解析終了後、アウトプットバーの収束プロットタブをクリックすることにより収束情報を表示することができます。
収束を判断するための主な基準は、それぞれの自由度がその後の収束計算で変化していないということです。収束モニターが表示する曲線は、計算領域全体における自由度の平均値のプロットです。
自由度
収束データの評価方法として、自由度を個別に調べることは有効です。出力量ドロップメニューより自由度を選択します(デフォルト値は すべて です)。出力量の最大値と最小値がプロットのY軸上に表示されます。
反復回数の範囲
開始 および 終了 の値を変更して、収束計算数の表示範囲を調整することができます。Enterキーを押すと変更が適用されます。これは特に、収束のプロットから最初の50回の収束計算を省略したい場合に有用です。一般的に収束計算数50以前は変化が大きいため、収束を評価する場合の参考にできません。
デフォルトではそれぞれの自由度の 平均値 がプロットされます。最大値と最小値を表示するには、[最小値]を選択します。または[最大値]を選択します(ダイアログ右側のメニューより)。
プロット内の値を確認するには テーブル タブをクリックします。1つの自由度に対する値を表示するには、右側のメニューから選択します。
プロット値と誤差評価
収束モニターにいくつかのパラメータをプロットすることにより解析の進行状況を理解するのに役立てることができます:
これらの量は、解析の安定と収束のためのインテリジェント解析制御と自動収束判定で使用されます。
これらは、収束モニター右側の2番目のプルダウンメニューより選択できます(デフォルト値は すべて です)。それぞれを簡単に説明します:
残差InとOutの詳細
解析実行中に表示される残差を用いることで、解析解(ベクトルX)がどの程度マトリクス方程式を満たしているかという指標を確認することができます。
目的は、行列式 AX=b を解くことです。
残差ベクトル r は r = b - Ax という形で表現されます。
残差を評価する場合、一般的にこの残差ベクトルそのものを用いるよりもスカラー値としてL2ノルム(L2_norm)が用いられます:
L2_norm (r) = sqrt (各rベクトルの2乗の和)
例えば、残差値を1.05E+2とした場合、この解析解は収束性が悪いと判断される可能性があります:
そのため、L2 残差 = 1.05E+02 の 100 万ノード モデルの場合、あるノードにおける平均エラーは 0.105 です。エネルギー保存式を満たす温度の数値解がどの程度収束しているかを判断する指標として、各計算点での平均誤差が 0.105 [K]となります。
残差 In と残差 Out の違いについて:
残差 In = L2_norm (AX - b): ソルバが収束する前。
たとえば、温度の場合、Autodesk Simulation CFD ソルバでは A と b はエネルギー保存式より導出し、温度 X を各反復での計算開始前の数値解(1 つ前の反復で得られた数値解に対して緩和係数などを反映した値)を使用して、L2_norm (AX – b)を評価しています。
残差 Out = L2_norm (AX - b): ソルバが収束した後。たとえば、温度の場合、各反復で温度 X が収束した後に、数値解として温度 X が出力され、その値を使用して L2_norm (AX – b)を評価しています。
もし仮に各イタレーションにて収束基準が1.0E-8だったとした場合
残差 Out = 1.0E-8 * 残差 In
つまり、残差Outとは各イタレーションにてスタートした残差値に対し8桁小さな値になるまで収束計算を実施するということを意味しています。
圧力、温度については残差Outは残差Inに比べてかなり小さな値でなければなりません。