

バックアップおよびリストア

バックアップおよびリストア操作はすべてパブリッシャー サイトから実行します。サブスクライバをリストアする必要が生じた場合は、該当するサブスクライバを接続ワークグループから削除し、サブスクライバ サーバを再構築して、接続ワークグループに追加しなおします。

Vault では、通常の KVM データベースと Vault データベース、SQL マスター データベース、msdb データベース、およびレプリケーション ディストリビューション データベースもバックアップされます。レプリケーション ディストリビューション データベースの既定の名前は、「AutodeskReplication」です。

Vault では、接続ワークグループ環境をリストアすることはできません。接続ワークグループ環境のリストアに必要なデータベースはバックアップされ、必要に応じて手動でリストアできます。

注: パブリッシャーの名前とディストリビューション データベースの名前は、backupcontents.xml ファイルに保存されます。

バックアップ

Vault Server Console を使用して、Vault サーバのバックアップをパブリッシャー サイトで作成します。

バックアップは、次の場合に実行します。
  • ワークグループを変更する場合。
  • ワークグループを追加する場合。
  • ワークグループを削除する場合。
  • ワークグループの名前を変更する場合。

リストア

Server Console に付属のバックアップおよびリストア ツールを使用して、Autodesk Vault Collaboration (2012 または 2013 のみ)または Vault Professional の環境をリストアするには、パブリッシュ サーバをリストアしてから、環境に含まれていなかったかのようにサブスクライバをすべて追加する必要があります。

既存のサブスクライバを維持した状態で、Vault の接続ワークグループ パブリッシャーを手動でリストアする場合には、次のルールが適用されます。
  • パブリッシャーは、同じ名前を持つサーバにのみリストアできる。
  • サブスクライバは、同じバージョンの Autodesk Vault Collaboration または Vault Professional にのみ置ける。データのマイグレーションを必要としない。
  • 14 日以上経過しているバックアップは使用しない。
  • 各データベースは、シングル ユーザ モードで開始する。
  • 各データベースをリストアしたら、データベース サーバ インスタンスを再起動する。
データベースをリストアする順序
  1. マスター
  2. MSDB
  3. AutodeskReplication
  4. KVM
  5. Vault