マルチフィジックス(異なる解析タイプの連成)

このセクションでは、マルチフィジックス解析の設定および実行について説明します。Simulation Mechanical を使用して、1 つの解析タイプの結果を、後続の異なる解析タイプの荷重として適用できます。次に例を示します。

このページでは、一方向連成(または非連成とも呼びます)マルチフィジックスのシナリオにおいて解析タイプを組み合わせる場合の考慮事項について説明します。連成は「一方向」として定義されます。これは 1 番目の解析結果が 2 番目の解析に影響を与えますが、2 番目の解析結果は 1 番目の解析に影響を与えることはないためです。双方向連成解析(または単に連成解析とも呼びます)は、解析が相互に影響を与え、両方の結果セットが収束するまで、繰り返し解を計算する必要があります。Simulation Mechanical では双方向連成マルチフィジックス解析シナリオはサポートしていません。

一方向連成(または非連成)マルチフィジックスのシナリオでは、個別の解析タイプを別々に実行します。このため、一方向連成解析の各段階の詳細については、「解析固有の情報」の適切なサブトピックを参照してください。

解析タイプを組み合わせる場合の考慮事項

特定の解析の結果を別の解析の荷重として指定する方法

前に実行した解析の結果に基づく入力または荷重を指定するには 2 種類の方法があります。

  1. [解析パラメータ]ダイアログ ボックスを使用する方法

    適用可能な場合、入力条件のソースとして外部ファイルを指定するタブが[解析パラメータ]ダイアログ ボックスに表示されます。たとえば、線形および非線形構造解析の[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[熱]タブおよび[電気]タブでは、熱解析の結果(温度)および静電解析の結果(電圧)を指定することができます。また、結果ファイルから目的の時間ステップまたは荷重ケースを指定することもできます。

  2. [ファイルから入力]コマンドを使用する方法

    このコマンドには、FEA エディタの表示領域を右クリックしてアクセスします。このコマンドは、右クリックしたときに何も選択していない場合にのみコンテキスト メニューに表示されます。[ファイルから入力]ダイアログ ボックスでは、結果ファイルのタイプ、入力として使用する結果ファイルの荷重ケース、特定の荷重を適用する現在の解析における荷重ケース、および乗数を指定できます。

温度の場合、上記のいずれの方法も使用できますが、動作は方法間で若干異なります。静電電圧の入力値は、[解析パラメータ]ダイアログ ボックスでのみ指定できます。その他のすべての結果タイプについては、[ファイルから入力]コマンドを使用して、荷重を後続の解析に適用する必要があります。[ファイルから入力]コマンドからのみ適用できる結果は静電力です。

注: 詳細については、「解析の設定と実行」の「一般」または「解析固有」サブセクションにある「荷重および拘束」セクションを参照してください。

目的の荷重が最初の解析から出力されているかどうかの確認

特別な場合として、後続の解析に適用可能な結果がソルバーから既定で出力されない場合があります。この場合、具体的には静電反力の出力をオプションで有効にして、反力を計算および出力するサーフェスを指定する必要があります。これは、静電界強度と電圧解析タイプの[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[オプション]タブで行います。

メッシュを一致させる必要があるかどうかの確認

一方向連成のタイプによっては、2 つのモデルでメッシュが異なっていても許容されるものもあります。その場合、両方のモデルでメッシュの最適化が可能になります(もちろん、メッシュが同じでもかまいません)。 図 1 の例を参照してください。異なるメッシュがサポートされているかどうかを調べるには、それぞれの読み込みタイプのページを参照してください。

(a) 熱解析による温度結果

(b) 粗いメッシュを持つ応力解析に読み込み

(c) 細かいメッシュを持つ応力解析に読み込み

図 1: 温度結果から異なる応力メッシュへのマッピング

注: Simulation Mechanical 構造解析での Simulation CFD の熱解析結果の使用に関する詳細については、「Autodesk® Simulation CFD の温度結果を熱荷重として使用」ページを参照してください。

各種メッシュの要件

2 つのモデルでの異なるメッシュがサポートされる読み込みタイプの場合、結果モデルは完全なモデルでなければなりません。その結果モデルの各パーツにある節点をターゲット モデルの同じパーツ番号にマッピングすることにより、異なるメッシュ間で結果が転送されます。 マッピングは次のとおりです。

マッピングはパーツごとに実行されるため、各モデル内のさまざまなパーツのアクティブ化や非アクティブ化が行われる可能性があります。たとえば、静電解析による電圧を応力解析で使用して圧電効果を計算するとします。静電モデルでは、適切な静電場を得るために、解析に空気が含まれることがあります。しかし、空気は応力解析には無関係であるため、非アクティブ化されます。同様に、応力解析に必要でも静電解析には影響しないパーツがある場合、そのパーツは静電解析では非アクティブ化されます。図 2 を参照してください。

結果ファイルのみが存在する場合は、後述の「同一メッシュの要件」を参照してください。

(a) パーツ 2~5 を持つ完全なモデル。 パーツ 3 は絶縁体、パーツ 4 は空気です。

(b) 静電解析による電圧結果。パーツ 3 は解析に含まれません。

(c) 応力解析における電圧負荷。パーツ 3 が含まれます。パーツ 4 は含まれません。

図 3: 静電および応力モデルで異なるパーツ番号

同一メッシュの要件

2 つのモデルでメッシュが同じでなければならない負荷タイプの場合、または結果に対する完全なモデルが存在しない場合、次の 2 の方式のうちのいずれかによって結果が転送されます(負荷タイプの機能によって異なります)。

入力モデルは存在せず、結果ファイルのみが存在する場合には、転送が節点番号方式によって実行される必要があります。

結果ファイルが定義されている場合、ターゲット モデルの他のすべての節点が既定の負荷を受け取ります。