3ds Max の実行時のパフォーマンスの問題

通常、ビデオ設定に矛盾があったり、メモリ割り当てに問題があると、3ds Max の実行パフォーマンスが悪くなります。パフォーマンスの問題の原因はさまざまで、簡単には突き止められません。ここでは、3ds Max の実行を妨げる、いくつかのよくあるシチュエーションと、問題の改善方法について説明します。

問題と解決策

3ds Max の動作が遅い

3ds Max の起動が遅い

ファイルがなかなか開かない

ダイアログ ボックスを開いたりドラッグしたりするときの応答性が悪い

3ds Max の動作が遅い

時間がかかるセッション、特にレンダリングやビットマップ マテリアルの大規模な操作を行っているセッションでは、メモリの割り当てが原因で 3ds Max の動作が遅くなる可能性があります。3ds Max セッションを閉じて再開する前に、メモリを解放する次の MAXScript 関数を試してください。

  • gc()

    ガベージコレクション ルーチンを実行します。

  • freescenebitmaps()

    ビットマップに割り当てられているメモリを解放します。

  • clearundobuffer()

    元に戻す/やり直し操作のバッファをクリアします。この関数を呼び出す前に、シーンが目的の状態になっていることを必ず確認してください。

3ds Max ウィンドウの左下にある MAXScript ミニ リスナーに MAXScript 関数呼び出しを入力するだけで済みます。

これらの関数は、Tom Isaksen 氏によってオンライン ドキュメント化されています。

3ds Max の起動が遅い

これは、新しいソフトウェアやソフトウェアのアップグレードのリリース時によく報告される問題です。お客様からの質問で多いのは、「なぜ新しいバージョンの起動時間は旧バージョンよりも長くなるのか」というものです。これには、いくつかの理由があります。

  • 3ds Max を起動する実行プログラムのサイズが大きくなり、新しいリリースの新機能をロードするために必要なオーバーヘッドが増えたので、起動に時間がかかっています。新しい実行プログラムのコードでは、システム プロセッサの使用方法が旧バージョンのコードとは異なる場合があります。これがパフォーマンス低下の原因になっていることがあります。重要なのは、3ds Max の実行中の動作です。
  • 3ds Max は、どのバージョンも、最新のビデオ技術を使用するように設計され、最適化されています。昨年にビデオ カードをアップグレードしていない場合、または少なくともビデオ ドライバを更新していない場合は、3ds Max が前のバージョンのように迅速に起動しない可能性が高くなります。3ds Max のビデオ設定を変更してみることもできます。
  • しばらくシステムのデフラグを実行していない場合、3ds Max の起動時間が長くなることがあります。システムのデフラグは、仮想メモリにスワップされるようなサイズの大きいファイルのロードの合理化にも役立ちます。

ファイルがなかなか開かない

ファイルが 3ds Max にロードされる時間は、ファイルのサイズによって決定されることがよくあります。ただし、あるデザイン セッションから別のデザイン セッションへのロード時間が長い場合、3ds Max が効果的に動作するために必要なメモリが足りないか、ファイルを最適化する必要があります。

まず、システムのメモリ割り当てを確認します。3ds Max を実行するのに十分な RAM、スワップ スペース、およびハード ディスク空き容量が必要です。必要な容量については、http://www.autodesk.com/3dsmax-systemreq-2015-jpn を参照してください。

以下では、メモリとスワップ ファイルの割り当てを確認する方法について説明します。

RAM とスワップ ファイル割り当てを確認するには:

  1. Windows の[スタート](Start)ボタンを右クリックし、[コントロール パネル](Control Panel)を選択します。

    [コントロール パネル](Control Panel)エクスプローラが開きます。

  2. [コントロール パネル ホーム](Control Panel Home)ページで、[システムとメンテナンス](System And Maintenance)をクリックします。
  3. [システムとメンテナンス](System And Maintenance)ページで、[システム](System) [RAM の量とプロセッサの速度の表示](View Amount Of RAM And Processor Speed)をクリックします。

    [コンピュータの基本的な情報の表示](View Basic Information)ページに RAM の量が表示されます。

  4. スワップ スペースの量を確認し、必要に応じて変更するには、左側のタスク ペインで[システムの詳細設定](Advanced System Settings)をクリックします。

    [システムのプロパティ](System Properties)ダイアログ ボックスが開きます。

  5. [システムのプロパティ](System Properties)ダイアログ ボックスで[詳細設定](Advanced)パネルに移動し、[パフォーマンス](Performance) [設定](Settings)をクリックします。

    [パフォーマンス オプション](Performance Options)ダイアログ ボックスが開きます。

  6. [パフォーマンス オプション](Performance Options)ダイアログ ボックスで、[詳細設定](Advanced)パネルに移動します。

    [詳細設定](Advanced)パネルの[仮想メモリ](Virtual Memory)領域に、スワップ ファイルに割り当てられたハード ドライブ メモリ量が表示されます。この値を変更する場合は、[変更](Change)ボタンをクリックし、[仮想メモリ](Virtual Memory)ダイアログ ボックスを使用してスワップ ファイルのサイズを調整します。このダイアログ ボックスに、スワップ ファイルに割り当てることができる量の最小値と最大値が表示されます。

物理メモリと仮想メモリが適切に設定されている場合は、モデルを確認します。モデルが開いたら、次の作業を行います。

  • アプリケーション メニューから、[保存](Save) [名前を付けて保存](Save As)を選択し、シーンに別の名前を付けて保存します。その後、この新しいファイルを開き、ロードされる時間が短くなったかどうかを確認します。
  • モディファイヤ スタックが大きいことが分っているオブジェクトを確認します。完成したオブジェクトのスタックを集約すれば、パフォーマンスが改善される可能性があります。
  • モデルが外部参照を使用している場合は、外部参照のローカル アクセスが可能であることを確認します。モデルがネットワーク サーバ上にある場合、ネットワーク トラフィックが多いためにロードに時間がかかっている可能性があります。
ヒント: [カスタマイズ](Customize) [基本設定](Preferences) [ファイルの基本設定](File Preferences ) [ファイルの処理](File Handling) [保存時に圧縮](Compress on Save)をオンにすると、操作する MAX シーン ファイルのサイズが小さくなります。

ダイアログ ボックスを開いたりドラッグしたりするときの応答性が悪い

この問題は、[マテリアル エディタ](Material Editor)などのダイアログ ボックス、[トラック ビュー](Track View)などのグラフ ウィンドウを開くコマンドをクリックしたときに発生します。クリック後、ダイアログ ボックスやウィンドウが開くまで、かなり時間がかかることがあります。また、ダイアログ ボックスやウィンドウを別の場所にドラッグする場合に、カーソルに合わせてスムーズに移動しないことがあります。

この問題は、通常、ビデオ ドライバの競合か表示設定の問題によって発生します。その理由は、ダイアログ ボックスを開いたりドラッグしたりするとき、グラフィック カードによって画面のリフレッシュが行われるからです。次の手順に従って、問題を診断してみてください。

  1. 3ds Max を起動します。
  2. [ヘルプ](Help) [ビデオ ハードウェアを診断](Diagnose Video Hardware)を選択して、システムで使用されているグラフィック カードのモデルを表示します。
  3. カードでアクティブなドライバが正しくサポートされていることを確認します。
    • Nitrous(既定)では Direct3D 9.0 が必要で、容量の大きな専用グラフィック メモリを備えたプロ用のグラフィック ボードで使用すると最適に機能します。オートデスク認定の推奨事項については http://www.autodesk.com/max-hardware-jpn を、システム要件についてはhttp://www.autodesk.com/3dsmax-systemreq-2015-jpn を参照してください。
    • Direct3D では Direct3D 9.0 または 10.0 が必要です。
    • OpenGL では OpenGL 対応のグラフィック カードが必要です。
    • ソフトウェア ドライバ(3ds Max 32 ビットのみ)ではグラフィック カードは必要ありません。
  4. グラフィック カードの製造元の Web サイトで、新しいビデオ ドライバのダウンロードおよびインストールが可能かどうかを確認します。