このセクションでは、充填過程中における金型内の溶解樹脂の流動を予測する成形品充填シミュレーションを実行します。
充填解析シミュレーションでは、射出位置から段階的に伸張していく成形品内のフロー フロントを計算します。このシミュレーションは、速度/圧力切替点に達するまで実行されます。充電シミュレーションには 2 つのタイプがあります。個々のプラスチック成形品を評価する成形品充填解析と、フィード システムを含めた金型設計全体を評価する金型充填解析です。成形品充填解析を実行する前に、材料および成形品プロセス設定を定義する必要があります。また、少なくとも 1 つのゲート位置が存在していなくてはなりません。
[サマリー]ダイアログ ボックスの上部に、「この成形品は充填が容易ですが、品質は許容レベルにならないおそれがあります」というような内容の情報が示されます。この情報は、[品質予測]プロットを確認してその品質に関する問題の重要性を決定し、問題の発生場所が成形品の性能に重大な影響を及ぼすものかどうかチェックすることを示すものです。プロセス設定、ゲート位置、材料などの変数を変更することによってその結果を改善できるかどうか判断するための追加の充填解析が表示されます。
充填時間結果では、キャビティ充填時のフロー フロントの位置が一定の間隔で示されます。色のコンターは、成形品の中で同時に充填が行われた部分を表します。射出開始時には、フロー フロントは濃い青色で表されます。最後に充填する場所は赤色で示されます。カラーがないところは充填していない、つまりショート ショットをもつ成形品になります。
コンター ラインの間隔、またはカラー帯の幅が流量速度の指標になります。各ラインまたは各帯間の時間が同じなので、ラインまたは帯の間隔がより離れると、フロー フロントはより早く移動することになります。充填時間結果が良好な成形品では、フロー パターンのバランスがとれています。次も該当します。
このチュートリアルでは、ゲートの中心位置が、バランスの取れた充填パターンに極めて近い形になるようにしています。フロー フロントは成形品の下部に達する直前に上部へと到達します。流量速度はゲート付近で高くなり、成形品の下部(キーパッドの下)で比較的高くなります。これらの領域では、フロー フロントが成形品の他の部分に比べて大きいというわけではないので、速度は高くなります。高い速度の領域は高いせん断応力がある傾向があります。
品質予測結果では、成形品の外観やその機械的特性の品質を予測します。品質予測は、次のスライディング スケールに基づいて表示されます。
このモデルでは、ほとんどの部分について、品質上の問題がないことを示す緑色で表されています。モデルの一部の領域が黄色になっていますが、これはそこに品質上の問題がある恐れがあるので、改めて調べる必要があることを示しています。品質上の重大な問題があることを示す領域はありません。