押し出し

押し出しメッシュ機能では、均一断面を持つ3次元部品の長さ方向に、三角サーフェスを複数層の5面体(3角柱)要素に引き伸ばします。押し出しメッシュ分割では、アスペクト比が大きい部品の要素分割数が大幅に低減される場合が多く、配管内流れなどの形状抵抗によって支配されているモデルにおける流れの精度が改善されます。

押し出しによるメッシュは、構造メッシュであるが、非構造4面体でメッシュ分割されている領域と接触させること、または同領域に埋め込むことも可能です。これは、「非等角」メッシュ分割と呼ばれ、押し出しによるセクション内の節点が周囲のメッシュと自動的には一致しない状態です。Autodesk Simulation CFD では、この状態を自動的に検出して処理します。

押し出し領域を含むモデルのメッシュを変更し、保存した解析から継続することはできません。メッシュを変更した場合は、最初に戻って解析を始める必要があります。

ジオメトリ制約が満足されている場合、押し出しメッシュは回転領域(ファンブレードなど)内の移動物体上および固体に使用可能ですが、回転領域自体には使用できません。

注: 押し出しメッシュは熱放射を伴うモデルには使用できません。
注: 押し出しを使用する場合には、デフォルトの対流項計算スキームが推奨されます。

押し出しの指定

最も自動的な方式では、押し出し機能はジオメトリに基づいて端部メッシュ分割およびレイヤー成長の両方を計算します。レイヤーの成長、終端部のバイアス、および押し出しレイヤー数を調整できる手動設定機能も提供されています。

自動メッシュサイズ分割を適用した後に利用可能となります。 押し出し用のボリュームを1個以上選択し、メッシュサイズクイック編集ダイアログの押し出しメッシュボタンをクリックします。

注: 押し出しメッシュボタンは、押し出しに適したボリュームが1個以上選択されている場合にのみ有効です。

自動が有効(チェックされている)

自動 チェックボックスは、ダイアログの操作を制御し、チェックされている場合は、自動サイズ機能がレイヤー数および終端部レイヤーのサイズを決定します。チェックされていない場合は、追加機能を利用可能です。

自動モードでは、自動サイズ分割機能により、部品の各終端部から始まるレイヤーサイズと、個々の終端部のサーフェスメッシュで使用されている長さスケールが一致します。

  1. 層状メッシュの拡大率を増減させたい場合は、バイアススライダーで拡大の程度を修正します。デフォルト値は1.3です。
  2. 押し出し方向を指定できる場合には、押し出し方向を選択します。
  3. このダイアログが開いている間に、モデル上に対話型の押し出しプレビューラインが表示されます。
  4. OKをクリックしてダイアログを閉じ、選択中の部品に対して押し出しを適用します。
注: メッシュが同一であることが重要な複数の同一部品に対し、押し出しを適用する前に、各経路の端部サーフェスを選択し、均一なメッシュボタンをクリックしなければなりません。この操作は、ヒートシンクの流路や並列パイプなどの経路全体のメッシュが同じメッシュ分割で構築される必要がある場合に必要です。

自動が無効(チェックされていない)

自動が無効に設定されている場合には、押し出しレイヤーの数とサイズのコントロールが使用できます。

  1. 層状メッシュの拡大率を増減させたい場合は、バイアススライダーで拡大の程度を修正します。デフォルト値は1.3です。
  2. 押し出し方向を指定できる場合には、押し出し方向を選択します。
  3. 終端設定の種類を選択します。
  4. 分割数を選択する。
    注: スライダの最小範囲は 10 です。それより少ないレイヤー数を指定するには、横のテキストフィールドに希望の値を直接入力します。
  5. このダイアログが開いている間に、モデル上に対話型の押し出しプレビューラインが表示されます。
  6. OKをクリックしてダイアログを閉じ、選択中の部品に対して押し出しを適用します。

押し出しプレビュー

レイヤーを示すために部品を通る1本のプレビューラインが表示されます。このラインは対話型であり、押し出しダイアログ内の設定を変更すると更新されます。このダイアログが開いている間は、プレビューの視認性を良くするため、アクティブな部品のサーフェスを右クリックするとそのサーフェスは非表示になります。下図のプレビューラインは、バイアス設定が 1 の押し出しを示したものです。

成長

バイアス スライダーは、部品上の層状メッシュの拡大の程度を制御します。自動が有効の場合は、許容可能なバイアス量によってもレイヤー数が決定されます。バイアス値は、1つの層状メッシュから次の層状メッシュに拡大可能な要素の分割数の最大率を決定する。このスライダの範囲は 1.0 ~ 2 であり、既定は 1.3 です。最小設定(1.0)では、分割幅はほぼ同じサイズになります。

デフォルトのバイアス (1.3) では、分割サイズが部品中心で約 30%大きくなります。

ある分割サイズから次の分割サイズへのバイアス量は、次式にて定義されます。

これは、次のレイヤー(y)へのバイアスの量が、バイアスパラメータ(g)と現在のレイヤのバイアス(x)の積以下であるということを意味します。

最大設定 (2) では、レイヤーが両端に比べてかなり大きくなります。

自動にチェックが入っていない場合、レイヤー数はレイヤースライダーで管理されます。バイアスパラメータは、自動が有効の場合とは異なる働きをし、制約を意味しません。拡大率が20~50の範囲であっても、多くのケースで極端とは見なされません。

押し出し方向

押し出し方向 メニューは、下記の条件が満たされる場合に利用可能です。

押し出し可能な方向が複数ある部品を複数選択した場合、Autodesk Simulation CFD では、部品を取り囲むボックスの最大寸法に最も正確に一致する押し出し方向を自動的に選択します。部品を取り囲むボックスの各寸法の差が微小な場合は、アセンブリを取り囲むボックスの最大寸法に最も正確に一致する方向が使用されます。

押し出し方向 メニューは、選択可能な方向のリストを示し、プレビューラインは選択した方向に対応して更新されます。方向1を左図に、方向2を右図に示します:

終端設定

自動にチェックが入っていない場合にのみ使用可能であり、終端設定メニューは押し出し経路上におけるレイヤーの「バイアス」を管理するものである。単一の部品を選択している場合、オプションは下記の通りです。

部品の開始側および終端側の決定は、部品の内部トポロジー方向に基づいており、ユーザーには管理できません。プレビューラインは、どちらの終端部でレイヤーが小さくなるかをグラフィックに表示します。

複数の部品が選択されている場合は、両側で小さくおよび中心で小さくのオプションのみが使用可能です。

分割数

自動 にチェックが入っていない場合にのみ使用可能であり、 レイヤー数 スライダーは押し出しレイヤー数を管理します。スライダーの範囲は10から100の間です。この範囲外の値を指定するには、スライダーの横にあるフィールドに入力します。