メッシュ品質
メッシュの適性を評価する際は、次の特性について考慮してください。
- 要素の順序: Fusion では、次に示す 2 つの異なる要素順序設定を使用できます。
- 線形: 線形要素では、コーナーにのみ節点があり、直線エッジがあります。線形の 4 面体要素には、4 つの 3 角形の面、6 つのエッジ、および 4 つの節点があります。
- 放物線: 放物線要素では、コーナー節点があり、各エッジの中間点に追加の節点があります。放物線状の 4 面体要素には 10 個の節点(4 つのコーナー節点と 6 つのエッジ間節点)があります。
- 曲面要素: この拡張機能は、放物線要素の場合のみ使用可能です。有効にすると、曲面に沿って配置された要素に、曲線エッジが付きます。この機能により、曲面の実際の表面上にエッジ間節点が配置されます。つまり、中間の節点を、コーナー節点をつなぐ直線上に配置する必要がなくなります。曲面要素の方が正確に曲面ジオメトリに沿うため、シミュレーションの精度が向上します。
- アスペクト比: 要素のアスペクト比を定義して計算するには、いくつかの方法があります。最も簡単なのは、最も長いエッジ長を最も短いエッジ長で割る方法です。理想的な要素のアスペクト比は 1.0 です。10 を超えるアスペクト比を持つ要素は、臨界応力領域では避ける必要があり、また、総体積中に占める割合が小さくなるように制限する必要があります。しかし、複雑なジオメトリの場合は特に、アスペクト比が 40 に達することも珍しくありません。こうした比較的低品質の要素は、臨界応力領域に存在しない限り、許容される場合があります。
比較的小さいフィーチャがあるモデルで、大きな要素サイズを指定すると、小さなフィーチャに合わせてアスペクト比の高い要素が生成されます。短いエッジは小さなフィーチャに合わせる必要がありますが、それ以外のエッジは指定された要素サイズが原因で長くなります。同様に、サーフェスのメッシュ サイズが大きい薄いパーツには、アスペクト比の高いソリッド要素が含まれます。そのような場合は、要素サイズをグローバルに、またはローカルに減らすことで、アスペクト比を改善できます。
- 隣接するメッシュ サイズの比率: ローカライズされた領域に存在する小さい要素と、より大きなグローバル サイズとの、遷移比の指標です。ほとんどのメッシュ生成ルーチンは、Fusion のものも含めて、小さい要素と大きい要素の間で自動的に緩やかな遷移を実行します。
- 厚さ方向の要素数: 屈曲(曲げ)応力を受けるパーツには、パーツの厚さ方向に少なくとも 4 つの要素を持たせた方がよい、という経験則があります。この経験則は線形要素に適用されます。引張応力の大きさの厚さ方向における変化や反転を適切に表現するためには、複数の要素が必要になります。放物線状の要素を使用する場合は、厚さ方向の 2 つの要素によって同様の結果がもたらされます(コーナー頂点の間に節点が追加されるため)。
薄いパーツでは、多くの場合、このガイドラインを満たすほどの十分細かいメッシュを実現することが困難です。臨界領域で要素サイズのみを減らすために、ローカル メッシュ リファインメントを使用することができます。この方法では、総要素数が極端に多くならず、推奨される要素数を得ることができます。
許容しうる精度を達成するために、必ずしもすべての薄いパーツで厚さ方向に複数の要素が必要になるとは限りません。応力の大部分が引張または圧縮の膜応力(曲げ応力ではない)であれば、厚さ方向に 1 つの要素があるだけで十分な場合があります。次の比較について検討します。

図 1: どのような場合にパーツの厚さ方向に複数の要素が必要か?
どちらのパーツも左端に固定されていて、下向きの力が加わり、曲げが生じています。山形パーツ(a)の水平部分では、引張応力がパーツの厚さ方向に向かって反転しています。上の表面は引張状態、下の表面は圧縮状態にあります。このような場合は、応力勾配を適切にキャプチャするために、少なくとも 4 つの線形要素または 2 つの放物線要素が厚さ方向に必要になります。
パーツ(b)では、正方形チューブの上下の壁で、厚さ方向に向かって引張応力のわずかな変化のみ生じています。上の壁は引張状態、下の壁は圧縮状態にあります。2 つの側壁に沿った要素では、上から下に移動するにつれて、応力が引張から徐々に圧縮へと変化しています。このような場合は、厚さ方向に線形要素が 1 つあれば十分です。厚さ方向の応力勾配は最小限であり、応力の反転は生じません。
注: Autodesk Fusion には、メッシュ品質をコントロールするための高度なメッシュ設定がいくつか組み込まれています。これらの設定については、ヘルプの「操作方法」セクションで説明しています。メッシュ サイズに加えて、アスペクト比、隣接する要素のメッシュ サイズの比率、曲線エッジに沿った回転角度をコントロールすることもできます。