回路ビルダは電気規格データベースを使用して、既定値および既定のエンジニアリング計算を定義し、回路に注釈を付け、推奨配線サイズを示します。電気規格データベースの ace_electrical_standards.mdb は、カタログ フォルダに存在します。既定の場所は、C:¥Users¥{ユーザ名}¥Documents¥Acade {バージョン}¥AeData¥Catalogs¥ です。
サイズおよび配線タイプの値は、電気規格データベース ファイルから抽出された情報に基づきます。回路ビルダは、モーター サイズ、供給電圧、および相の一致を検索します。一致した場合、回路ビルダは全負荷電流値、モーターのパワー コンダクタの推奨サイズ、および遮断器、ヒューズ、断路器などの各種の分岐回路の保護要素に推奨される定格値を表示します。
電気規格データベースを使用して、回路ビルダでパワー コンダクタのサイズとエネルギー損失に関するエンジニアリング計算および「グリーン」な計算を実行することもできます。規則の最小要件を満たすように設計すると、グリーン設計と相容れない場合があります。たとえば、指定の負荷に対してコンダクタ サイズを最小に設計すると、短期的には材料コストを節約できますが、長期的には配線の熱損失が大きくなるためコストが増加します。装置の耐用期間を超えると、有効に機能するための負荷に達することなく、最小サイズの配線の加熱によるエネルギー損失がかなり大きくなります。
配線のサイズを設定する場合、回路ビルダには負荷の電流容量要件を満たす有効な配線サイズのリストだけでなく、配線サイズごとの推定される最大エネルギー損失コストのリストも表示されます。この計算一式によって、グリーンな設計についてより適切な意思決定が可能になります。たとえば、モーターのコンダクタのサイズを大きめにして、コンダクタの熱損失を抑えるとします。この場合、材料の初期コストと設置人件費が増加します。ただし、この装置の耐用期間にわたって、削減されるエネルギー損失によりこのコストの何倍もの費用が節約されます。
電気規格データベースには、回路ビルダで使用する複数のテーブルがあります。
MOTOR |
[モーターを選択]ダイアログ ボックスの入力に使用する値が格納されています。 |
FEED |
[負荷を選択]ダイアログ ボックスの入力に使用する値が格納されています。テーブル名にオプションの接尾辞を付けて、特定の電気規格規則に関連付けることができます。 |
OPT |
電気規格固有の既定およびオプションのリストを定義する値を含む、オプションのテーブル。たとえば、銅線、AWG サイズ規格、およびコンダクタ長の単位のフィートなどの既定が含まれます。 |
AMP_{配線タイプ}_{配線サイズの規格} |
配線電流容量テーブルには、各種のコンダクタ サイズおよび絶縁温度定格に応じた電流容量定格が含まれます。 |
AMPG_{配線タイプ}_{配線サイズの規格} |
接地コンダクタのサイズ テーブルには、各種の接地コンダクタ サイズに応じた電流容量定格が含まれます。この情報は、接地コンダクタの最小サイズを検索し、それより大きいサイズの選択リストを表示するために使用されます。 |
INSUL_{配線タイプ}_{配線サイズの規格} |
配線の絶縁テーブルには、絶縁タイプ、各タイプの最大温度定格、および一連の温度に対する各タイプのディレーティング係数のリストが含まれます。 |
XL&R_{配線タイプ}_{配線サイズの規格} |
コンダクタのリアクタンス/AC 抵抗テーブルには、単相および 3 相電圧降下値の推定に使用される値が含まれます。 |
XL&R_DESC |
XL&R_{配線タイプ}_{配線サイズの規格}テーブルと組み合わせて使用される、コンジット/配線管の説明リスト。 |
FILL |
入力テーブルには、同じコンジット、ダクト、配線管内に給電コンダクタ(アース、中性線、または制御線以外の給電配線)が複数存在する場合に使用される、電流容量ディレーティング係数が含まれます。 |
MOTOR_I_DESC |
モーターまたは負荷の全負荷電流(FLA)値に直接関係するコンポーネント タイプのサイズの説明のリスト。CODE 値は、MOTOR_I_CALC および MOTOR_I_MAP テーブルにマッピングします。 |
MOTOR_I_CALC |
モーター タイプごとに、さまざまなコンポーネント タイプの最大電流容量値を計算するための式のリスト。 |
MOTOR_I_MAP |
コンポーネントに対して計算された FLA を特定の定格値およびオプションのカタログ割り当てにマッピングします。 |
各テーブル名にオプションの接尾辞を付けて、特定の電気規格規則に関連付けることができます。回路ビルダは、次の順番でテーブルを検索します。
モーター テーブル内のデータは、[モーターを選択]ダイアログ ボックスの入力に使用します。選択リストは、タイプ、電圧、周波数別にフィルタ処理されます。選択したモーターの負荷および FLA 値は[回路環境設定]ダイアログ ボックスに渡され、配線サイズの計算に使用されます。この値は、選択したモーターの遮断器のサイズ、ヒューズのサイズ、および断路器の定格の計算にも使用されます。
モーター テーブルは、次の命名規則に従います。
供給テーブル内のデータは、[負荷を選択]ダイアログ ボックスの入力に使用します。選択リストは、タイプ、電圧、周波数別にフィルタ処理されます。選択した供給の負荷および FLA 値は[回路環境設定]ダイアログ ボックスに渡され、配線サイズの計算に使用されます。この値は、選択した負荷の遮断器のサイズ、ヒューズのサイズ、および断路器の定格の計算にも使用されます。
供給テーブルは、次の命名規則に従います。
電気規格固有の既定およびオプションのリストを定義する値を含む、オプションのテーブル。たとえば、銅線、AWG サイズ規格、およびコンダクタ長の単位のフィートなどの既定が含まれます。
オプション テーブルは、次の命名規則に従います。
[名前] |
説明 |
---|---|
FLA_MULT |
最大負荷の決定に使用する、全負荷電流の既定の乗数値。たとえば、モーターの最大負荷電流が 10 アンペア、FLA_MULT の既定が 1.25 であるとします。このモーターの配線に対する最小配線サイズの計算は、電流容量定格の 10 アンペアではなく、12.5 アンペア(10 アンペア x 1.25)に基づきます。 FLA_MULT 係数は、[モーターを選択]ダイアログ ボックスおよび[配線サイズ参照]ダイアログ ボックスに表示されます。 |
C_LOAD |
配線サイズの電流容量ディレーティングに対する、連続負荷の補正係数。電気負荷が連続負荷になることが予測される場合、既定のディレーティング係数を配線サイズの電流容量計算に自動的に適用できます。 たとえば、指定の電気規則で連続負荷の補正係数値が 0.8 と定義されているとします。この場合、指定の配線サイズで通常の最大定格電流容量値は 20 A ですが、連続負荷が想定されるモーターに配線から給電する場合は、最大電流容量が 16 A にディレーティングされます。配線サイズの計算では、今よりも 1 段階大きい配線サイズを選択する必要がある場合があります。 |
W_METAL |
適切な配線電流容量テーブル名および配線絶縁テーブル名を決定するために使用する、配線の金属値。たとえば、「CU」は銅配線を既定として定義し、「AL」はアルミニウム配線を既定として定義します。 |
W_STD |
適切な配線電流容量テーブル名および配線絶縁テーブル名を決定するために使用する、既定の配線タイプ規格。たとえば、「AWG」、「MM2」などがあります。 |
V_DROP |
給電配線での電圧降下の最大許容割合(%)。この値は、こう長も定義されている場合に、適切な配線サイズを計算するのに役立ちます。 |
W_INSUL |
環境温度の補正係数を決定するために使用する既定の絶縁タイプ。 |
LEN_LIST |
[配線サイズ参照]ダイアログ ボックスの選択リストに表示されるこう長の値。こう長は、モーターまたは負荷の給電配線における電圧降下の推定値の計算に使用されます。 |
LEN_UNITS |
電源コンダクタのこう長の単位、および[配線サイズ参照]ダイアログ ボックスの単位選択リストに表示される値。こう長は、電圧降下の推定値の計算に使用されます。単位は、フィートを表す「FT」、またはメートルを表す「M」のいずれかになります。 |
KWH_COST |
kWh あたりの単価。この値は、モーターまたは負荷の給電配線のエネルギー損失にかかる最大年間コストの推定に使用され、連続的な全負荷を想定しています。 |
KWH_COST_UNITS |
KWh 原価単位の文字は、[配線サイズ参照]ダイアログ ボックスで配線の損失を示すために使用されます。たとえば、ドルを表す「$」、ユーロを表す「€」などがあります。 |
SHORTNAME |
このテーブルの電気規格名のコード。このコードは、規格がプロジェクトに適用されたときに、プロジェクトの .wdp ファイルに保存されます。 |
FULLNAME |
このテーブルの電気規格の正式名。この値は、すべての OPT テーブルから抽出され、プロジェクトの米国電気規則規格(NECS)を[プロジェクト プロパティ]の[プロジェクト設定]タブで設定するときの選択リストの値として表示されます。 |
LEN_UNITS |
電源コンダクタのこう長の単位、および[配線サイズ参照]ダイアログ ボックスの単位選択リストに表示される値。こう長は電圧降下の計算に使用されます。 |
VOLTS |
既定の供給電圧値および[配線サイズ参照]ダイアログ ボックスの電圧選択リストに表示される値。 |
PHASE |
既定の供給相の値および[配線サイズ参照]ダイアログ ボックスの相選択リストに表示される値。たとえば、単相を表す「1」、3 相を表す「3」などがあります。 |
PARALLEL_MIN_SIZE |
[配線サイズ参照]ダイアログ ボックスで平行配線オプションを表示するときの最小配線サイズの既定値。たとえば、「1-0 AWG」などがあります。 |
PARALLEL_MAX_CNT |
[配線サイズ参照]ダイアログ ボックスで平行配線オプションを表示するときの、配線コンダクタの最大数の既定値。たとえば、相ごとの最大平行配線が 4 本の場合は「4」になります。 |
T_AMBIENT |
環境温度の補正係数の既定値。この値は、配線タイプのサイズ設定に使用されます。INSUL_* テーブル内に存在する、温度ディレーティング列のラベルのいずれかに一致する必要があります。たとえば、「30C」などがあります。 |
M_POWERFACTOR |
モーターの既定の力率。この値は、電圧降下の推定に使用されます。たとえば、「0.85」のようになります。 |
F_POWERFACTOR |
電源供給の既定の力率。この値は、電圧降下の推定に使用されます。たとえば、「0.85」のようになります。 |
AMPG_MAX |
接地コンダクタの最小電流容量サイズを計算するための式を定義します。式の「I」は、モーターまたは全負荷電流(FLA)を表します。式の結果は適切な AMPG テーブルに適用され、最小接地コンダクタ サイズを決定します。 |
配線電流容量テーブルは配線サイズおよび規格の絶縁温度定格に基づき、配線のコンダクタのサイズ、説明、および最大 FLA 値を提供します。この情報は、次のように使用されます。
配線電流容量テーブルでは、次の命名規則を使用します。
たとえば、AMP_CU_AWG_NEC には、銅の配線電流容量情報と AWG サイズが含まれ、米国電気規程の内容に対応しています。
[名前] |
説明 |
---|---|
[サイズ] |
配線サイズ コード。この値は、配線タイプ画層名に自動的に含めることができます。たとえば、「12」、「250KCMIL」などがあります。 |
SIZE_DESC |
[配線サイズ参照]ダイアログ ボックスに表示される配線サイズの説明。たとえば、「12 AWG」、「250 KCMIL」などがあります。 |
CIRC_MIL |
配線コンダクタ サイズの英国法定基準の断面値。 |
60C、75C、90C |
これらの各規格の環境温度定格に対する、配線コンダクタ サイズの最大電流容量定格値。その他の列を追加したり、既存の列を削除できます。たとえば、対象地域の電気規則では 90C が使用できない場合、このフィールドをテーブルから削除し、[配線サイズ参照]ダイアログ ボックスのオプションとして表示しないようにできます。 |
接地コンダクタ サイズ テーブルは、接地コンダクタのサイズおよび最大 FLA 値を提供します。この情報は、次のように使用されます。
接地コンダクタ サイズ テーブルでは、次の命名規則を使用します。
たとえば、AMPG_CU_AWG_NEC には、銅の接地コンダクタ サイズ情報と AWG サイズが含まれ、米国電気規程の値に対応しています。
[名前] |
説明 |
---|---|
[サイズ] |
配線サイズ コード。この値は、グランド線の配線タイプ画層名に自動的に含めることができます。たとえば、「12」、「250KCMIL」などがあります。 |
SIZE_DESC |
[配線サイズ参照]ダイアログ ボックスに表示される配線サイズの説明。たとえば、「12 AWG」、「250 KCMIL」などがあります。 |
[最大] |
このグランド線のサイズに関連する最大電流容量値。この値は、オプション テーブルの AMPG_MAX エントリ内の式の結果から取得されます。 |
配線の絶縁テーブルでは、想定される最高環境温度に基づいて、配線コンダクタの容量を下げるためのオプションを示します。
配線の絶縁テーブルでは、次の命名規則を使用します。
たとえば、テーブル名が INSUL_CU_AWG_NEC の場合、銅の配線絶縁情報と AWG サイズが含まれ、米国電気規程の値に対応しています。
[名前] |
説明 |
---|---|
INSUL |
絶縁タイプ コード。 |
INSUL_DESC |
[配線サイズ参照]ダイアログ ボックスに表示される絶縁タイプの説明。 |
TEMP |
絶縁タイプの規格の最高温度定格。 |
25C ~ 80C |
最高環境温度に対する、配線コンダクタの一連の電流容量ディレーティング係数値。列の追加や削除をすることができます。たとえば、最低環境温度定格が 30C の場合、25C 列を削除できます。 |
オプションのコンダクタのリアクタンス/AC 抵抗テーブルは、コンジット タイプに基づいて、配線サイズに対するリアクタンスと抵抗値を提供します。これらの値は、こう長を指定した場合に、給電配線における電圧降下の割合を計算するために使用されます。
この機能で使用するテーブルは、2 種類あります。コンジット タイプ説明テーブルと、リアクタンス/抵抗データ テーブルです。
コンジット タイプ説明テーブル
説明テーブル XL&R_DESC には、[配線サイズ参照]ダイアログ ボックスでコンジットまたは配線管のタイプの選択リストに使用されるラベルが記述されています。このラベルは、データ テーブルの列にもマップされます。
データ テーブル
コンダクタのリアクタンス/抵抗データ テーブルでは、次の命名規則を使用します。
たとえば、 テーブル名が XL&R_CU_AWG_NEC の場合、銅のコンダクタのリアクタンス/AC 抵抗情報と AWG サイズが含まれ、米国電気規程の値に対応しています。
[名前] |
説明 |
---|---|
[サイズ] |
配線サイズ コード。 |
C1 ~ C3 |
コンジット タイプに対する一連のリアクタンスおよび抵抗値。セミコロンで区切ります。1 番目の要素は推定リアクタンスで、2 番目の要素は AC 抵抗です。 注:
各要素に対応するラベルについては、XL&R_DESC テーブルを参照してください。XL&R_DESC テーブルに追加された対応するエントリを使用して、このテーブルにその他のコンジット/配線管 タイプのデータを追加することができます。 |
複数の給電線コンダクタが同じコンジット、ダクト、または配線管内に存在する場合、配線電流容量の軽減が必要な場合があります。給電線コンダクタは、グランド線、中性線、制御線以外の給電配線として定義されています。入力テーブルは、給電線コンダクタの最大数に基づいたディレーティング係数を提供します。
入力テーブルは、次の命名規則に従います。
3 つのテーブルのセットで、特定のモーターまたは負荷の電流値に対する遮断器のサイズ、ヒューズのサイズ、および断路器の定格の推奨値を計算するために使用される値が含まれます。各テーブル名に、米国電気規格を表す「_NEC」などのオプションの接尾辞を付けて、特定の電気規格規則に関連付けることができます。
モーターまたは負荷の全負荷電流(FLA)値に直接関係するコンポーネント タイプのサイズの説明のリスト。CODE 値は、MOTOR_I_CALC および MOTOR_I_MAP テーブルにマッピングします。
モーター タイプごとに、さまざまなコンポーネント タイプの最大電流容量値を計算するための式のリスト。各行がモーター タイプを表し、MOTOR_I_DESC テーブルで指定されたコードでマークされた列が並びます。 各セルには、FLA 値を計算するための式が含まれます。選択したモーターの FLA 値は、式の中の記号「I」に対応します。
有効な演算は、+-*/^ です。「^」文字は、指数関数です。たとえば、I^2 は I の 2 乗で、I^0.5 は I の平方根です。
1 階層ネストした文を含む、If-then-else 文がサポートされます。次に例を示します。
有効なブール演算は次のとおりです。>、<。 >=. <=, =.
コンポーネントに対して計算された FLA を特定の定格値およびオプションのカタログ割り当てにマッピングします。回路ビルダのスプレッドシート内の API 呼び出し、c:ace_cb_anno2 を使用して、シンボルに対して定格値の注釈が付けられます。
オプションのカタログ割り当ては、[既定]フィールドで定義されます。次の形式を使用します。
MFG={製造元};CAT={カタログ};ASSYCODE={アセンブリ コード}
ASSYCODE 値が不要な場合は、次の形式を使用します。
MFG={製造元};CAT={カタログ}
回路ビルダでは CATALOGSEL テーブルを使用して、モーターまたはその他のコンポーネントに対して選択されたカタログを保存します。このカタログ情報は、モーター サイズに基づいて保存されます。後で別の回路で同じモーター サイズを使用し、設定済みの選択項目と以前のカタログ選択情報が一致する場合、そのカタログ情報が既定値になります。たとえば、以前の回路で時間遅延ヒューズ付きの 10HP モーターを使用しており、新しい回路で時間遅延ヒューズ付きの 10HP モーターを選択した場合、以前に使用したカタログの選択内容が既定として表示されます。
[既存の回路を参照]機能を使用して回路を設定する場合、CATALOGSEL テーブルの値は使用されず、参照先の回路の値が使用されます。ただし、新しいモーターを[モーターを選択]ダイアログ ボックスで選択した場合は、CATALOGSEL テーブルの値と一致するかどうかが確認されます。