ステップ 4 では、後で疲労解析で使用する周期荷重を定義します。
FE モデルは以前に解析されており、単一または複数の荷重ケースのいずれかの線形静的応力結果を含んでいます。
周期イベントおよび疲労計算を定義するには、解析者はそれらの荷重ケースに「荷重履歴」を割り当てる必要があります。荷重履歴では、静的 FE モデルでの応力の計算が時間の経過によってどのように変化するかを記述します。疲労解析ウィザードでは、「荷重履歴」ごとに 1 つまたは複数の荷重ケースを調整したり組み合わせて、最終的な周期応力を作成できます。
疲労解析ウィザードでは、FE モデルの解析済みのすべての荷重ケースが自動的に読み取られます。次のセクションで説明する方法を使用して、荷重ケースのオン/オフの切り替え、荷重ケースに対する個別の荷重曲線の定義、各荷重ケースのスカラー乗数の定義を実行します。
このステップでは、解析の結果を使用して、荷重履歴曲線を乗算します。これらの曲線により、疲労イベントを定義します。
例:
FE モデルの線形静的応力解析を実行しました。
このステップでは、解析の結果を使用して、荷重履歴曲線を乗算します。この曲線によって、疲労イベントが定義されます。
例:
次の図に示す荷重を使用して線形応力解析を実行し、応力を確認しました。
荷重 P は、静的一定荷重です。
ただし、実際には、次の図に示すとおり、この荷重は何回でも適用および削除できます。必要な場合は、この周期イベントにおけるモデルの疲労パフォーマンスを評価します。
例:
または
これらの条件は、疲労解析ウィザードで簡単に作成できます。
次のステップは、静的イベントに荷重履歴を適用する方法を示したものです。線形静的解析で、必須の荷重ケースの[荷重曲線]フィールドをクリックします。たとえば、荷重ケース 3 に対して荷重曲線を定義するには、[荷重曲線]列の 3 行目をクリックします。
このフォームが表示されます。さまざまな手段で荷重曲線データを入力できます。
1 番目の方法では、フォームに荷重曲線データを直接入力します。[時間と乗数]テーブルに行を追加または削除するには、右クリックして目的のコマンドを選択します。
2 番目の入力方法では、*.CSV ファイル(カンマ区切り値)をインポートします。いくつかの曲線は、プログラムのインストールに含まれています。これらの曲線(*.CSV ファイル)は、Simulation Mechanical インストール フォルダ(通常、C:¥Program Files¥Autodesk¥Simulation 20xx)の ¥Addins¥Fatigue Wizardサブフォルダ内にあります。
次の例では、インポートされた CSV ファイル(...¥Addins¥Fatigue Wizard フォルダの「SAE test data bracket.csv」)を示しています。
荷重曲線データをフォームに入力またはインポートして、データを受け入れると、メインの「ステップ 4」のフォームに戻ります。フォームが更新され、荷重曲線データが入力され、この荷重ケースに割り当てられていることが示されます。この場合、荷重ケース 3 の荷重曲線は、「定義済み」で「アクティブ」です。
必要に応じて、荷重ケースに定義した荷重曲線データを、その荷重ケースを非アクティブにすることで疲労計算から除去できます。[アクティブ]セルをクリックして、そのステータスを切り替えます。
荷重曲線データを調整できます。 [スカラー]セルに乗数(既定により 1.00 に設定)を入力します。
荷重曲線に関する重要事項
以前に定義した荷重曲線は、各アクティブ荷重ケースの線形応力結果に対する乗数です。以下の例を考えます。
計算で使用する疲労応力 = 線形静的応力 x 荷重曲線乗数
たとえば、線形応力モデルに適用された荷重が最大荷重 100N (例)であり、疲労解析の荷重曲線の最大値 = 1.5 である場合、
疲労計算で使用する疲労応力 = 100N x 1.5 = 150N。
線形静的モデルに 1N の荷重を適用して、最大値 = 150N の疲労荷重曲線を定義することができます。
計算で使用する疲労応力 = 1N x 100 = 100N
同じ結果が生成されます。この「単位荷重」法は、有効で便利な方法であり、疲労荷重の適用で使用される一般的な方法です。
解析で複数の荷重ケースを解決する場合、疲労解析ではそれらの荷重ケースから複数の荷重ケースを使用できます。複数の荷重ケースを使用する場合、疲労解析ウィザードでは荷重ケース重ね合せおよび非定常法の 2 つの方法を使用できます。各方法の理論に関する詳細については、「理論概要」を参照してください。
荷重ケース重ね合せ
同時に複数の荷重をモデルに適用する場合、個別の荷重履歴を各荷重ケースに割り当て、必要な応力調整および重ね合せを実行できます。
疲労解析で必要とされる各荷重ケースのステップについては、前述の説明に従ってください。各荷重ケースに適用する荷重履歴には、同じポイント番号を設定する必要はありませんが、すべての開始および終了が同じ「時間」の値でなければなりません。そうでない場合は、疲労解析ウィザードによって警告されます。
荷重履歴を各荷重ケースに割り当てたら、各荷重ケースに乗数を割り当てることができます。[アクティブ]セルをクリックして、個別の荷重ケースをオン/オフにできます。
すべての荷重ケースを単一のグラフに表示するには、[すべての荷重曲線を表示]ボタンを押します( )。表示で、すべての曲線が同じ時間に開始および終了することを確認します。
非定常解析
非定常解析は、荷重履歴が個々の荷重ケースに適用されない点において重ね合せの方法と異なります。その代わりに、疲労解析ウィザードでは、線形静的解析のさまざまな荷重ケースからの結果を使用して、応力のシーケンスが定義されます。
疲労サイクルを構成する応力履歴は、連続する個別の応力状態によって構成されます。荷重ケース重ね合せは必要ありません。
非定常情報を入力するには、荷重ケースを選択してサイクルを定義し、必要に応じて応答スケール係数を入力し、[非定常解析]をオンにします。非定常解析モードでは、[荷重曲線]列が非表示になります。
サイクルにおける応力状態の順番は、FE モデルでの表示順によって決まります。したがって、非定常法を使用する場合は、後で実行する疲労解析サイクルのために FE モデルを適切に設定する必要があります。
スペクトル解析スペクトル解析は、前述の非定常解析のシンプルな拡張です。非定常解析と同様、スペクトル解析では、荷重ケースの重ね合せを実行しません。応力履歴は、個別の荷重ケースによって定義されるシーケンスに基づいて、疲労解析ウィザード内で作成されます。疲労解析ウィザードでは、線形静的解析のさまざまな荷重ケースからの結果を使用して、応力のシーケンスが定義されます。
スペクトル解析が簡潔な非定常解析と異なる点は、応力の複数のシーケンスを定義するために追加のテキスト ファイルを使用する点です。テキスト ファイルは、応力のシーケンス(単一の応力履歴を構成)、およびこの履歴の繰り返し数の両方を定義するために使用します。
次に、疲労解析ウィザードでは、スペクトル ファイルによって定義される個別の応力サイクルのすべての繰り返しにおいて損傷の集計が実行されます。
スペクトル解析を設定するには、[スペクトル解析]をオンにします。次に、表示された標準ファイル選択アイコンをクリックして、スペクトル ファイルを関連付けます。スペクトル解析では、ステップ 4 のダイアログ ボックスからのスケール係数およびスペクトル ファイルからのスケール係数を使用して、複数の応力履歴が作成されます。これら個別の応力履歴を使用して、損傷が計算されます。次に、この損傷は、応力履歴の繰り返し数全体で集計され、スペクトル ファイルで定義されます。合計の損傷/寿命がスペクトル全体にレポートされます。
次の例では、スペクトル解析の実行プロセスを説明します。
例のスペクトル ファイル
スペクトル ファイルはスプレッドシート(たとえば Microsoft Excel)から開始し、*.CSV ファイルとして保存されます。5 | |||||
10000 | 5000 | 20000 | 100 | 10 | $ |
0 | -1 | 1 | 0 | 0 | $ |
0.05 | 1 | 0 | 2 | -5 | $ |
0 | -1 | 1 | 0 | 0 | $ |