グローバル メッシュ リファインメント

一般に FEA では、高精度な結果を得るために必要なメッシュ サイズを決定することが課題となります。CAD モデルを使って作業する場合は、グローバル メッシュ リファインメントコマンドを使用してこの課題を解決できます。このコマンドによって[メッシュ スタディ ウィザード]が表示され、次のタスクを自動化できます。

グローバル メッシュ リファインメントは、次の解析タイプでサポートされています。

モデルを設定する

メッシュ評価を実行する前に、次の手順に従って設定を行います。

  1. Autodesk Simulation Mechanical で CAD モデルを開きます。
  2. 解析タイプに次のいずれかを設定します。
    • 線形材料による静解析
    • 定常熱伝導解析
    • 静電電流と電圧解析
    • 静電界強度と電圧解析
  3. メッシュ タイプ(ソリッド、中立面、プレート/シェル )、細分化節点、メッシュ マッチングの許容誤差など、特殊なメッシュ化オプションを必要に応じて設定します。
  4. サーフェス、エッジ、またはパーツの荷重や拘束をモデルに追加します。CAD パーツに適用される節点荷重または拘束は、評価中は保持されません。
  5. 必要に応じて、モデルをメッシュ化します。
  6. 要素定義を設定します。
  7. 材料特性を設定します。
  8. 解析パラメータを設定します。
  9. 必要に応じて、[モデルをチェック]を実行するか、または初期解析を実行します([Simulation を実行])。
ヒント:
  • モデルおよび設定に問題がないかどうかを確認するために、モデルを事前にメッシュ分割することをお勧めします(ただし必須ではありません)。
  • 細分化節点を追加する場合は、リファインメントのメッシュサイズタイプの代わりに分割係数タイプを使うことを検討してください。この方法では、細分化節点の周りのメッシュは、すべての反復で同じサイズになるのではなく、常にメッシュ サイズ全体よりも小さい係数になります。(詳細については、「細分化節点」を参照してください。)
  • モデルおよび設定に問題がないかどうかを確認するために、[モデルをチェック]または解析を実行することをお勧めします(ただし必須ではありません)。

グローバル メッシュ リファインメントを設定する

[解析][メッシュ収束][グローバル メッシュ リファインメント]をクリックします。メッシュ評価ウィザードダイアログ ボックスが表示されます。[次へ]を押して設定を開始します。

モデルが既に開かれており、適用可能な設計シナリオがロードされている場合:

現在ロードされている設計シナリオがメッシュ評価の基準として使用されます。「すべてのメッシュ評価で共通のステップ」の手順に進みます。

現在モデルが開かれていない場合:

Simulation Mechanical セッションが空白の場合、メッシュ評価ウィザードに追加の画面が表示され、使用するモデルと設計シナリオを指定します。

  1. [メッシュ評価用にモデルを選択]: 参照ボタンをクリックして、モデルの場所に移動します。モデルは、サポートされる解析タイプで、設計シナリオが少なくとも 1 つ含まれている必要があります。
    • [開く]を押してモデルを読み込みます。
    • [次へ]を押して続行します。
  2. [このメッシュ スタディの基礎となるモデルの設計シナリオを選択します]: ダイアログ ボックスに設計シナリオが一覧表示されます。サポートされる解析タイプを指定する、設計シナリオのみが選択可能になります。
    • [次へ]を押して続行します。残りの手順については、「すべてのメッシュ スタディで共通の手順」で説明します。
    注: 選択した設計シナリオは、グローバル メッシュ リファインメント プロセスによって変更されません。代わりに、評価パラメータで指定したメッシュ サイズごとに新しい設計シナリオが作成されます。

すべてのメッシュ スタディで共通の手順:

  1. [メッシュ サイズ パラメータ]: このステップでは、スタディで使用するメッシュ サイズを設定します。
    1. 使用するメッシュ サイズ コントロールのタイプを[タイプ]ドロップダウン ボックスで指定します。選択可能なオプションは、[自動百分率]および[絶対メッシュサイズ]です。(これらのオプションについては、「モデル メッシュ設定」の「表面」を参照してください)。
    2. メッシュ サイズの範囲を、[開始サイズ]フィールドと[終了サイズ]フィールドで指定します。
    3. 解析の実行回数を、[総反復数]フィールドで指定します。開始メッシュ サイズと終了メッシュ サイズの差は、総反復数の値を使用して均等な増分に分割されます。たとえば、2 つの反復では、解析は開始サイズおよび終了サイズでのみ実行されます。3 つの反復では、解析は開始サイズと終了サイズ間にある中間のメッシュ サイズでも実行されます。
    4. [次へ]を押して続行します。
  2. メッシュの有効性の基準として使用する結果の定義: このステップでは、各評価で記録する結果と、結果のおおまかな生成場所についてを設定します。設計の評価が完了すると、結果/メッシュ サイズのグラフが表示されます。
    1. 結果: このドロップダウン セレクタを使用し、解析タイプに応じて異なる利用可能な結果オプションの 1 つを選択します。メッシュは、指定された結果に基づいて比較されます。
      表 1: サポートされる各解析タイプの結果の選択肢
      解析タイプ 利用可能な結果オプション
      線形材料による静解析
      • 変位
      • ひずみテンソル
      • 応力テンソル
      定常熱伝導解析
      • 計算された温度
      • 面を通過する熱流量(注: この結果タイプは平滑化されていません)。
      • 熱流束
      静電電流と電圧解析
      • 電圧
      • 電流
      静電界強度と電圧解析
      • 電圧
      • 静電力
      • 静電電荷
      • 変位場
      • 電界
    2. タイプ: このドロップダウン メニューは、メッシュ比較のベースとなる結果を詳細に評価します。使用できるオプションは、以下の結果フィールドで選択した内容によって異なります。
      表 2: 各結果オプションのタイプの選択肢
      解析タイプと利用可能な結果オプション タイプの選択肢
      線形材料による静解析  
        結果 = 変位
      • [大きさ](全結果変位)
      • [ベクトル X](変位の X コンポーネント)
      • [ベクトル Y](変位の Y コンポーネント)
      • [ベクトル Z](変位の Z コンポーネント)
      結果 = ひずみテンソルまたは応力テンソル
      • [フォン ミーゼス](フォン ミーゼス等価ひずみ/応力)
      • [トレスカ2](トレスカ*2 せん断ひずみ/応力)
      • 最小主応力
      • 中間主応力
      • 最大主応力
      • [テンソル 11](ひずみ/応力の XX 成分)
      • [テンソル 22](ひずみ/応力の YY 成分)
      • [テンソル 33](ひずみ/応力の ZZ 成分)
      • [テンソル 12](せん断ひずみ/応力の XY 成分)
      • [テンソル 23](せん断ひずみ/応力の YZ 成分)
      • [テンソル 31](せん断ひずみ/応力の ZX 成分)
      定常熱伝導解析
        結果 = 計算された温度 なし(1 つの結果タイプ)
      結果 = 面を通過する熱流量 なし(1 つの結果タイプ)
      結果 = 熱流束
      • [大きさ](全結果変位)
      • [ベクトル X](変位の X コンポーネント)
      • [ベクトル Y](変位の Y コンポーネント)
      • [ベクトル Z](変位の Z コンポーネント)
      静電電流と電圧解析  
        結果 = 電圧 なし(1 つの結果タイプ)
      結果 = 電流
      • [大きさ](全結果変位)
      • [ベクトル X](変位の X コンポーネント)
      • [ベクトル Y](変位の Y コンポーネント)
      • [ベクトル Z](変位の Z コンポーネント)
      静電界強度と電圧解析  
        結果 = 電圧 なし(1 つの結果タイプ)
      結果 = 静電力 なし(1 つの結果タイプ)
      結果 = 静電電荷 なし(1 つの結果タイプ)
      結果 = 変位場
      • [大きさ](全結果変位)
      • [ベクトル X](変位の X コンポーネント)
      • [ベクトル Y](変位の Y コンポーネント)
      • [ベクトル Z](変位の Z コンポーネント)
      結果 = 電界
      • [大きさ](全結果変位)
      • [ベクトル X](変位の X コンポーネント)
      • [ベクトル Y](変位の Y コンポーネント)
      • [ベクトル Z](変位の Z コンポーネント)
  • 結果フィルタ: 次の 3 つのオプションのうち 1 つを使用して、メッシュ比較のベースとして使用する結果をフィルタ処理します。
    • 最大: 最大の(つまり、最も正の値が大きい)変位、応力、ひずみの結果を使用します。圧縮(負)の結果が存在する場合は、最も正の値が大きい(負の値が小さい)結果が使用されます。この結果は、最大値を使用したものにはならない可能性があります。重要な結果値が正の値になると想定される場合にこのオプションを使用します。
    • 最大絶対値: 結果の中で絶対値が最大のものを使用します(最大値)。このオプションは、負および正の結果値が想定され、引張/圧縮結果が重大なものになるかわからない場合に適しています。
    • 最小: 最小の(つまり、最も負の値が大きい)変位、応力、ひずみの結果を使用します。引張(正)の結果が存在する場合は、最も負の値が大きい(正の値が小さい)結果が使用されます。この結果は、最大値を使用したものにはならない可能性があります。重要な結果値が負の値になると想定される場合にこのオプションを使用します。
注: 平滑化された節点の結果値は、結果のメッシュ スタディ グラフで使用されます。したがって、グローバル メッシュ リファインメントの結果は、結果環境に表示された平滑化された既定の結果コンターと一貫性があります。また、内部の節点が除外されません。歪んだ要素と熱荷重により、表面の節点よりも高い応力とひずみが内部の節点に生じる場合があります。このような場合、平滑化が無効の場合でも、メッシュ評価としては同じ結果の最大値は表示されません。結果環境内でメッシュ評価を確認するには、コマンド Results InquireInquireMaximum Results Summary を使用します。この概要も、すべての節点(表面および内部)の平滑化されていない結果に基づいています。平滑化されている結果と平滑化されていない結果の詳細については、「結果環境」のページを参照してください。

メッシュ評価の実行

ウィザードの[完了]ボタンをクリックして先に進みます。モデルを保存するプロンプトが表示されたら、[はい]を選択します。ウィザードに、新しい設計シナリオの生成、メッシュ分割、解析の実行などの処理の進行状況が表示されます。処理の各ステップですべての反復が実行されてから、次のステップが開始されます。つまり、最初に新しい設計シナリオがすべて作成され、次にそれらがメッシュ分割され、その後解析が実行される、というように処理が行われます(それぞれのステップで進行状況バーが 0 ~ 100% まで進みます)。

結果を表示する

メッシュ評価が完了すると、結果とメッシュ サイズのグラフが表示されます。グラフ ウィンドウ内で右クリックすると、レイアウトをカスタマイズしたり、グラフを画像として保存するなど、グラフに関する各種機能を実行できます。(このグラフは、結果環境のグラフと同じように動作します。そのため、このようなのグラフのカスタマイズとエクスポートを使い慣れている方は、メッシュ評価グラフでの操作もすぐに理解できます)。

図 1: メッシュの反復と結果のグラフ

凡例: (a) - 1 回目の反復、(b) - 最後の反復、(C) - 結果グラフ

また、すべての反復の結果は新しい設計シナリオとしてモデルに保存されます。Simulation Mechanical でモデルを開き、目的の設計シナリオを読み込むと、入力や結果を確認することができます。

結果グラフを再表示する

一度メッシュ評価が実行されてグラフ ウィンドウが閉じられると、次の手順でグラフを再度使用できます。

  1. 推奨のファイル マネージャ(Windows ® Explorer など)を使用して、モデルを含むフォルダの内容を表示します。
  2. 2 番目のファイル マネージャ ウィンドウを開いて、Autodesk Simulation インストール フォルダ(C:¥Program Files¥Autodesk¥Simulation 20xx など)の内容を表示します。
  3. 1 つ目のウィンドウから modelnamemsw というファイルをドラッグし、2 つ目のウィンドウの MeshStudyViewer.exe プログラムにドロップします。