掛け数

掛け数は、通常、1 つのモデルで同一のフロー パスが繰り返される回数を指定し、充填+保圧解析に必要なモデリング メッシュ数を軽減するために使用します。

たとえば、等距離ランナーの 8 個取り金型では、1 つの成形品とフィード システムをモデリングするだけで済みます。

注意: 冷却反り、または応力解析を継続して実行する場合は、掛け数を使用して成形品の一部のみを表現することはできません。成形品全体のモデリングが必要となります。

掛け数は、特に対称的なフロー パス (等距離ランナー等) がある多数個取りモデルのメッシュ数と必要な解析時間を軽減するために使用します。このようなモデルでは、1 つのキャビティだけをモデリングして、他の同一のキャビティの解析では、掛け数を参照します。同一のフロー パスとは、対称的な物理的形状であり、流動する樹脂の体積が同一であると定義します。

下図は、等距離ランナーを持つ 8 個取り金型です。赤色で示された形状のみがモデリングされます。残りのキャビティは掛け数によって処理されます。


等距離ランナーを持つ 8 個取り金型の掛け数

上図の掛け数は次のように定義されます。

対称的なフロー パス

掛け数を使用した成形品のモデリングを検討する上で "対称的なフロー パス" の定義を理解することが役に立ちます。フロー パスの物理的形状が対称的で、そのパスを流動する樹脂の体積が同一である場合に「対称的なフローパス」と言えます。

下図は、人工的にバランス調整されたランナーを持つ 8 個取り金型です。このランナー システムには、2 つのはっきりと異なるフローパス(赤色と青色で示す)があり、このため、掛け数は上記の例とは異なります。



人工的にバランス調整されたランナーを持つ 8 個取り金型の掛け数

上図の掛け数は次のように定義されます。
  • 赤色で示すスプルーは 1 つしかないため、掛け数は 1。
  • 赤色で示す第 1 ランナーはフロー パスがスプルーの根元で 2 つに分岐しているため、掛け数は 2。
  • 青色で示す第 2 ランナー、ゲート、成形品の掛け数は 4。

掛け数の指定

モデルのすべてのサーフェスと要素の掛け数は、既定で「1」に設定されています。[編集] ([形状]タブ > [プロパティ]パネル > [編集])を使用して、多数個取り金型などの掛け数を「1」以外の数に設定できます。[すべてのエンティティに適用]オプションを選択すると、選択された要素と同じプロパティを持つすべての要素には、同じ掛け数が適用されます。