mr A&D 要素では、最も重要なArch & Design マテリアルのコンポーネントをレンダリング要素として指定できます。このとき、一般的に 3 種類の影響タイプ(raw、level、output)で指定します。こうした要素を HDR イメージ ファイルとして保存して、後で Autodesk Toxik のようなプログラムを使って合成することができます。
注: 名前が示すように、このレンダリング要素は Arch & Design マテリアルが適用されているオブジェクトのみに属するもので、mental ray でレンダリングされます。
ほとんどの要素の場合、raw はスケールなしで、level はスケールになります。また output コンポーネン は raw コンポーネントと level コンポーネントの乗算で計算され、フル レンダリングされた出力に対する要素の影響を合成したものになります。level は、多くの場合、入力パラメータ(またはその組み合わせ)と関連しており、Arch & Design マテリアルのエネルギー変換機能に従うように修正されています。
このため、mr A&D 要素にはある程度の重複があります。たとえば、独立したチャネルにある現在の反射だけが必要な場合、Output Reflections 要素を使います。しかしポストプロダクションで反射の量をもっと細かく調整したい場合は、Output Reflections の代わりに、Raw Reflections や Level Reflections を使用すると、最終的なカラーに追加する前の合成の段階で、それらを乗算することができます(任意で追加の処理を加えることも可能)。
反射: Raw(左) * Level(中央) = Output(右)
注: 正確な合成方程式を維持するため、mr フォトグラフィック露出制御は、A&D レンダリング要素の出力から意図的に除外されています。
ヒント: Toxik のような HDR アプリケーションで合成するために mr A&D 要素をレンダリングする場合は、[フレーム バッファ タイプ](Frame Buffer Type)を必ず[浮動小数点 (32 ビット/チャネル)](Floating-Point (32 bits per channel))に設定します。これにより、raw 要素の値を 1.0 以上にすることが可能になり、OpenEXR 形式で出力ファイルを保存できるようになります。
すべてのOutput のリスト
以下は、Arch & Design マテリアルで使用可能なレンダリング要素すべてのリストです(個々の名称には「mr A&D」というプレフィックスが含まれています)。
- [Output: Beauty]メインのブレンド済み出力です。Arch & Design マテリアルの単一出力と同じになります。
- [Diffuse Direct Illumination]Output は、テクスチャを含む、照明後に生成される拡散反射光コンポーネントになります。 Raw はテクスチャを除いた拡散反射光照明そのものです。また Level Diffuse は、エネルギー変換で調整した拡散反射光テクスチャ カラーになります。
- [Diffuse Indirect Illumination] Output は生成される間接光で、拡散反射光カラーで乗算したアンビエント オクルージョンの効果を含みます。Raw は、間接光の未加工の生成結果です。Level コンポーネントはありません。
- [Ambient Occlusion] Raw は、未加工のアンビエント オクルージョンです。
- [Diffuse Indirect Illumination with AO] Xtra は、アンビエント オクルージョンに影響されるものの、拡散反射光カラーには乗算されない間接光です。
- [不透明度](Opacity)Output (Opacity Background)は、1.0 未満の入力カットアウト不透明度(割り当てられたマップで決定される)の結果として生成される、オブジェクトのバックグラウンドの最終的な影響です。Raw には、不透明度によってスケーリングされないバックグラウンドが含まれます。カットアウト不透明度が 1.0 の場合、透明度が全くレンダリングされないので、出力には黒が含まれます。
Level 出力には、実際の不透明度そのものが含まれます。不透明度が 0 (ゼロ)に等しい場合、マテリアルが全くシェーディングを実行せず、他の出力に全く値が含まれないことになるので、注意が必要です。
- [反射](Reflections)Output は、生成される反射コンポーネントです。Raw は、純粋な(最高強度の)反射になります。Level は実際の反射力で、反射カラーや BRDF 設定が含まれます。
警告: Arch & Design マテリアルは、非常に低レベルの反射をレンダリング段階では低品質でサンプリングします(パフォーマンスを優先するため)。そのため、反射強度には後で大幅な修正を加えないでください。
- 自己照明Output には[自己照明 (グロー)](self illumination (glow))コンポーネントが含まれます。
- [Specular] Output は、生成される鏡面反射光コンポーネントです。Raw は、[反射](Reflection)の[光沢](Glossiness)の値と[異方性反射](Anisotropy)の設定で決まります。Level は、BRDF 設定、[反射](Reflectivity)と反射の[カラー](Color)の値、および[ハイライトの相対強度](Relative Intensity of Highlights)の値で決まります。
- [トランスルーセント](Translucency)[トランスルーセント](Translucency)は[重み](Weight)と[カラー](Color)の設定を組み合わせた結果になります。 Output は生成される半透明コンポーネントです。Raw は未加工の半透明度で、Level はエネルギー変換によって調整された実際の半透明レベルです。
- [透明度](Transparency)[透明度](Transparency)は、トランスルーセント設定を含む、[屈折](Refraction)領域の設定を組み合わせた結果です。 Output は生成される透明度コンポーネントです。Raw は未加工の透明度で、Level はエネルギー変換によって調整された実際の透明度レベルです。