オートデスクのデジタル プロトタイプは、さまざまな設計案を試作品の製作前に具体的にテストできる革新的な手法です。この手法では、異なる分野のメンバーがチームを形成してコラボレーション作業を行うことができます。また、個人やあらゆる規模の企業が、優れた製品を今までにないスピードで市場に送り出すことが可能になります。コンセプトから設計、製造、マーケティング、そしてその先に至るまで、製品の開発プロセス全体をオートデスクのデジタル プロトタイプによって効率化することができます。
デジタル プロトタイプにおいて、シミュレーションはどのような位置づけになるのでしょうか?シミュレーションを行うことにより、デジタル プロトタイプでの設計サイクルで次のことが可能になります。
FEA は製品設計プロセスに絶大な価値をもたらします。より良い製品の作成に役立つ重要な知見と設計指針を提供してくれます。FEA を使用することの具体的なメリットと結果を、以下にいくつか示します。
ここで用いる単純なケースの場合、次のようにピーク応力を基本的な工学式で表すことができます。
これよりやや複雑なケースでは、構造のテキスト(Roark など)による応力集中係数を用いることで基本的な工学式を補い、ピーク応力を求めることができます。
ただし、それよりさらに複雑になると、工学式ではピーク応力を求めることができません。この場合、FEA が最適な選択となります。
力は、測定された変位から次のように求められます。
応力は、測定された変位から次のように求められます。
手順 1. ジオメトリを作成する |
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手順 2. 材料特性を割り当てる |
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手順 3. メッシュを作成する |
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手順 4. 荷重および拘束を適用する |
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手順 5. 結果を確認する 解析結果を使用して、破損の可能性を下げるため、パフォーマンスを向上させるため、または費用を最適化するために、設計の変更が必要かどうかを判断します。 |
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必要に応じて設計や条件を変更し、解析を繰り返します。
このセクションでは、FEA 解析を定義する際に必要となる前提条件をまとめます。これには、解析のジオメトリ、材料、メッシュ作成、荷重、拘束が含まれます。状況に応じた適切な物理特性を選択することも必要です。
以下が、基本的な 3D シミュレーションとモデリングの理想化です。
以下が、基本的な断面の理想化です。
有限要素のメッシュは、節点と要素で構成されています。
要素タイプ |
要素の例 |
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ソリッド要素 要素の特性は必要ありません。 |
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シェル要素 要素の厚みが必要です。 |
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ライン要素 断面と方向が必要です。 |
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特性は、Autodesk Inventor Nastran において次の 2 つの目的を果たします。
材料とは、モデル内に使用される物質(アルミニウム、鋼など)です。材料は、マテリアル ライブラリからインポートしてもよいし、特性データを入力して材料を定義しても構いません。
適切な材料タイプを使用することが極めて重要です。線形解析では、次の中から選択します。
場合によっては、非線形材料で代用する必要があります。非線形材料を線形材料として理想化することが現実的に可能かどうか検討する必要があります。今の状態が線形弾性の範囲なのか、あるいは次のいずれかにすべきかを判断してください。
ジオメトリを解析モデルに追加する方法が 2 つあります。
以下に、FEA 解析で使用されるジオメトリに関する基本的なガイドラインをいくつか紹介します。
境界条件は、モデル化しなかったパーツとモデル化したパーツの相互作用を表現するために使用します。変位、応力、および剛性を、およびモデル化されなかったパーツが強制しなかった振る舞いを、境界条件によって強制してはなりません。
境界条件の誤った使用法が、ユーザーの熟練度に関係なく最もよくあるエラー発生原因です。
基本的なガイドラインは次のとおりです。
解析の成功と正確さにh、正しい物性の選択が不可欠です。以下を考慮してください。
すべての解析タイプについて制限事項を理解しておくことが重要です。
FEA は基本的に、動力学に関し F= Kx {F}=[K]{x} または P= Ma+Bv+Kx を計算します。
剛性と質量をゼロにすると特異点になり、解析が失敗します。
Autodesk Inventor Nastran でできることは、問われたことに答えることのみです。FEA で解析がうまくいくために必要な基本スキルは、工学的な判断です。これによって、シミュレーションのすべての入力が適切に定量化されます。
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