非定常冷却解析の選択

金型温度変化を評価する非定常冷却解析製品には、「サイクル内の非定常」と「生産開始からの非定常」の 2 種類があります。どちらの解析でも、冷却(FEM)ソルバーは有限要素手法を計算に使用して結果を決定します。

サイクル内の非定常冷却解析
このソルバーは、金型温度のサイクル平均からの偏差をシミュレーションします。通常の射出成形サイクルは、充填、保圧、冷却、型開閉過程から構成されます。


射出成形サイクル内の金型温度変化

充填過程では、高温の溶融樹脂が高圧でキャビティに射出されます。これにより、金型温度は上昇します。溶融樹脂は射出後、型開閉過程開始時にプラスチック成形品が金型から突出可能な温度に到達するまで、金型内の冷却管によって十分に冷却されます。これにより、金型内の温度も低下します。上のグラフに示すように、金型温度は充填および保圧過程で上昇し、冷却および型開閉過程で低下します。非定常冷却ソルバーを使用して、射出成形サイクル内の異なる過程における金型温度をシミュレーションできます。

生産開始からの非定常冷却解析
このソルバーは、金型が低温である生産開始時の初期サイクルから、金型温度が安定し最適な操作条件に到達するまでの金型温度の変化をシミュレーションします。


生産開始プロセスにおけるサイクル間の金型温度変化

射出成形機が製品の生産を開始すると、金型が最適な操作条件または安定したサイクルに達成するまでに、多数のサイクルの実行が必要な場合があります。サイクル内非定常グラフが示すように、安定したサイクルに達成した後も、1 つのサイクル内では金型温度は変化しますが、上のグラフが示すように、異なるサイクル間の違いは一定になります。安定したサイクルに達成するまで、成形品の品質は保証できません。生産開始からの非定常ソルバーは、安定したサイクルに達成するまでのプロセスをシミュレーションし、必要なサイクル数の予測を可能にします。

冷却(FEM)ソルバーは、3D 冷却解析でも使用できます。これは、熱伝導ソルバーを選択した場合の冷却 (BEM) ソルバーと同様の解析をより短い時間で実行します。フロー ソルバーを選択した場合、その結果を使用して、成形品から金型への熱流束に起因する、流動からのせん断発熱の影響を評価できます。