4 面体要素

4 面体要素とは

3D の熱 4 面体要素は、3D 空間で定式化されるアイソパラメトリックまたはサブパラメトリックの湾曲した 4 ~10 節点 4 面体です。

3 つすべての方向へ熱は流れるため、3 次元の熱分布が計算されます。これらの要素について定義されるのは 1 自由度、つまり温度のみです。等方性温度依存型の直交異方性材料モデルが使用できます。

面荷重の適用

4 面体要素のサーフェス番号に荷重を適用する場合、一部のモデルは同一サーフェス番号にロードされるサーフェス上のラインが足りないことがあります。この状態では次のような現象が起こります。CAD ソリッド モデルから作成されたモデルの場合、その CAD モデルのサーフェスと一致する面はすべて、線のサーフェス番号にかかわらず荷重を受けます。自作モデルのパーツと CAD パーツとの関連付けが外れるように変更された自作モデルと CAD パーツ上では、サーフェスを定義する 3 本のラインのうち 2 本が共通であるサーフェス番号により、要素面のサーフェス番号が決定されます。

4 面体要素のパラメータ

4 面体要素を使用する場合、このパーツの材料モデルは[要素の定義]ダイアログの[材料モデル]ドロップダウン ボックスで指定する必要があります。選択できるオプションは次のとおりです。

  • [等方性]: 材料特性がすべての方向で同じである場合は、[等方性]オプションを選択します。これらの特性は温度によって変化することもありません。
  • [等方性, 相変化]: 解析タイプが非定常熱伝導解析である場合は、[等方性, 相変化]オプションを選択できます。この材料モデルは、パーツが、固体から液体(融解)、または液体から固体(凝固)に相変化する場合に使用します。この材料特性は温度によって変化しません。
  • [等方性, 相変化, 温度依存]: 解析タイプが非定常熱伝導解析である場合は、[等方性, 相変化, 温度依存]オプションを選択できます。この材料モデルは、パーツが、固体から液体(融解)、または液体から固体(凝固)に相変化する場合に使用します。固相および液相での材料特性は温度により変化します。
  • [直交異方性]: 材料特性が 3 つの直交する軸方向によって異なり、温度によって変化しない場合は、[直交異方性]オプションを選択します。選択すると、[方向]タブを使用して材料軸の方向を設定できます(以下の説明を参照してください)。
  • [温度依存等方性]: 材料特性がすべての方向で同じであり温度によって変化する場合は、[温度依存等方性]オプションを選択します。
  • [温度依存の直交異方性]: 材料特性が 3 つの直交する軸方向によって異なり、温度によって変化する場合は、[温度依存の直交異方性]オプションを選択します。選択すると、[方向]タブを使用して材料軸の方向を設定できます(以下の説明を参照してください)。
    ヒント:

      材料モデルの設定で相変化の影響が考慮されるようにするのに加えて、次の項目も設定する必要があります。

    1. 材料特性(すべての材料モデルで要求されます)。「解析の設定と実行」>「熱」>「材料特性」>「等方性相変化材料特性」を参照してください。
    2. 初期温度。非定常熱伝導解析における初期温度の設定の通常に要件に加え、固体、液体、またはその中間比率の相変化に関する初期状態は、初期温度に基づきます。パーツに初期温度を適用(「解析の設定と実行」の「熱」の「荷重および拘束」の「温度」を参照)するか、既定のグローバル温度を適用(「解析の設定と実行」の「熱」の「解析パラメータ」の「非定常熱伝導解析」を参照)してください。
    3. 液相率を決めるために使用する関係を設定します(「熱解析」>「解析パラメータ」>「非定常熱伝導解析」の「液相率を計算する」を参照)。
    4. 相変化する物質が含まれる場合、解析時に反復処理が使用されます。場合によっては、収束許容誤差を通常よりも小さくすることが必要です。「解析の設定と実行」の「熱」の「解析パラメータ」の「非定常熱伝導解析」のページの「非線形反復をコントロールする」のパラグラフを参照してください。
    注: 非定常熱伝導解析において相変化を含めることはできますが、流体の運動は考慮されません。 たとえば、氷は溶けて水に変化しますが、その水の位置は変わりません。非定常熱伝導解析では、浮力効果や液体の運動(流出など)による熱輸送はありません。

このパーツの 4 面体要素の中間節点を有効にしたい場合は、[中間節点]ドロップダウン ボックスの[組み込む]オプションを選択します。このオプションをオンにすると、ブリック要素の各エッジの中間点に節点が追加されます。(CAD ソリッド モデルのメッシュの場合、中間節点は、CAD サーフェスの元の曲率に従いますが、メッシュ作成前に選択されたオプションによって異なります。 変更される自作のモデルおよび CAD モデルでは、中間節点はコーナー節点間の中間に置かれます。)これにより、4 節点 4 面体要素が 10 節点 4 面体要素に変わります。中間節点を伴う要素は、より正確に計算された勾配となります。要素に中間節点が含まれる場合、処理時間が長くなります。メッシュが十分に小さい場合は、中間節点を追加しても正確度がそれほど向上しないこともあります。

続いて、熱流の計算方法を[熱流計算]ドロップダウン ボックスで指定します。[中心投影]オプションを選択した場合、このパーツの熱流束は、フーリエの法則を使って導かれた節点温度から計算されます。[境界条件に基づく非線形]オプションを選択する場合、このパーツ上の熱伝達または輻射負荷による外部サーフェスの熱流束は、熱伝達または輻射の境界条件の入力パラメータと、導出された節点温度を使用して計算されます。このオプションは、内面の熱流束には影響しません。[BCに基づく線形]オプションを選択した場合は、対流荷重または輻射荷重を受けるこのパーツの外面の熱流束は、[BCに基づく非線形]オプションと同じ方法を使用して計算されます。ただし、輻射荷重を受ける面の熱流束は線形化されます。

[BCに基づく非線形]または[BCに基づく線形]オプションを使用する必要があるのは、輻射または対流の境界条件に対する実際の熱流束出力が必要な場合に限ります。実際の熱流は面の流束に基づきます。十分に精度が高い有限要素メッシュの場合は、どれを選択しても面の熱流束は等しくなるはずです。

4 面体要素の方向を制御する

4 面体要素のこのパーツで直交性材料モデルを使用する場合、[要素定義]ダイアログの[方向]タブ、材料軸 1~3 の方向を定義する必要があります。

4 面体要素の部材軸は、r、s、t 軸です。これらの軸は、3 つの節点を[節点 1 の方位][節点 2 の方位][節点 3 の方位]の各フィールドで指定して定義します。まず、[結果]環境でモデルを確認し、節点番号を判別する必要があります。

  • r 軸は、[節点1 の方位]で指定した節点から[節点2 の方位]で指定した節点に向かうベクトルとして定義されます。
  • s 軸は、r 軸に対して垂直で、節点 1、2、および 3 により形成される平面上にあり、r ベクトルに対して[節点 3 の方位]と同じ側にあります。
  • t 軸は、r 軸と s 軸の外積です。

図 1: 材料軸の方向

4 面体要素の利用に関する基本ステップ

  1. 単位系が定義されていることを確認します。
  2. モデルで熱解析タイプが使用されていることを確認します。
  3. 4 面体要素に設定するパーツの[要素タイプ]列を右クリックします。
  4. [4 面体]コマンドを選択します。
  5. [要素定義]の見出しを右クリックします。
  6. [要素定義を編集]コマンドを選択してください。
  7. このパーツの適切な材料モデルを[材料モデル]ドロップダウン ボックスで選択してください。
  8. [直交異方性]オプションを[材料モデル]ドロップダウン ボックスで選択している場合、[方向]タブをクリックし、材料軸を定義する節点を指定してください。
  9. [OK]ボタンをクリックします。