Autodesk Vault の SQL 管理タスク

Microsoft SQL Server は、sa という名前の既定の管理アカウントを作成します。このアカウントは、完全な管理者権限とシステム テーブルの所有権を持ちます。この sa アカウントのパスワードを変更しない限り、Vault ではパスワードを使用する必要はありません。sa アカウントのパスワードを変更した場合、Vault のアタッチなどの管理タスクを実行する際に、新しいパスワードの入力が求められます。

SA アカウント パスワードの既定

システム管理者は、セキュリティ上の理由から、既定の SA パスワードを変更することができます。パスワードの変更後は、一部の ADMS Console のコマンドを実行するたびに、管理者は新しいパスワードの入力が必要になります。このため、新しいパスワードは、安全な場所に保管する必要があります。

Autodesk Vault では、SQL トランザクションの Vaultsys SQL ユーザ アカウントも作成されます。このパスワードは、SQL Server Management Studio を使用した場合にのみ変更することができます。このパスワードも、<インストール パス>¥ADMS Edition 20XX¥ Server¥Web¥Services フォルダの web.config ファイル保管場所に保存されます。

注: サブスクライバまたはパブリッシャーにリモート サイトを追加している場合は、ADMS をインストールすると、SQL サーバの Vaultsys パスワードが既定でリセットされます。この場合、インストール直後にカスタム パスワードに戻す必要があります。戻さない場合、ユーザが Vault にアクセスできなくなります。

ADMS Console をインストールするたびに、SQL ログイン ユーザにより SQL Server に ADMS-[サーバ名]が作成されます。

Microsoft SQL の構成

単一サイトの要件

システム

32 ビット

64 ビット

Microsoft SQL Server® 2008 Express、Workgroup、Standard、Enterprise (SP3)

Microsoft SQL Server 2008 R2 Express、Standard、Enterprise (SP2)

Microsoft SQL Server 2012 Express、Standard、Enterprise (SP1)

複製の要件

システム

32 ビット

64 ビット

Microsoft SQL Server® Standard、Enterprise (SP3)

Microsoft SQL Server 2008 R2 Standard、Enterprise (SP2)

Microsoft SQL Server 2012 Standard、Enterprise (SP1)

SQL Server 2008 Express の詳細

インストール中に既存の SQL サーバが検出されなかった場合、Autodesk Data Management Server とともに Microsoft SQL Server 2008 SP3 Express がインストールされます。Microsoft SQL Server 2008 Express は、Microsoft SQL Server 2008 の機能縮小版です。

Microsoft SQL Server バージョンの比較

Microsoft SQL バージョン

コンカレント ユーザ

Vault 容量

MS SQL Server 2008 SP3 Express

無制限

4 GB のメタデータ

SQL Express 用の単独のプロセッサ

無制限のファイル保管場所

(Vault サーバに約 40,000 バージョン)

MS SQL Server 2008

無制限

数テラバイト

最大 Vault サイズ Microsoft SQL Server 2008 Express は Vault あたり最大 4 GB をサポートしています。これは Vault 単位の制限であり、サーバ単位の制限ではありません。1 台のコンピュータ上で複数の SQL インスタンスをサポートしており、各インスタンスは最大 4 GB の Vault をサポートしています。

注: Microsoft SQL Server の詳細については、Web サイトを参照してください。

SQL サーバにログインするには

SQL サーバの既定の sa パスワードが変更された場合は、新しい sa パスワードを使用して SQL サーバにログインする必要があります。sa パスワードがわからない場合は、SQL サーバ管理者に問い合せてください。

  1. sa アカウントのユーザ名を入力します。既定は sa です。
  2. SQL sa アカウントのパスワードを入力します。
  3. [OK]をクリックします。

Autodesk Vault サーバをインストールする前に Microsoft SQL Server 2008 をインストールする

Vault サーバをインストールする前に Microsoft SQL Server をインストールします。

Microsoft SQL 2008

Microsoft SQL 2008 をインストールする

  1. 新規 SQL Server スタンドアロン インストレーションを選択して Microsoft SQL 2008 Server のインストレーション プロセスを開始するか、インストレーション メニューから既存のインストレーションに機能を追加します。
  2. インストール プロセスによって必須コンポーネントがインストールされ、インストール前チェックが実行されます。
    注: エラーが発生した場合には、内容を確認し、必要な修正作業を行ってから作業を続行します。
  3. [機能の選択]ウィンドウで、[データベース エンジン サービス]をダブルクリックします。このときに、インストール先の場所を指定することもできます。
  4. [インスタンスの構成]ダイアログ ボックスで、名前付きインスタンスを選択して、名前として AutodeskVault と入力します。

    注: このインスタンス名を使わずに SQL をインストールすると、Autodesk Vault Server のインストール時に Microsoft SQL Express 2008 SP2 を使用して AutodeskVault という独自の SQL Server インスタンスが作成されます。AutodeskVault という名前でない SQL インスタンスは認識されません。
  5. [サーバの構成]ウィンドウで、[サービス アカウント]タブを選択します。
    • SQL Server データベース エンジンに NT AUTHORITY¥NETWORK SERVICE アカウントを指定します。ローカル システム アカウントも使用できます。リモートの場所に対してバックアップおよびリストアの作業を行いたい場合は、ドメイン ユーザ アカウントを指定します。スタートアップ タイプを自動に設定する

  6. [データベース エンジンの構成]ウィンドウで、[アカウントの準備]タブを選択します。[混合モード]認証を選択して、SA パスワードを設定します。SA アカウントの場合、既定のインストール時に使用される既定のパスワードは、「AutodeskVault@26200」です。ローカル管理者アカウント(または任意のアカウント)を SQL Server 管理者として追加します。SQL サーバへのログイン時、このダイアログに入力した Windows ユーザのみがフル権限を有します。その他すべての Windows ログインはゲスト アカウントとして扱われます。

    注: 異なる SA パスワードを使用する場合は、「[自分の SA クリデンシャルを使用する]オプション」セクションに記述されている[自分の SA クリデンシャルを使用]オプションを使用します。
  7. 選択したインストレーション オプションを確認して、[インストール]を実行します。インストーラが終了したら、インストーラを閉じることができます。
  8. 必要な場合は、SQL 2008 SP2 および適用可能な修正プログラムを Microsoft の Web サイトからダウンロードしてインストールします。SP 2 のインストールに成功した場合、データベース エンジン バージョンは 10.0.4### になります。

Microsoft SQL 2008 R2 の場合

Microsoft SQL 2008 R2 をインストールする

  1. 新規 SQL Server スタンドアロン インストレーションを選択して Microsoft SQL 2008 R2 Server のインストレーション プロセスを開始するか、インストレーション メニューから既存のインストレーションに機能を追加します。
  2. インストール プロセスによって必須コンポーネントがインストールされ、インストール前チェックが実行されます。エラーが発生した場合には、内容を確認し、必要な修正作業を行ってから作業を続行します。
  3. セットアップ ロール時に、[SQL Server Feature Installation]を選択します。

  4. [データベース エンジン サービス]、および環境で必要とされる追加のロールを選択します。接続ワークグループ環境では、[SQL Server レプリケーション]は必須で、[管理ツール]は推奨です。Express バージョンの SQL では[管理ツール - 基本]のみを使用できます。

  5. [インスタンスの構成]ダイアログ ボックスで、名前付きインスタンスを選択して、名前として AutodeskVault と入力します。

    注: このインスタンス名を使わずに SQL をインストールすると、Autodesk Vault Server のインストール時に Microsoft SQL Express 2008 SP2 を使用して AutodeskVault という独自の SQL Server インスタンスが作成されます。AutodeskVault という名前でない SQL インスタンスは認識されません。
  6. [サーバの構成]ウィンドウで、[サービス アカウント]タブを選択します。
    • SQL Server データベース エンジンに NT AUTHORITY¥NETWORK SERVICE アカウントを指定します。ローカル システム アカウントも使用できます。リモートの場所に対してバックアップおよびリストアの作業を行いたい場合は、ドメイン ユーザ アカウントを指定します。スタートアップ タイプを自動に設定する

  7. [データベース エンジンの構成]ウィンドウで、[アカウントの準備]タブを選択します。
    • [混合モード]認証を選択して、SA パスワードを設定します。SA パスワードの場合、既定のインストール時に使用される既定のパスワードは、「AutodeskVault@26200」です。
    • ローカル管理者アカウント(または任意のアカウント)を SQL Server 管理者として追加します。SQL サーバへのログイン時、このダイアログに入力した Windows ユーザのみがフル権限を有します。その他すべての Windows ログインはゲスト アカウントとして扱われます。

    注: 異なる SA パスワードを使用する場合は、[自分の SA クリデンシャルを使用する]オプションを使用します。
  8. 選択したインストレーション オプションを確認して、[インストール]を実行します。インストーラが終了したら、インストーラを閉じることができます。

SQL ログインの再構成

ドメイン パスワード ポリシーを持たない場合は、このセクションを省略できます。ドメインにパスワード ポリシーが設定されている場合、このポリシーに適合するパスワードを使用します。インストレーションの完了後、SA パスワードを AutodeskVault@26200 にリセットし、[パスワード ポリシーを適用する]チェックボックスの選択を解除します。VaultSys という名前のログイン アカウントを作成する必要もあります。

SQL ログイン アカウントを作成する

  1. Microsoft SQL Server Management Studio を開きます。
  2. [セキュリティ] > [ログイン]フォルダを展開します。
  3. [ログイン]フォルダを右クリックし、[新しいログイン]を選択します。
  4. ログイン名に VaultSys と入力します。
  5. [SQL Server 認証]を選択します
  6. SA パスワードとしてSuperMan769400006! と入力します。
  7. [パスワード ポリシーを適用する]のボックスをオフにします。

  8. [サーバー ロール]ページを選択します。
  9. 次のロールの横にあるボックスをオンにします。
    • dbcreator
    • processadmin
    • setupadmin
  10. [OK]をクリックして、アカウントを作成します。

マルチサイト対応の Microsoft SQL Server を構成する(Vault Professional のみ)

インストール中にインストール済みの Microsoft SQL のバージョンが検出できなかった場合、Autodesk Vault Server は Microsoft SQL 2008 Express Service Pack 2 をインストールします。Vault Server をインストールする前に、Microsoft SQL 2008 Standard/Enterprise Edition Service Pack 2 または Microsoft SQL 2008 R2 Standard/Enterprise Edition をインストールできます。こうすることで、後でアップグレードを実行しなくて済みます。

注: このインストール プロセスでは、サーバの再起動を複数回行わなければならない場合があります。必要に応じて再起動を行ってください。また、SQL SA アカウントのカスタム パスワードを使用する場合には、Vault サーバのインストール時にそのパスワードを指定してください。

リモート SQL を設定する

Vault Professional では、SQL リモート データベースを使用できるように Vault 環境を設定することができます。このデータベースは、パフォーマンスが向上するように、単一のサイトで使用可能な専用サーバに設置されます。また、マルチサイトの Vault 複製環境で使用することも可能です。

注: 以降のステップは、SQL 2008 でリモート アクセスをセットアップするための詳細な手順です。
  1. SQL Server をインストールしたコンピュータで、[スタート] ► [プログラム] ► [Microsoft SQL Server 2008] ► [構成ツール] ► [SQL Server 構成マネージャ]の順にクリックします。
  2. [Sql Server Configuration Manager]ダイアログ ボックスで、[SQL Server ネットワークの構成]を展開し、[AUTODESKVAULT のプロトコル]を選択します。
  3. プロトコルの一覧で[TCP/IP]を右クリックし、[有効化]を選択します。
  4. [Sql Server Configuration Manager]を閉じます。
  5. Windows® の[スタート]メニューから、[設定] ► [コントロール パネル]の順に選択します。
  6. [コントロール パネル]で[管理ツール]をダブルクリックします。
  7. [管理ツール]ウィンドウで、[コンピュータの管理]をダブルクリックします。
  8. [コンピュータの管理]ウィンドウで、[サービスとアプリケーション]を展開し、[サービス]を選択します。
  9. [SQL Server (AUTODESKVAULT)]サービスを選択します。サービスを右クリックし、[再起動]を選択します。
  10. [SQL Sever Browser]サービスを選択します。サービスを右クリックし、[プロパティ]を選択します。
  11. [(ローカル コンピュータ) SQL Server Browser のプロパティ]ダイアログ ボックスで、[スタートアップの種類]を[自動]に変更し、[OK]をクリックします。
  12. [SQL Server Browser]を右クリックし、[開始]を選択します。

共有ネットワーク フォルダを作成する

マルチサイト環境では、あるサイトから AUTODESKVAULT SQL インスタンスをホストすることができます。その SQL インスタンスに別のサイトからリモートでアクセスすることもできますし、同一の SQL インスタンスにすべてのサイトからリモートでアクセスすることもできます。SQL インスタンスにアクセスできるよう追加のサイトを構成するには、共有ネットワーク フォルダを作成する必要があります。

共有ネットワーク フォルダは、SQL インスタンスと Autodesk Vault Server の間の移行領域として必要です。共有ネットワーク フォルダは、Autodesk Data Management Server と SQL の両方からアクセス可能な任意のコンピュータに配置できます。共有フォルダには、すべてのデータベース ファイルの合計サイズに等しい容量が必要です。

Autodesk Vault Server を実行するためのユーザ アカウントと SQL インスタンスを操作するためのユーザ アカウントの両方に、共有ネットワーク フォルダの完全なアクセス権が必要です。

  1. ネットワーク上の場所を選択し、フォルダを作成します。
  2. 新しいフォルダを右クリックし、[共有とセキュリティ]を選択します。
  3. [プロパティ]ダイアログ ボックスで、[このフォルダを共有する]をクリックします。
  4. 共有フォルダの名前を入力します。
  5. [コメント]フィールドに、「Autodesk Vault 用の共有ネットワーク フォルダ」と入力します。
  6. [アクセス許可]をクリックします。
  7. [アクセス許可]ダイアログ ボックスで、[追加]をクリックします。ADMS を実行しているユーザ アカウントを追加します。既定では、このアカウントは Autodesk Vault という名前の ADMS サーバのローカル管理者アカウントです。
  8. SQL Server サービスを実行している Windows アカウントを追加します。既定は[Network Service]です。
  9. 両方のアカウントに[フル コントロール]のアクセス許可を付与します。
  10. [アクセス許可]ダイアログ ボックスで、[OK]をクリックします。
  11. [プロパティ]ダイアログ ボックスで、[OK]をクリックします。