スタイル ライブラリはプロジェクト用の共通スタイル ソースです。スタイル ライブラリは、カスタム コンポーネントのライブラリと同様の方法で、ユーザ同士で共有されます。
スタイル ライブラリには、個々のスタイル タイプの定義が格納されています。ドキュメント内のオブジェクトにスタイルを適用すると、スタイルの属性がスタイル ライブラリから取り込まれます。
既定では、アクティブな製図規格に関連付けられたスタイル ライブラリにあるすべてのスタイルが、ドキュメント内のオブジェクトの設定に使用できるようになっています。設計プロジェクト間でライブラリの整合性が保たれるように、通常、スタイル ライブラリは CAD 管理者が管理します。
単一のグローバル ライブラリを使用することによってすべての設計者が同じスタイルを使用するようにすることも、プロジェクトごとにライブラリを指定することもできます。多くの場合、プロジェクト スタイル ライブラリは、既定ライブラリの一種です。
スタイル ライブラリは、プロジェクト オプションで指定できます。詳細については、プロジェクト エディタのリファレンスを参照してください。
以下の 2 つの方法でドキュメント間でスタイルを共有します。
スタイル ライブラリは、スタイルを集中して配置し、より簡単に管理するための場所となります。
ユーザは、一元化されたスタイルのソースとしてスタイル ライブラリを使用できます。ネットワークにスタイル ライブラリを置いておけば、プロジェクト チーム全体で同一のスタイル規格や材料などを共有できます。ユーザ全員が使用するスタイルを変更する必要がある場合(例: 寸法スタイルの精度の変更)、必要なことはスタイル ライブラリに変更を保存することだけです。テンプレートへの変更(複数のテンプレート)は特に必要ありません。いったん保存すれば、ライブラリから直接ドキュメントのスタイルを更新できます。
スタイル ライブラリはすべてのドキュメントのための共通のスタイル ソースです。
スタイル ライブラリを使用すれば、異なるドキュメント タイプが同じ場所からスタイルを読み込みます。この機能は、パーツ、シート メタル パーツ、アセンブリ、プレゼンテーション ファイルにおいて、同一の色スタイルと照明スタイルを使用する場合に利点となります。つまり、パーツ、シート メタル、溶接の間で材料を共有できるということです。
スタイル ライブラリにより大規模なアセンブリのパフォーマンスを向上させることができます。
スタイル ライブラリがないと、必要なスタイル定義をドキュメントごとに保存しておかなければなりません。これは、パーツ ファイルの場合、各パーツ ファイルに 20 以上の材料、30 以上の色スタイルが保存されていることを意味します。このため、一度に 1 種類の色スタイルと材料しか使用していなくても、メモリを消費します。大規模なアセンブリでは、何百もの固有のパーツがあるため、ファイルのサイズが非常に大きくなる可能性が高くなります。スタイルを外部スタイル ライブラリに移すことによって、使用しているスタイルのみをドキュメントのメモリ スペースにキャッシュし、各ドキュメントのメモリ容量を低減します。
スタイル ライブラリは固有のニーズに適応しています。
組織で設計者全員が 1 つのグローバルなライブラリを使用することも、プロジェクトごとにプロジェクト固有のライブラリを使用することもできます。きちんと定義されたドキュメント テンプレートと、この柔軟性により、プロジェクト データの処理とカプセル化が管理しやすくなります。
Autodesk Inventor には、パーツおよびアセンブリの材料、色、照明の標準セットのほか、ANSI、ISO、DIN などの図面の標準製図規格が設定されているスタイル ライブラリが用意されています。シート メタル スタイルには、曲げ、コーナー、代替フラット パターン リプレゼンテーションの定義や展開基本設定の他に、ギャップやシートの厚さといったデータが含まれます。スタイル ライブラリは、設計プロジェクトのすべてのドキュメントに使用される、共通のスタイル ソースです。各スタイル ライブラリは、.xml ファイルの集合であり、各スタイル タイプに 1 つずつ存在します。たとえば、バルーン、寸法、画層、パーツ一覧などのスタイル タイプをはじめ、その他すべてのスタイル タイプにファイルが存在します。
スタイル ライブラリの場所は 1 箇所だけに設定できます。1 つのフォルダに配置できるスタイル ライブラリは 1 つだけです。スタイル ライブラリはローカルの場所あるいはネットワーク上の場所に保存します。
スタイル ライブラリは、スタイルを設計プロジェクトのドキュメント間で共有できるように管理する方法として適しています。たとえば、すべてのパーツと溶接から同じ定義にアクセスできるように、材料スタイルを設計者が使用できるようにします。頻繁に使用するシート メタル材料、ゲージまたはシートの厚さ、ならびにコーナーおよび曲げの製造基本設定を共有して、簡単にアクセスすることができます。図面の場合は、スタイルを共有すると、矢印、寸法、引出線、中心マークなどの詳細を含め、注記を確実に統一できます。
スタイル ライブラリの使用開始に適しているのは、新しいプロジェクトを開始したとき、初めて Autodesk Inventor を使用するとき、個人または小規模なグループで設計作業をするときです。製図規格に関連付けられた既定のスタイル ライブラリを使用できます。
使用を開始するには、各製図規格に関連付けられている既定のスタイルを使用します。つまり、DIN、JIS、およびその他の国際規格などと同様、ANSI には独自のスタイル セットが添付されています。社内でオブジェクトの設定方法を標準化する場合は、スタイルを追加または編集し、変更内容をスタイル ライブラリに保存します。新しいドキュメントの設定には、使用可能なスタイルが自動的に設定されます。
大規模な作業グループで作業していて、後でスタイル ライブラリを使用してアクティブな従来のプロジェクトを移行することもあります。その場合には、プロジェクトの PDM コントロールと 1 つまたは複数のカスタム スタイル ライブラリが必要です。
スタイル ライブラリは、次のような場合に使用します。
以下の場合は、スタイル ライブラリを独自の設定で使用することを検討してください。
プロジェクト ファイル(.ipj)には、スタイル ライブラリをオンまたはオフにする[スタイル ライブラリを使用]オプションがあります。スタイル ライブラリをオフにすると、ドキュメント テンプレートにあるスタイルしか使用できなくなります。(Autodesk Inventor 9 より前のすべてのプロジェクトについては既定でオフ)。テンプレートのスタイルを変更した場合、それ以降のドキュメントはすべて変更後のスタイルを利用するようになります。ただし、スタイル変更前に作成されたドキュメントは別です。
スタイル ライブラリを使用しない場合は次のような欠点があります。
後になってスタイル ライブラリをオンにして作業する場合は、以前に作成したドキュメントのスタイルを更新する必要があります。
1 つのドキュメントから別のドキュメントにスタイルを転送するには、スタイルをインポートまたはエクスポートします。
使用するスタイル ライブラリを指定するには、2 通りの方法があります。以下のことができます。
既定のスタイル ライブラリは、Autodesk Inventor の Design Data フォルダにあります。このフォルダの場所は、設計データ パスによって定義し、リボンで [ツール]タブ [オプション]パネル [アプリケーション オプション] の順に選択して確認することができます。[ファイル]タブを使用して確認および変更することができます。
プロジェクトが作成されるか、[スタイル ライブラリを使用]オプションが[いいえ]から[はい]または[読み取り専用]に変更されると、プロジェクトは既定のスタイル ライブラリを使用します。これは、プロジェクト ファイルのスタイル ライブラリのフォルダ オプション用の設定として[既定]によって示されます。既定のスタイル ライブラリはすべてのプロジェクトで単一のスタイル ライブラリを使用するユーザに最適です。
Templates フォルダの既定の場所は次のとおりです。
Microsoft Windows 7 および Windows 8: ユーザー¥パブリック¥ドキュメント¥Autodesk¥Inventor [バージョン番号]¥Templates
必要に応じて、各プロジェクト固有のスタイル ライブラリを設定できます。たとえば、取引先企業には、ドキュメント化に対する各顧客のスタイル要件を満たすために、それぞれ異なるスタイル セットが必要な場合があります。
スタイル ライブラリのフォルダ オプションを特定パスに設定することで、特定のスタイル ライブラリを使用するようにプロジェクトを設定します。スタイル ライブラリが指定したフォルダに存在すると、プログラムはそのスタイル ライブラリを使用します。フォルダが空の場合は、Autodesk Inventor はプロジェクトに空のスタイル ライブラリを作成します。
プロジェクトをセットアップするときは、次の内容を指定します。
[スタイル ライブラリを使用] = [読み取り-書き込み]
[スタイル ライブラリを使用]が[読み取り-書き込み]に設定されている場合、Autodesk Inventor ドキュメントから[スタイル ライブラリに保存]を実行して、ライブラリ内のスタイルを編集および変更できます。新たに作成したスタイルは、アクティブなライブラリに保存できます。この設定によって、完全な共有、スタイルの更新作業の合理化、大規模なアセンブリでの可能な限りの容量の節約という利点も受けられます。スタイルのすべての自動管理が、このプロジェクトで開かれているファイルすべてに対して実行されます。
[スタイル ライブラリを使用] = [読み取り専用]
[スタイル ライブラリを使用]が[読み取り専用]に設定されている場合、Autodesk Inventor 内部の[スタイル ライブラリに保存]機能を使用して、スタイル ライブラリを変更することはできません。新たに作成したスタイルをアクティブなライブラリに保存することはできませんが、ドキュメント内にローカルで保存されます。これは、共有コンテンツに規格を適用する一般的な設定です。
テンプレートは、ドキュメントが使用する既定スタイルのソースです。新しいドキュメントが作成されると、テンプレート内のスタイルは、作成プロセスの一部としてスタイル ライブラリからコピーされます。
スタイル ライブラリを使用する場合、テンプレート内のスタイルは新しいドキュメントの作成時に、スタイル ライブラリと一致するよう更新されます。テンプレート内のスタイルがライブラリに存在しない場合は、新しいドキュメントに追加されます。いつも使用する特定のスタイル セットがあり、スタイル ライブラリをすべてのユーザで共有したくない場合は、次のような方法でテンプレートを使用することをお奨めします。たとえば、会社はすべてのユーザが共有する単一スタイル ライブラリを保有し、このスタイル ライブラリに会社の承認済の材料、製図規格などすべてを含めることができます。ただし、特定プロジェクトでは、会社の規格に含まれていない、特定の画層セットが必要となる場合があります。プロジェクト用に個別にスタイル ライブラリを作成する代わりに、プロジェクト用の図面テンプレートにその画層を追加します。