メッシュ作成

自動メッシュ サイズ分割には、シミュレーションのメッシュ作成プロセスを合理化するいくつかの画期的な改良点が含まれています。これらの改良点は、主にメッシュの 4 つの要素(アダプティブ メッシュ、体積ベースの自動サイズ設定、メッシュ エンハンスメント、自動サイズ機能のパフォーマンス)に影響します。

アダプティブ メッシュの改良点

アダプティブ メッシュは、モデルに最適なメッシュを作成するための強力なツールです。Simulation CFD 2014 では、アダプティブ メッシュの処理速度と柔軟性が向上し、より詳細なフィードバックが提供されるようになりました。

サポートされた材料デバイス

初期のリリースでは、アダプティブ メッシュは、大部分の材料デバイスをサポートしておらず、それを含むモデルには使用できませんでした。この制限は解消され、非常に幅広い適用事例でアダプティブ メッシュを使用できるようになりました。

現在、アダプティブ メッシュは次の材料デバイスをサポートしています。

  • 内部ファン/ポンプ
  • 遠心ポンプ/ブロワー
  • 分布抵抗
  • 熱交換器
  • 逆止弁
  • LED
  • CTM
  • TEC
注: アダプティブ メッシュは、押し出しメッシュまたは非定常(時間変化)のシミュレーションをサポートしていません。非定常のシミュレーションには、回転しているターボ機械およびモーションのシミュレーションが含まれます。

パフォーマンスに関する改良点

  • アダプティブ メッシュでは、各アダプティブ サイクルのメッシュ分布の計算をより短い時間で実行できるようになりました。
  • アダプティブ エラー インジケータでは、より選別的にメッシュを細分割する別の方法を使用します。多くの場合、生成されるメッシュが小さくなり、シミュレーション時間の短縮につながります。

境界層の精度の向上

旧バージョンでは、アダプティブ メッシュは、流れに関する方向に対してのみエンハンスメント レイヤーが適用されていました。厚さは影響されないため、境界層領域内のアダプティブ効果が制限されていました。

境界層要素の厚さと流れに関する寸法の両方にアダプティブ メッシュを適用できるようになったことで、壁面および流体と固体の接触面で解の精度向上を期待できます。

注: mesh_adapt_BLAspect n のフラグを使用して、アスペクト比の制限を設定することができます。'n' は目的のアスペクト比です。これを無効にしてエンハンスメント レイヤーの厚さを固定するには、0 に設定します。

メッシュからの独立性インジケータ

アダプティブ メッシュを使用する場合は、さらなる細分割によって解が変更されないように、メッシュの細かさが十分であるときを認識しておくことが重要です。メッシュが細分割されて解がこれ以上変更されない場合、モデルは "メッシュに依存しない" とみなされます。各アダプティブ手順で、Simulation CFD 2014 により、メッシュからの独立性の解にメッシュがどれだけ近いかが示されます。

アダプティブ メッシュでは、圧力、速度、温度(熱伝達シミュレーション用)が評価されます。各アダプティブ手順の終了時に、アダプティブ メッシュにより、アウトプット バーに次のようなメッセージが書き込まれます。

メッシュからの独立性: 圧力: 85 % 速度 98 % 温度 97 %

注: アダプティブ メッシュでは、最初の(名目上の)シミュレーションのこの情報は提供されません。

これらの値は、新しいメッシュで変更されずに残された以前のメッシュからの解の量を示します。値が大きいほど、モデルの値が大幅に変化しなかったことを意味します。値が大きいほど、メッシュに対する感度が少ないことを示し、解がメッシュからの独立に近づいていることを意味します。

最良の結果を得るには、収束する(またはそれにできるだけ近い状態)ように各アダプティブ サイクルが実行される必要があります。アダプティブ サイクルの反復数が少ない場合、したがって収束に到達しない場合、メッシュからの独立性のインジケータは正確になりません。

アダプティブ メッシュの詳細については、ここをクリックしてください。

体積ベースのメッシュの自動サイズ設定

旧バージョンでは、多くの場合、自動サイズ設定を行うと、ジオメトリによって完全に囲まれていない領域に粗いメッシュが生成されていました。このようなメッシュでは循環などの流れの挙動を正確に計算できなかったため、問題になっていました。これらの領域に細かいメッシュを適用させるため、多くのユーザはネストされた内部ボリュームを作成したり、メッシュ領域を使用して、領域内のメッシュをコントロールしていました。

Simulation CFD 2014 の体積ベースの自動サイズ設定を使用すると、要素の壁から広く開放された領域への拡大をより適切にコントロールできるため、この必要がなくなります。結果として得られるメッシュ数が高くなることがありますが、通常、解の精度は向上します。

体積ベースの自動サイズ設定を有効にするには、次の操作を行います。

  1. フラグ マネージャmesh_volume_autosize フラグの値を 1 に変更します。
  2. [自動メッシュサイズ]状況依存パネルで[自動サイズ]をクリックします。
  3. [自動サイズ細分割]領域で、[サーフェス細分割]をクリックします。
  4. [細分割]をクリックします。

体積ベースの自動サイズ設定では、サーフェスおよびエッジで指定されたサイズから 35 % より多くメッシュを拡大することはできません。この値を変更するには、次のフラグを使用します。

mesh_volume_autosize_growth

ドメイン内の成長率を整数のパーセントとして指定します。既定は 135 (1.35)です。

注: これは、[アドバンスト メッシュ コントロール]ダイアログ ボックスの[ボリューム成長率]コントロールとは異なります。体積ベースの自動サイズ設定は、メッシュ全体にわたって、実際のメッシュ分布をコントロールします。一般的に、これは[ボリューム成長率]コントロール(メッシュの計算にはおおよその長さスケールを使用する別のボリューム メッシャ)よりも効率的です。体積ベースの自動サイズ設定は、体積の成長率をより適切にコントロールできます。

例:

体積ベースの自動サイズ設定なしで作成されたメッシュです。

体積ベースの自動サイズ設定を使用して作成されたメッシュは次のようになります。

体積ベースの自動サイズ設定の詳細については、ここをクリックしてください。

メッシュ エンハンスメントの修正点

ユーザ定義のメッシュ エンハンスメント レイヤーの厚み成長

この新しい設定により、エンハンスメント レイヤー厚みの成長をコントロールすることができます。旧バージョンでは、レイヤーの成長率はユーザ定義の値ではありませんでした。エンハンスメント レイヤーの数が増えると、レイヤーの厚みがより均一になります。このコントロールにより、壁面に最も近いレイヤーを構造化されていない隣接要素に最も近いレイヤーよりも小さくすることができます。

このコントロールは、壁面の熱流束の精度と新しい乱流モデルを使用した熱流束の精度を高めるのに役立ちます。

既定の成長率は 1.1 です。これを変更するには、[境界メッシュ エンハンスメント]ダイアログの[レイヤー グラデーション]設定を変更します。フラグ マネージャで mesh_enhance_gradation というフラグの値を変更することもできます。

削除された自動アダプティブ境界層

[メッシュ エンハンスメント]ダイアログに、自動アダプティブ境界層機能が含まれなくなりました。これは、[実行]ダイアログ ボックスの[アダプティブ]タブにある[Y+ アダプティブ]機能と競合していました。Y+ 値が適切になるようにメッシュ エンハンスメント レイヤーの厚みを自動的に変更するには、アダプティブ メッシュを有効にして[Y+ アダプティブ]をオンにします。

メッシュ エンハンスメントに関する詳細については、ここをクリックしてください。

自動サイズ変更のパフォーマンスの向上

自動サイズ設定機能が変更されて、[自動サイズ]ボタンをクリックした後のメッシュ分布を計算するのに必要な時間が短縮されるように調整されました。この改良点は、モデルが非常に大きく、幾何学的に複雑な場合に最も顕著になります。

自動サイズ変更の詳細については、ここをクリックしてください。