セクション1: Autodesk Inventor Nastran の概要

Autodesk Inventor Nastran ソフトウェアは、Autodesk Inventor に組み込まれた汎用有限要素解析(FEA)ツールです。Autodesk Nastran ソルバーを搭載し、線形応力解析、非線形応力解析、動的解析、熱伝導解析など、さまざまな種類の解析に対応するシミュレーション機能を提供します。

Inventor Nastran はネットワーク ライセンスとして複数の CAD プラットフォームで利用でき、一貫性のあるユーザ エクスペリエンスを提供するため、単一プラットフォームのシミュレーションを複数使用する必要はありません。CAD 組み込みワークフローで高性能なシミュレーション技術が提供されるため、優れた製品を作成できます。

このトピックでは、Inventor Nastran で使用可能な、基本および高度な解析タイプの概要について紹介します。

基本的な解析機能

解析タイプ

説明

線形静的解析

線形静的解析は、使用頻度の高い解析タイプの 1 つです。適用された静的荷重および強制された拘束によって生じる応力、ひずみ、変形を判別します。

  • 線形応力、ひずみ、たわみ
  • 慣性レリーフ
  • 熱応力およびたわみ
  • プリストレス
  • 質量特性
  • 多軸疲労

線形静的解析は、非常に簡単で使用頻度の高いクラスの FEA です。静的荷重およびゆっくりと適用される荷重のシミュレーション機能を提供します。

座屈解析

座屈解析を使用して、荷重がある場合のデバイスの安定性を評価します。座屈解析は、圧縮力で突然生じた破壊モードの構造を調べます。

  • 臨界荷重およびモード形状
  • 線形/非線形初期応力

線形座屈解析は、オイラー座屈の式で計算されます。

非線形座屈解析を使用して、座屈荷重を計算して大きな変形、接触、非線形材料の挙動をシミュレーションします。

プリストレス静解析および固有値解析(初期応力考慮)

プリストレス静解析および固有値解析(初期応力考慮)を使用して、初期応力が加わっている構造を解析し、構造の変位、応力、モードに関する初期応力状態の効果をモデル化します。

固有値解析

固有値解析を使用して、構造の非減衰固有モード形状および固有振動数を判別します。この手法を使用すると、ノイズや振動による問題を調査して解決することができます。

  • 固有振動数とモード形状
  • フレキシブルなボディおよび剛体の運動
  • モード寄与係数、有効質量/重量、および反力
  • 線形/非線形プリストレス(スティフナ)
  • 仮想流体の質量

線形定常熱伝導解析

熱伝導を解析することで、伝導および対流の熱伝導の原則に従って温度分布を判別します。定常および時間に依存する熱荷重を、次を使用して計算します。

  • 定常
  • 熱伝達
  • 輻射

温度結果を熱荷重として構造解析に転用することができます。

複合材料

複雑な層データのパフォーマンスをシミュレーションします。Puck や LaRC02 などの最新の破損インデックスに基づいて解析します。

  • 線形および非線形
  • 2D および 3D の積層要素
  • 繊維強化材料に最適
  • サンドイッチ構造の複合材料に適した特別な破損手法
  • 剥離破損に適した接着性ゾーン モデル
  • 破損インデックスおよび安全率の計算
  • さまざまな理論

アセンブリ モデリング(接触あり)

個別のパーツの解析以外の解析を実行します。スライド、摩擦、溶接の接触タイプを含む、さまざまな種類の接触相互作用を詳細にモデリングすることにより、アセンブリを実際にシミュレーションできます。

熱応力

熱荷重が加わっている構造を解析します。

高度な解析機能

解析タイプ

説明

非線形静的解析

非線形静的解析では、接触しているパーツ、非線形弾性材料、非線形塑性材料、大変形を使用して、より現実的なシミュレーションを追加する機能が提供されます。

大規模な変位/回転、大きなひずみ、塑性、超弾性、クリープなど、高度な非線形ソリューションを計算します。

非線形非定常熱伝導解析

時間とともに変わる非線形/線形熱境界条件を持つ熱伝導をシミュレーションします。たとえば、電力変動が原因で発生する過渡的な発熱があります。

  • 定常
  • 熱伝達
  • 輻射

非線形定常熱伝導解析

温度依存の熱特性などの非線形熱境界条件を持つ熱伝導をシミュレーションします。

ランダム応答解析

ランダムな動的荷重に対する応答としての構造の動作を解析します。

周波数応答解析

動的解析により、解析に時間と質量を含める機能が追加されます。次の機能が含まれます。

  • 強制調和運動 - 周波数応答解析
  • 時間に依存する運動および荷重 - 過渡応答解析
  • ランダムな励振
  • 衝撃荷重

周波数応答を使用して、周波数依存荷重に基づいた構造調和応答を判定します。

線形/非線形過渡応答解析

一定の、または時間の経過に応じた荷重の影響下で、時間に依存する構造の応答をシミュレーションします。

たとえば、衝撃的な荷重があります。

高度な非線形および超弾性材料

塑性、超弾性、形状記憶効果など、複雑な非線形現象をシミュレーションします。金属から形状記憶合金、ゴム、軟部組織まで、幅広い材料を解析できます。

自動衝撃解析(AIA)および落下試験

落下試験などの衝撃タイプの荷重を簡単かつ自動的にシミュレーションします。衝撃を与えるパーツ、パス、速度を定義します。初期条件と荷重を定義し、非線形非定常解析として実行します。

高度な処理によって、現実的で意味のある衝撃および落下試験のシミュレーションを行います。必要な入力は、発射体の速度および加速度のみです。

ここに挙げた解析タイプの他に、Inventor Nastran を使用して、疲労解析、振動疲労解析、応答スペクトル解析を実行できます。

このビデオでは、Inventor Nastran のストーリーを紹介しています。