アダプティブ メッシュ

自動メッシュサイズは、提供開始当初からモデリングプロセスの単純化に大きく寄与してきました。自動メッシュサイズは、モデルに最適化されたメッシュを定義し、ジオメトリのあらゆる詳細を正確に表現します。

ジオメトリの正確な表現は、高度に忠実な解析のための唯一の要件です。例えば、均一なメッシュが適用された単純なモデル上の流れに大きな勾配がある場合があります。粗いメッシュによる解析結果はあまり正確でない可能性がありますが、流れの傾向はわかります。このような傾向を使用して、どこに要素を集中させれば解析の精度が向上するかを特定することができます。

アダプティブ メッシュでは、解析結果を使用して徐々にメッシュ定義が改善されます。シミュレーションは複数回実行されます。毎回、前回のサイクルの結果を使用して次回のサイクルのメッシュが改良されます。その結果、特定のシミュレーションに最適化されたメッシュが作成できます。メッシュは勾配が急な領域では細かく、他の部分では粗くなります。

アダプティブ メッシュを有効にすると、次の処理が行われます。

  1. ベースラインシナリオが完了するまで実行されます。
  2. 流速、圧力、および温度(利用可能な場合)に基づいてメッシュが変更されます。シミュレーションが完了するまで実行されます。
  3. このプロセスが各アダプティブ サイクルごとに繰り返されます。

この結果、流れと温度結果の各フィールドについて調整され、インテリジェントにリファインされたメッシュが完成します。

アダプティブ メッシュの使用

アダプティブを有効にするには、[実行]ダイアログを開き、[アダプティブ]タブをクリックします。

アダプティブ ダイアログにはいくつかのアダプティブ メッシュ コントロールがあります。以下は最もよく使われる項目です。これらは、アダプティブ サイクルの数、中間サイクルの結果を保存するかどうかなど、主要な動作を定義するものです:

[アダプティブを有効化]

アダプティブ メッシュを有効にするには、[アダプティブを有効化]を選択します。

[繰り返し実行]

デフォルトで、3 回のアダプティブ サイクルが実行されます。実行回数を変更するには、繰り返し実行を変更します。シナリオの合計数は、ベースライン+指定されたサイクル数となります。

シミュレーション実行 にアダプティブを有効にすると、指定されたサイクル数に加えて初期ベースラインが実行されます:

合計サイクル = 繰り返し実行 + 1

シミュレーション実行 にアダプティブを有効にすると、繰り返し実行 で指定された回数のみが実行されます。既存のシナリオがベースラインとして使用されます。

保存周期

各中間メッシュを保存するには、保存周期を有効にします。1つのシナリオ完了毎に、自動的にクローン化され、ベースとなるシナリオ名にサイクル番号が追加されます。以下に例を示します。

  1. プロセスの最初の段階では、デフォルトシナリオ名は Scenario 1 です。
  2. Scenario 1 は最後まで実行され、クローン化されます。クローン化されたシナリオの名前は Scenario 1- Mesh 1 となります。
  3. Scenario 1 のメッシュが結果に合わせてアダプティブ化され、最後まで実行されます。
  4. Scenario 1 がもう一度クローン化されます。クローン化されたシナリオの名前は Scenario 1- Mesh 2 となります。
  5. これが指定されたサイクル数続行されます。
  6. 最終的には、Scenario 1 には最終的なメッシュが保存され、サイクル Scenario 1 - Mesh 1Scenario 1 - Mesh 2Scenario 1 - Mesh 3 には中間的なサイクルが保存されます。
注: プロセス全体を通じて、Scenario 1 が常にアクティブなシナリオです。終了時には、Scenario 1には最終的なメッシュが含まれます。中間メッシュはシナリオ内に、"Mesh"が追加された名称で保存されます。

各メッシュが個別のシナリオとして保存されるため、デザインレビューセンターディシジョンセンターを使ってメッシュ感度の影響を調べ、メッシュへの依存性を判断することが可能です。

保存周期が無効に設定されていると、デザインスタディには最終的なメッシュと結果のみが保存されます。中間アダプティブ サイクルは破棄されます。

許容粗さ

デフォルトで、アダプティブ メッシュはメッシュの細分割のみを行います。メッシュを粗くすることを許可(それによってメッシュサイズが大きくなりすぎないようにする)するには、許容粗さを有効にします。

制約事項

アダプティブ メッシュは以下の種類のシミュレーションや設定をサポートしていません:

メッシュからの独立性

アダプティブ メッシュの使用時には、解析でメッシュからの独立性をいつ達成したかを知ることが重要です。メッシュからの独立性は、メッシュが細分割された後でも変化しない結果を生成する、最も粗いメッシュです。アダプティブの各手順中で、Simulation CFD は圧力、速度、温度場を評価して、解がメッシュからの独立性までどの程度まで進んでいるかを決定します。各手順の終了時に、Simulation CFD は以下のようなメッセージで、アウトプットバーにメッシュからの独立性のステータスをレポートします。

メッシュからの独立性: 圧力: 85 % 速度 98 % 温度 97 %

これらの値は、シミュレーションが各量にどれだけ近づいたかを示します。値が大きいほど、メッシュに対する感度が少ないことを示し、解がメッシュからの独立に近づいていることを意味します。

最良の結果を得るには、収束する(またはそれにできるだけ近い状態)ように各アダプティブ サイクルが実行される必要があります。アダプティブ サイクルの反復数が少ない場合、したがって収束に到達しない場合、メッシュからの独立性のインジケータは正確になりません。

注: アダプティブ メッシュでは、最初の(名目上の)シミュレーションについてメッシュからの独立性レポートを提供しません。

注意

  • 最初のメッシュは、標準的なメッシュ作成のベスト プラクティスに従って定義してください。メッシュに依存しない結果に、より効果的に到達できます。
  • アダプティブ メッシュは最終的なメッシュに到達するまで複数サイクル実行されますので、アダプティブを行わないシナリオよりも実行時間が長くなります。さらに、全体の要素数も元のメッシュよりもかなり大きくなります。元々大きい、複雑なモデルには注意してください。実行時間が格段に長くなります。しかしアダプティブ メッシュの利点は、メッシュに依存しない結果が得られることです。
  • 実行ダイアログで中止をクリックすると現在のサイクルが中止され、それ以上のアダプティブ サイクルは実行されません。シミュレーション停止後追加でアダプティブ サイクルを実行するには アダプティブタブで[アダプティブを有効化]をクリックします。繰り返し実行で指定された回数のサイクルが実行されます。
  • アダプティブ メッシュは、自動メッシュサイズ分割とマニュアルメッシュサイズ変更のどちらにも適用されます。
  • シナリオを含むフォルダはDesign Studyフォルダ内に配置する必要があります。実行されたシナリオにアダプティブ メッシュを適用するには、結果がシナリオフォルダ内になくてはなりません。
  • シミュレーションが収束計算数 0 から継続されている場合、保存された結果はすべて削除され、アダプティブは無効になります。現在の設計にメッシュを適用するには、まずアダプティブを無効にした状態で現在のシナリオを実行します。実行が完了したら、アダプティブを有効にして、シミュレーションを継続します。完了したシナリオは、後続のアダプティブ メッシュ サイクルのベースラインとなります。
  • 各サイクルは指定された収束計算数まで、あるいは自動収束判定で収束が検出されるまで実行されます。一般に、細かいメッシュは収束により長い時間がかかりますので、実行ダイアログで少なくとも300以上の収束計算数を指定することを推奨します。これは、プロセスに含まれるすべてのメッシュに確実に収束を達成させるためです。

アダプティブ メッシュの使用方法を紹介する例題モデル