ヤコビ行列式の非正値エラーまたはひずみのある要素

ソリッド メッシャにより非常に細長い 4 面体要素が作成される場合、解析の問題が発生する可能性があります。線形応力解析の場合、このような要素の体積は(丸めにより)ゼロに近くなるか負になります。このため、ヤコビ行列式が負になり、結果の精度が低くなる程度まで解析が困難になります([結果コンター] [電圧と電流] [電流束の精度])。

非線形応力解析の場合、歪みのある要素により「** 警告: パーツ 2 の歪みのある要素: 完全性は維持されています」といった内容の警告メッセージが表示されることがあります。

次に示すソリッド メッシュの統計情報について説明します。(FEA エディタ環境で、[メッシュ] [メッシュ] [メッシュ作成結果を表示示]を選択し、パーツ情報を調べます。最後に作成されたソリッド メッシュの場合、ソリッド メッシュの統計情報も .XLG ファイルに記述されます)。一般的な要約に続き、統計情報の行ごとに数値の列があります。これらは、左から右に 4 面体(4 節点)要素、ピラミッド(5 節点)要素、ウェッジ(6 節点)要素、およびブリック(8 節点)要素を表します。ヤコビ行列式の問題は、最大長さ比が相対的に大きい場合に発生します。通常、これは 4 節点要素で発生します。

メッシュ タイプ

ブリック、ウェッジ、ピラミッド、および 4 面体の混合

水密

有効

メッシュの微細孔の有無

なし

全節点数

966

体積

136.799506 in^3

全要素数

1511

 

4 面体

ピラミッド

ウェッジ

ブリック

要素数

744

384

140

243

体積(%)

10.96

12.33

9.31

67.38

最大長さ比

105.2

44.6

5.4

2.3

平均長さ比

5.9

4.1

3

1.5

平均アスペクト比

1.3

1.4

1.2

1

非拘束アスペクト比

3.1

3.2

1.3

1.1

上記の例では、ブリック要素が 243 個、ウェッジ要素が 140 個、ピラミッド要素が 384 個、4 面体要素が 744 個作成されました。最大長さ比については、ブリック要素が 2.3、4 面体要素が 105.2 でした。

最大許容長さ比の一般的なガイドラインはありません。モデルごとに異なります。このため、値が 10000 でも許容される場合もあれば、それより大幅に低い値でもモデルに問題が生じる場合もあります。

長さ比の問題発生を低減するためのオプションがいくつかあります。微細孔のオプションを有効にしてパーツのメッシュを作成しなかった場合は、次に示すオプションの採用を検討します。このオプションでは、長さ比が大きい破片要素を除去します(詳細については、「ソリッド メッシュ内での微細孔の効果」を参照してください。)。FEA エディタ環境で、メッシュを再作成するパーツを 1 つまたは複数選択し、右クリックして[ソリッド メッシュを作成] [オプション] [微細孔を許容]を選択します。次に、ソリッド メッシュを作成し、メッシュの精細度を高くして解析を実行します。(ソリッド メッシュのダイアログ ボックスには、[メッシュ] [メッシュ] [ソリッド メッシュを作成]を選択してもアクセスできます。 最初に、メッシュ作成するパーツを選択する必要があります。

次のオプションでは、最大アスペクト比を設定してソリッド メッシュを再作成します。目標は、ソリッド メッシュで完全なメッシュを作成できなくなるまで、またはソリッド メッシュ エンジンが指定の比率に達しなくなるまで値を下げることです。そこで、ソリッド メッシュ エンジンを実行し、限界に達するまでアスペクト比を(50、25 というように)半分ずつ減らしていきます。FEA エディタ環境で、メッシュを再作成するパーツを 1 つまたは複数選択し、右クリックして[CAD メッシュ オプション] [ソリッド メッシュを作成] [品質]を選択します。(設定の詳細については、「ソリッド」の「アスペクト比をコントロールする」を参照してください)。次に、ソリッド メッシュを作成し、メッシュの精細度を高くして解析を実行します。

ソリッド メッシュを作成するたびに、必ずログ ファイルを確認してください。指定したパラメータでソリッド メッシュ エンジンが体積を完全に充填できない場合、エラー メッセージが記述されます。ログ ファイルの記述の一部を次に示します。

処理の種類:

パーツ 4 に定義されたサーフェスのみをメッシュ作成

ブリック、ウェッジ、ピラミッド、および 4 面体要素を作成

最大アスペクト比を 10.0 未満に維持

 

エラー番号 300:

ソリッドのメッシュ作成を続行できません。ソリッドは充填されていません。

 

最終統計情報:

未処理: 4 節点、6 本の線、4 個の 3 角形

作成済み要素(4、5、6、8 節点): 1953 (1153, 482, 73, 245 )

最後に、モデルが原点付近に配置されていない場合、節点座標の丸めエラーにより歪みのある要素が作成される可能性があります。モデル全体が数千もの座標で配置されている場合は、別の解決策として、CAD モデルを原点に近づける方法があります(理想的には、モデルを原点で中心に配置する必要があります)。この場合、モデル全体をインポートして、メッシュを再作成する必要があります。

ヤコビ行列式の問題が引き続き発生する場合は、サーフェスメッシュを変更して、異なるソリッド メッシュを取得する必要があります。