フレーム解析の概要

フレーム解析は、特定のフレームがさまざまな荷重と拘束を受けているときの変形と応力に関する構造上の完全性について把握するために使用します。条件を定義すると、シミュレーションの実行と、定義した条件で解析した結果の表示を行うことができます。設計品質を特定し、適切な設計変更案を見つける際にシミュレーションが役立ちます。

梁要素は直線形状です。フレーム解析では、曲線状の梁がサポートされていません。このため、曲線状の梁は、小さな直線状の部分に分割する必要があります。

各梁要素には、梁の始点と終点で 6 つの自由度があります(3 つの回転自由度と 3 つの変位自由度)。梁のノードは、構造上の重要な点を定義します。これは、たとえば、力を定義するために使用できます。固有値解析では、ノードに質量が集中する場合があります。

フレーム解析では、次のような主要機能を使用できます。

フレーム解析環境

フレーム解析インタフェースは、フレーム解析ブラウザとグラフィックス領域の 2 つの主要領域に分かれています。これらの領域は、アクティブなシミュレーションに関連付けられたコンテンツを表示します。アクティブでないシミュレーションは灰色の背景で表示されます。

フレーム解析ブラウザ

シミュレーションとアセンブリを表示し、シミュレーション パラメータをフィーチャや属性情報のネスト レベルの階層ビューに表示します。次のような方法があります。

  • シミュレーション全体をコピーします。
  • ノードを右クリックして、右クリック メニュー オプションを表示します。
  • フォルダを展開し、ノードを選択し、グラフィックス領域でハイライト表示された選択オブジェクトを参照できます。

グラフィックス領域

モデル ジオメトリとシミュレーション結果を表示します。

  • シミュレーションの状況を表示するように更新します。
  • 表示の操作用ツールが用意されています。

フレーム解析にアクセスする

フレーム解析のコマンドにアクセスするには、リボン上にある次の 2 つのパネルを使用します。

  • 次の順にクリック: [環境]タブ [開始]パネル [フレーム解析]
  • 次の順にクリック: [デザイン]タブ [フレーム]パネル [フレーム解析]

フレーム解析の作業手順

一般的なフレーム解析の作業は、次のような手順になります。

  1. 期待値の設定: 概念モデルを使用して物理的な挙動を予想します。
  2. 前処理: モデルに物理特性を入力し、実行する解析条件を定義します。
  3. 解析の実行: 数理的なモデルを解析します。
  4. 後処理: 結果を表示および評価します。
  5. 期待値の確認: 初期の期待値と結果を比較します。
  6. 結論(入力の改善): 結果が期待値と一致するかどうかを確認します。
  7. 一致しない場合、入力条件を確認および修正して、結果を改善します。この修正には、不要な梁の省略、荷重または拘束の変更、解析タイプの変更などがあります。解析結果を期待値に一致するように改良するための検証方法は多数存在します。改良には繰り返し作業が必要であることを認識することが重要です。
  8. 一致する場合、解析作業は完了です。結果として、設計が改良され向上しているはずです。

Inventor フレーム解析の作業手順

フレーム解析を開始すると、フレーム ジェネレータ アセンブリ モデルが自動的に梁とノードに変換されます。ソース モデルから読み込まれる情報には次のものがあります。

  • 梁断面のデータ
  • 梁材料
  • 境界条件の参照が検証される
  • 梁の始点と終点が指定した程度の公差で結合される
  • 不十分な材料や不適切な断面プロパティがレポートに表示される

次の例は、Inventor フレーム解析を使用してフレーム構造を解析する場合の一般的な作業手順を示しています。この手順はすべてを網羅するものではなく、解析で使用する手順のみを示しているものでもありません。

以下の番号順の手順は、次の項目に対応します。

  • 手順 1 から 9 は前処理です。
  • 手順 10 は解析の手順です。
  • 手順 11 は後処理の手順です。
  • 手順 12 から 15 は、入力を改良する手順です。
  1. フレーム ジェネレータ ツールを使用して作成したフレーム コンポーネントが含まれるアセンブリを開きます。
  2. フレーム解析環境に入ります。
  3. [シミュレーションを作成]をクリックします。
  4. シミュレーション プロパティを指定します。梁モデルは、構造解析を行うために理想的なノードと梁に自動的に変換されます。グラフィックス ウィンドウには、梁、ノード、および重心記号が表示されます。ブラウザのステータス フォルダには、不十分な梁材料および断面が表示されます。
  5. シミュレーションで使用しない梁と境界条件を除外します。
  6. 解析の対象となる梁の材料と物理プロパティを指定します。
  7. 拘束を指定および適用します。
  8. 場所を指定し、荷重の大きさを指定します。
  9. 接続を評価し、必要に応じて指定します。
  10. シミュレーションを実行します。
  11. 結果を表示します。
  12. アセンブリを改良するために必要な変更を加えます。これには、ノード、荷重、および拘束の追加や、問題のあるものの省略などの変更があります。
  13. シミュレーションを再実行して、結果を更新します。
  14. コンポーネントを最適化できるまでこの作業を繰り返します。
  15. 上記の作業が完了したら、結果に基づいたレポートを作成します。

フレーム解析設定

フレーム解析設定は、ドキュメント単位で適用できます。この設定は、すべてのシミュレーションの既定を定義します。あるシミュレーションの作業中にこの設定を変更した場合、シミュレーションにすぐに反映されます。

フレーム解析の値を指定する

フレーム解析で荷重と拘束を定義すると、ヘッズ アップ表示(HUD)とグリップを使用して入力を定義できます。または、該当するダイアログ ボックスで値を設定できます。

[フレーム解析設定]ダイアログ ボックスの[一般]タブで[アプリケーションで HUD を使用]オプションを選択すると、編集中の既定の方法としてヘッズ アップ表示が使用されます。ただし、ダイアログ ボックスを表示することもできます。リボンで該当するコマンドを選択し、グラフィックス ウィンドウ内で右クリックして[その他のオプション]を選択します。

警告メッセージ

警告メッセージは、フレーム解析ブラウザのステータス フォルダに一覧表示されます。シミュレーションを作成し、アセンブリ フレーム モデルが自動的に梁とノードに変換されると、不十分な梁材料および断面の表示についてのメッセージが表示されます。シミュレーションを実行すると、シミュレーションについてのすべてのメッセージが表示されます。シミュレーションを実行したときに、データがクリティカルでシミュレーションに失敗する場合があります。その後、別のダイアログ ボックスも表示されます。 アイコンとともに警告メッセージが表示されます。 アイコンとともにエラー メッセージが表示されます。

エラー メッセージは、修正しないとシミュレーションを処理できないことを示します。たとえば、不十分な材料を梁に割り当てている場合、シミュレーションは失敗する可能性があります。

このエラーメッセージが表示された場合、シミュレーションを続けるには修正が必要です。この場合は梁材料を変更します。[梁]パネルの[材料]コマンドをクリックし、[梁材料]ダイアログ ボックスで材料を選択します。または、ソース モデルで材料を直接変更し、[梁]パネルの[更新]コマンドをクリックして梁モデルを再計算します。

右クリックして[操作方法...]を選択し、[ヘルプ]ページを開くと、シミュレーションを実行すると発生する可能性のある警告とエラーの一覧が表示され、それらを解決するためのアドバイスが表示されます。