実世界のオブジェクトのように見えるカラーやプロパティを選択しないと、マテリアルでシーンの現実味を増すことはできません。このトピックでは、標準マテリアルのカラーを選択する際の一般的なガイドラインを説明します。できれば、モデル化したオブジェクトに含まれる色を自分の目で確認する必要があります。特にさまざまな照明の条件下で確認することが必要です。
マッピングされていない標準マテリアルの場合は、ビューワに表示するオブジェクトを思ったほどリアルに仕上げられないことがあります。しかし、遠景オブジェクトや周辺オブジェクト、あるいはプラスチック製品などの実世界にあるようなマテリアルは、マッピングされていない標準マテリアルでも十分な効果が得られます。マップ数を最小にするとファイルのサイズを小さくすることができます。
シーンが屋内であるか屋外であるかの違いは、ライトの設定方法だけでなくマテリアル カラーの選択にも影響を与えます。一面が日光で照らされている場面は明るく、光は一方向からやってきます。多くの場合、屋内の照明は自然光よりも弱く、均等な(多方向性の)光です。しかしステージ照明など特殊な屋内照明(および夜間の屋外照明)の光は強く、指向性もあります。
直射日光は黄色味を帯びています。自然光のもとにあるオブジェクトを表現するには、マテリアルに薄い鏡面反射光カラー、つまり彩度の低い黄色(たとえば RGB 値 240、240、188)が含まれている必要があります。周囲光カラーは鏡面反射光と補色関係にある必要があります。この場合は、わずかに拡散反射光カラーが入った深く濃い紫色です。
通常の屋内照明のもとにあるオブジェクトのマテリアルには、白に近い鏡面反射光カラーが必要です(人の目は、人工光にありがちな黄色や緑色を補正して知覚します)。周囲光カラーの色相は拡散反射光カラーと同じ場合が多いですが、明度は濃くなります。
スポットライトを浴びたオブジェクトは、自然光マテリアルの一般的なガイドラインに従ってマテリアルを表現します。鏡面反射光カラーはスポットライトの色と一致しなければなりません。周囲光カラーは、色相がスポットライトの補色で明度が低く、マテリアルの拡散反射光カラーが少し混ざったものでなければなりません。
照明の条件が変化するオブジェクトをレンダリングする場合、それぞれのライトで最適なカラーの中間色にするか、アニメートしてライトの変化に合わせてカラーを変えることができます。
自然のマテリアルが配置された屋外のシーン
自然のマテリアルのほとんどはマット サーフェスで、鏡面反射光カラーがわずかしかないか、まったくありません。このような自然のマテリアルには次のガイドラインを使用してください。
樹木、鳥の羽、魚のうろこなどには、輝いているものもあります。そのような場合、光沢の値を高く設定します。鏡面反射光カラーを変更して、サーフェスの拡散反射光カラーよりもライトのカラーに近い色にすることもできます。
水は反射性です。これをモデル化するには、反射マップまたは波マップを組み合わせたカラー コンポーネントを使用するのが最適な方法です。
金属は自然のマテリアルですが、その独特の視覚的な特徴は、磨き上げたときに最も強く現れます。このトピックで後述されるように、これは標準マテリアルで特殊なシェーディングを使って表現されます。
人工のマテリアルがある屋内のシーン
人工のマテリアルの多くは、「アース トーン」ではなく合成色を使用します。また、プラスチックや磁器の光沢のある表面など、多くの人工のマテリアルの輝度は高くなっています。人工のマテリアルには次のガイドラインを使用してください。
金属製のカップとアイスクリーム スクープ
磨き上げた金属には「グランシング」という特有のハイライトがあり、ライトの入射角が高い場合に現れます。この効果を実現するには、[メタル](Metal)シェーディングで[Cook/Torrance]発光モデルを使用します。
メタリックなマテリアルの場合、[メタル](Metal)シェーディングを使用できます。[メタル](Metal)シェーディングでは、鏡面反射光カラーおよびハイライトのコントロールは使用できません。[メタル](Metal)シェーダによって鏡面反射光カラーが計算されます。これは拡散反射光カラーとライトの色との間で変動します。
金属マテリアルの拡散反射光範囲では、他の種類のマテリアルのときよりも周囲光コンポーネントが大きくなります。
[異方性反射](Anisotropic)、[マルチ レイヤ](Multi-Layer)、および[ストラウス](Strauss)の各シェーダには、磨き上げた金属をモデル化するためのオプションが更に用意されています。
シーンの中心が金属的なオブジェクトの場合、ブレンド マテリアルを使って金属的なシェーディングと反射マップを組み合わせることで、より一層リアルに表現できます。