自動時間ステップの決定
Autodesk Simulation CFD は、インテリジェント解析制御が有効(既定)になっている場合、[実行]ダイアログに表示する時間刻み幅を自動的に決定して調整します。計算ダイアログの推定ボタンをクリックすることにより、初期時間ステップが計算されます。時間刻み幅をマニュアルで設定する場合、解析制御ダイアログのインテリジェント解析制御を無効にしなければならない。
インテリジェント解析制御が有効になっている場合、ユーザーによって定義された運動に対して、定義された距離や流速に応じて時間ステップが自動的に計算される。
流体力による運動については、時間ステップは、物体を取り囲む流体の流速あるいは物体の初期流速に基づいて自動的に計算される。物体が加速された場合、時間ステップは、物体が1ステップあたり1要素を越えて移動しないよう自動的に小さい値に変更される。この方法で時間ステップを計算することにより、解析精度を確保しながら効率の良い計算を実現することができる。
インテリジェント解析制御は、解析実行中の不安定を取り除くため、不足緩和を自動的にコントロールする機能です。この機能は解析結果の時間精度に目立った影響を与えることはなく、解析の安定性を改善することが実証されています。
固体運動の解析方法
モーション解析は、常に非定常解析として実行されます。部品にモーションが指定されると、適切な解析条件が自動的に設定されます。
これは、固体運動の解析では、メッシュエンハンスメントにより解析実行中の安定性に問題を生じることが確認されているためです。メッシュエンハンスメントを無効にしているため、流れに適切なメッシュ密度を確保するために十分な注意が必要である。
解析結果保存間隔と時間ステップ数の設定は、ユーザーが行う必要がある。ハードディスクの空きが無くならないよう、時間ステップ数と解析結果保存間隔に注意が必要である。
物体は流体中を運動しているため、一旦、物体によって占有された空間は再度流体に変換されなければならない。これを念頭に置いた場合、移動する固体を切断する対称面にスリップ条件を設置する場合、固体が移動した後に物体のサーフェスとなる面についてもスリップ条件を設定しなければならない。固体表面上にスリップ条件を設定しない場合(初期位置において)、スリップ面内に壁面が生じる結果となる。
移動する固体が存在するほとんどの機器において、運動含む領域と分離された領域が存在する。非圧縮性流体では、媒体全体を伝達する圧力波が許容されないため、解の不安定の原因となる。さらに、流体によって生じる力によって運動する物体が全く動かない場合も考えられる。この理由のため、流体力による運動の解析については、圧縮性流体の使用が推奨される。
計算 ダイアログで圧縮性流体を有効にします。液体およびガスについて、この設定は、機器全体を伝達する圧力波の計算を有効とし、流体力による運動に対してより現実的な解を与えるものである。
インテリジェント解析制御を使用しない場合、解析制御ダイアログの圧力に対する収束コントロールを適用することが推奨されます。圧力については、0.25の値を設定することにより安定性を確保し、計算実行中の不安定性の問題を回避することができる。
デフォルトの対流項計算スキーム、ADV1を使用します。熱流束ベースの対流項計算スキーム、ADV3はモーション解析には使用できません。
変更後の継続
モーションデータの構造上の問題により、一般的に、メッシュ、境界条件、モーションのパラメータを変更した場合、既存の解析結果からモーションの解析を継続することはできない。モーションの解析で設定の変更後、保存されたステップから解析を継続する場合、警告が表示され解析が中止される。特に、次のモーションの変更後、解析を継続することはできない。
ユーザー定義運動設定した部品を解析から停止するためには、ある時刻以降の変位が変化しない運動(あるいは速度ゼロ)のテーブルを作成しなければならない。流体力による運動の場合、現時点の位置から移動しないようその境界の条件を変更することにより、中間的な解析結果から運動を停止することができる。別の方法として、材料の密度を重く変更することにより、物体の運動を停止することができる。
上述の変更が行われない場合には解析を停止し継続することができる。
しかしながら、いくつかのパラメータについては解析の途中に変更し、解析を継続することができる。
出力テーブル
各移動固体に対して直線または回転速度、直線または回転変位、力およびトルクの時刻歴情報が記入されたテーブルが作成されます。このテーブルを開くには、結果 > レビュー>モーション結果をクリックします。
モーション出力ファイルの直線および回転変位の値は、モーションタスクダイアログの初期位置スライダーによって定義される物体の初期位置からの相対的な値である。CADモデル上に作成された位置と初期位置が異なる場合は、特に注意が必要です。
このデータは外部“.csv”にも書き出されます。ファイル名は、シナリオ名にmotionという単語が追加されたものになります。たとえば、Productという動くソリッドを含むScenario 1というシナリオのモーションファイルはScenario 1_PRODUCT_1_motion.csvという名前になります。このファイルはデザインスタディのディレクトリ構造のscenarioサブフォルダにあります。
力とトルクは、モーションモジュールによって計算された駆動力、抵抗力、衝突力、接触力を含んだネット値であることに注意が必要です。流体力とトルクは、ただ流体によって物体に与えられた力とトルクであり、モーションの定義で指定された力を含んでいません。流体力は、壁面ダイアログで確認することができます。
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