有限要素シミュレーションの収束率と安定性を向上させます。
良好な収束(つまり完全な収束)を複合構造の進行性破損シミュレーションで達成するのは難しいということは、広く認知されています。実際、多くの進行性破損シミュレーションが早い段階で終了しますが、これはグローバル構造の破損によるものではなく、有限要素コードが特定の荷重増分で収束した解を取得することができないためです。Helius PFA は、複雑な構造の進行性破損の有限要素シミュレーションの全体的な収束率と安定性を著しく向上させます。 Abaqus/Standard の使用経験があるユーザは、収束の達成が困難であることをコードが検知すると、時間増分のサイズを減らす(またはカットバックする)傾向にあることを十分に理解しているはずです。しかし、Helius PFA を Abaqus/Standard と併用して進行性破損解析を実行すると、解の安定性が向上することで時間増分の低減(またはカットバック)の必要性は大幅に減り、Helius PFA を使用しない場合に比べて解析をより短時間で完了できます。優れた収束特性を十分に利用するには、Abaqus/Standard によって使用される非線形解析プロセスを管理する既定の設定をいくつか変更する必要があります。これらの変更は、*CONTROLS キーワード ステートメントを使用して実行することができます。
Abaqus/Standard では、非線形解析プロセスの既定の設定は、複合構造の非線形応答がローカル レベルとグローバル レベルの両方で十分にスムーズであるというニュートン-ラフソン アルゴリズムの基本的な仮定に基づいています。ただし、複合構造の進行性破損シミュレーションにおける複合構造の非線形応答は、特にローカル レベルではスムーズになりません。そして、収束を得ることを困難なものにしている主要な原因はこの状況にあります。Helius PFA は、特にこの局所的な「ぎざぎざのある」材料の応答を効率的に扱うために設計されています。ただし、Abaqus/Standard の既定の設定を変更し、Helius PFA が有限要素シミュレーションの収束特性を改善できるようにする必要があります。これらの既定の設定は、*CONTROLS キーワード ステートメントのデータ行によって変更することができます。この場合、*CONTROLS キーワード ステートメントのデータ行は、コードが時間増分サイズの低減(またはカットバック)の必要性を評価する前に Abaqus/Standard が実行する平衡反復の数を大幅に増やすために使用されます。
*CONTROLS キーワード ステートメントとともに使用される特定のデータとオプションについては後述します(「Abaqus/Standard 解析の手順の変更」および「非線形解析コントロール パラメータ」の項)。現時点では、*CONTROLS キーワード ステートメントは、Helius PFA に対して進行性破損シミュレーションの収束の速度および安定性を大幅に改善するための自由を与えるために使用される、ということを知っておけば十分です。