リモート アクセスと追加のバックアップ セキュリティのために、図面ファイルをクラウド アカウントに保存します。インターネットにアクセスすることで、デスクトップ、Web、モバイルなど、任意のデバイスを使用して、世界のどこからでも図面に簡単にアクセスすることができます。
クラウド ストレージ プロバイダを使用して図面ファイルを保存したり開くと、図面への便利で信頼性の高いアクセスが可能になります。また、現場ではタブレットを使用し、離れた場所では他のデスクトップ コンピュータで Web ブラウザを使用するなど、任意のオンライン デバイスで図面にアクセスして、表示および編集できます。
クラウド ストレージ プロバイダの図面にアクセスする
クラウド ストレージ プロバイダを使用する主な利点は次のとおりです。
- アクセス性: インターネットに接続されていれば、世界中のどこへでもアクセスできます。ローカル サーバが利用できない場合であっても、どこからでも、どのデバイスでも図面にアクセスできます。
- セキュリティ: クラウド ストレージ プロバイダは、大半の企業や個人よりもはるかに多くの資源を投じて、ファイルの損失や侵入に対処しています。暗号化製品を購入して、クラウド アカウントのファイルを暗号化することもできます。廃止されたサーバは通常、データと物理ハードウェアの両方に対して安全な破棄手順を実行します。
- 信頼性: クラウド ストレージ プロバイダは、異なる場所にある複数のサーバでバックアップを配布および管理しています。
- 履歴: クラウド アカウントに保存されているファイルは、保存時に複数のバージョンが保持されます。クラウド ストレージ プロバイダ上で直接、またはクラウド ストレージ アカウントにリンクされた[アクティビティ インサイト]パレットを使用して、図面ファイルの複数のバージョンに簡単にアクセスして比較できます。
同期クライアントを使用する
AutoCAD ベースのアプリケーションでクラウド ストレージを使用するには、そのクラウド ストレージ プロバイダからの同期クライアント アプリをコンピュータにインストールする必要があります。その後、同期クライアント アプリを使用してクラウド ストレージ アカウントにログインします。
「同期クライアント」は、コンピュータで作成したデータやキャッシュを、クラウド アカウントに保存したデータと定期的に同期させる、小さなバックグラウンド プログラムです。
このアプリは、画面の右下の領域にある Windows システム トレイにアイコンとして表示されます。このアイコンは、ステータス情報も示します。
クラウド ストレージ プロバイダに加入すると、同期クライアントをコンピュータにダウンロードしてインストールするための手順が示されます。OneDrive 同期クライアントは既定で Windows にインストールされますが、他のプロバイダでは通常、オンラインで見つけることができる個別のダウンロード ページがあります。
ファイル ダイアログ ボックスからアクセスする
クラウド アカウントから図面にアクセスする場合は、場所バーにクラウド ストレージ プロバイダを追加すると便利です。場合によっては、これは自動的に行われます。自動的に追加されない場合は、場所バー内で右クリックして、目的のクラウド ストレージ プロバイダを追加します。
編集が終了したら、他の図面と同様に図面を保存します。既定では、AutoCAD は図面が最後に保存されてから 10 分後に自動的に保存します。保存の時間間隔は、システム変数 SAVETIME でコントロールします。
ブロック定義にアクセスする
[ブロック]パレットは、クラウド ストレージをサポートしています。このパレットから、クラウド ストレージ アカウントに保存したブロックおよびブロック ライブラリ図面にアクセスすることができます。このような図面をクラウド アカウントに保存する利点は、アカウントへのアクセスを許可されたユーザであれば、インターネット アクセスが可能な任意の場所から、いつでも信頼性のあるアクセスが行えることです。詳細は、「概要 - [ブロック]パレット」を参照してください。
旧バージョンの図面にアクセスする
多くのクラウド ストレージ プロバイダでは、アカウントに保存したファイルのバージョン履歴が保持されます。この機能を使用すると、ブラウザを使用してアカウント内のファイルの旧バージョンにアクセスできます。
AutoCAD ベースの製品内で旧バージョンの図面を表示および比較するには、共通のアクティビティ インサイトの場所を設定します。アクティビティ インサイトは現在、AutoCAD モバイル以外のすべての AutoCAD 製品でサポートされています。
一般的な情報
ここでは、さまざまなクラウド ストレージ プロバイダがローカル コンピュータとクラウド アカウント間で図面を同期する方法について、一般的な観察と提案を紹介するとともに、具体的な違いを示します。
- ストレージ容量
- クラウド アカウントのストレージ容量は、プロバイダとサブスクリプション サービス レベルによって異なります。
- バージョン履歴
- 各クラウド ストレージ プロバイダには、バージョン履歴の保持期間に制限があり、多くの場合 30 日以上です。ただし、バージョン履歴は永続的ではないため、引き続き BAK ファイル(システム変数 ISAVEBAK)を保持することをお勧めします。BAK ファイルは、クラウド アカウントのフォルダを含め、DWG ファイルと同じフォルダに自動的に保存されます。
- 外部参照
- 図面ファイルでは、いくつかの異なる種類のファイルを参照できます。たとえば、他の図面の外部参照、参照イメージ ファイル、PDF アンダーレイ、文字フォント、カスタム線種、カスタム ハッチング パターンなどがあります。他のユーザーがリモートでアクセスできるように図面を保存する場合は、e-トランスミット機能を使用することをお勧めします。これにより、すべての参照ファイルを含むパッケージが作成されます。e-トランスミットの詳細については、「概要 - 図面パッケージを電子的に転送する」を参照してください。
- クラウド コラボレーション
- ほとんどのクラウド ストレージ プロバイダでは、他のユーザとファイルを共有することができます。複数のユーザが共有ファイルを同時に編集した場合、競合はクラウド ストレージ プロバイダによって処理されます。通常、クラウド ストレージ プロバイダは、「優先される」ユーザーを選択し、2 番目のユーザーによる変更を、同じフォルダ内の新しい「競合するコピー」として保存します。
- ファイルの処理と同期
- AutoCAD ベースの製品がコントロールするものと、クラウド サービス プロバイダがコントロールするものとの間には、相互関係があります。
- デスクトップ コンピュータでクラウド ストレージを使用する場合、Dropbox、Box、Google Drive、OneDrive ではすべて、コンピュータ上の図面ファイルのローカル「キャッシュ」との対話処理が行われます。この処理により、ファイル操作の速度が最適化されます。ファイルを開いたり保存したりする場合、AutoCAD ベースの製品は、ローカル ハード ドライブからファイルを開いて保存するのと同じように動作します。その後、変更内容をデスクトップ コンピュータに保存した後のある時点で、サードパーティの同期クライアントによって、変更内容がクラウド アカウントに保存または「同期」されます。ファイルの同期が発生するタイミングとその方法は、サードパーティの同期クライアントによって実装され、AutoCAD ベースの製品のコントロール下にはありません。その結果、各クラウド ストレージ プロバイダとのやり取りには、次の表に示すような特定の相違があります。
|
クラウド ストレージ プロバイダ |
注記 |
|---|---|
| OneDrive |
OneDrive 同期クライアントは、AutoCAD ベースの製品で図面を閉じた後、最近保存した変更内容をクラウドに同期します。図面を閉じるまで、変更内容はローカル コンピュータの OneDrive キャッシュにのみ存在します。 |
| Dropbox |
ファイルの同期は自動的に実行されます。 |
| Box |
ファイルの同期は自動的に実行されます。 Box の個人向けバージョンでは、ファイル バージョンはサポートされていません。最後に保存したバージョンにのみアクセスできます。 |
| Google Drive |
ファイルの同期は自動的に実行されます。 |
| その他のクラウド ストレージ プロバイダ |
場合によっては、クラウド ストレージ プロバイダを場所バーに手動で追加する必要があります。 その他のクラウド ストレージ プロバイダからは、バージョン履歴を取得できないことがあります。 アクティビティ インサイトの場所がクラウド ストレージ プロバイダに設定されている場合、[アクティビティ インサイト]パレットには、AutoCAD モバイル以外のすべての AutoCAD 製品の全バージョン履歴一覧が表示されます。 |