流体材料を使った作業

流体材料を適用するには

  1. 材料クイック編集ダイアログを開きます。次の方法があります:
    • マウス左ボタンで部品をクリックし、状況依存ツールバーの編集アイコンをクリックします。
    • 部品を右クリックし、編集...をクリックします。
    • デザインスタディバーの材料ブランチの下にある部品名を右クリックし、編集...をクリックします。
    • 材料状況依存パネルで編集をクリックします。
  2. 1つ以上の部品を選択します。
  3. 材料データベース名メニューからデータベースを選択します。
  4. 種類メニューより、流体を選択する。
  5. 名前メニューから材料を選択します。
  6. 適用をクリックします。
注: 2つの異なる流体が直接接触しないように注意する。異なる流体は、固体によって分離されることを条件に、同一の解析において定義できる。

流体材料の適用例

流体材料を作成するには

流体材料の定義には材料エディタを使用します。

  1. 材料パネルで材料エディタをクリックし、材料エディタを開きます。
  2. リストボタンをクリックします。
  3. カスタムデータベースを右クリックし、新規材料を選択します。流体を選択します。名前を指定します。
  4. 定義したい物性値のボタンをクリックする。
  5. それぞれの物性値について、変化方法を選択し、適切な値と単位を入力し、適用をクリックします。
  6. 必要に応じて、[保存]をクリックします。
  7. OK をクリックします。材料クイック編集ダイアログを開くと、新しい材料を使用できます。

デフォルト材料データベースには、すべての材料タイプに対して最低でも1つのインスタンスが含まれています。新しい材料を作成する際は、デフォルト材料を例として用いるのが便利です。これらの材料は読み取り専用であるため、材料エディタによりオリジナルをカスタムデータベースにコピーし、その内容を変更します。既存材料からの材料の作成についての詳細

流体物性値

流体に定義するために必要な基本的物性値は6つある。この基本的プロパティのほとんどが、複数の方法によって、温度や圧力やスカラーに基づいて変化させることができます。6つの基本的物性値および指定可能な変化方法は、下表の通りです。

物性値 変化 方法
[密度]: 体積あたりの質量 一定、 状態方程式、多項式、逆多項式、アレニウス、蒸気表、区分直線近似、湿潤空気
粘性係数: 動粘度(絶対)を使用 一定、サザランド、べき乗、多項式、逆多項式、非ニュートンべき乗則、ハーシェル - バックレー、カリュー、アレニウス、区分直線近似、蒸気表、1次多項式、2次多項式
熱伝導率: 熱の伝導率 一定、 サザランド、多項式、逆多項式、アレニウス、蒸気表、区分直線近似
比熱 一定、 サザランド、多項式、逆多項式、アレニウス、蒸気表、区分直線近似
圧縮性

以下から選択できます。

Cp/Cv(ガンマ、比熱比):圧縮性ガス解析にのみ有用です。

体積弾性係数:圧縮性液体解析にのみ有用です。体積弾性係数については、以下を参照。

放射(輻射)率: 熱放射(輻射)解析に役立ちます。流体において指定される放射率は、接触する壁面に指定されます。固体に設定された放射率が流体に設定された放射率に優先されます。

温度では一定、区分直線近似変化。(これは、スペクトル放射解析に役立ちます)。

壁面粗さ:摩擦損失に与える壁面の粗さを考慮する場合に必要です。

一定

壁面粗さプロパティの説明を参照。

キャビテーションに使用します。

蒸気圧力を指定するか、蒸気特性を含む関連する材料を指定します。

体積弾性係数

体積弾性係数と液体の密度は、液体中を伝播する音速を決定するためのキーです。

体積弾性係数の定義は、次の式で表されます。

音速 a,は次の式で定義されます。

この結果、音速は次の式で計算できます。

出典: White, F. M., "Fluid Mechanics," McGraw Hill, New York, New York, 1986

体積弾性係数は、圧縮性液体(ウォターハンマー)の解析にのみ使用されます。材料データベースに登録されている圧縮性液体の体積弾性係数は、自動的に設定されています。ユーザーによって材料が定義された場合では、液体の圧縮性が解析される場合のみ、正しい体積弾性係数の値が必要となります。圧縮性液体の解析例、すなわちウォターハンマー現象を以下に説明します。

まっすぐなパイプ内を10in/sの水が流れています。突然、パイプの終端に存在するバルブが閉じられました。圧力波動が、水の中を水の音速で移動します。この現象は、「ウォターハンマー」と呼ばれており、水の中を伝わる圧力波の移動を予測する非定常解析が必要です。音速を決定する比熱比と理想気体の仮定ではなく、水の密度と体積弾性係数を使用します。

壁面粗さ

粗さには、物理的な寸法(ドロップメニューから単位を選択できる)の入力が必要です。この粗さは、一般的に非常に小さい値です。例えば鋳鉄管では、0.25mm程度です。

流体に壁面粗さの値が指定された場合、ソルバーは、この値を流体に接する壁面に自動的に適用します。固体に設定された壁面粗さの値は、流体と接するすべてのサーフェスに適用されます。固体の壁面粗さとして、0(ゼロ)以外の値を設定した場合、これと接する流体に設定した壁面粗さではなく、固体に設定した壁面粗さが優先して使用されます。

壁面粗さは乱流壁面モデルで実現され、形状に影響を与えることはありません。壁面粗さを検討する場合には、流れは乱流でなければなりません。層流の場合、壁面粗さは無視されます。

壁面の乱流則が満足される条件下において、指定された壁面粗さが最高の条件で作用します。すなわち、壁面から最も近い節点までの無次元距離(y+)35から350までの値とならなければなりません。 この拘束を実現する最も簡単な方法は、境界メッシュ追加ダイアログ(メッシュタスク)の自動アダプティブ境界層のチェック ボックスをオンにすることです。この結果、ソルバーは局所的な流れの条件に基づいて、モデルのすべての壁面に沿った壁面近傍の節点位置の調整を行います。

実在気体の効果

理想気体に対する定式化を用いながら実在気体の効果をシミュレートするには、材料プロパティウィンドウにてガス定数を修正します。混合気体の密度は次式によって計算します:

ここで、P は静圧(絶対値)、Ru は一般ガス定数、T は絶対静温度、MWi は気体 i の分子量、f i は気体 i のモル分率です。

この気体を Autodesk Simulation CFD で解析するには、次に従って、流体の材料エディタでガス定数を変更します。

ここで、RT は、気体ガスについて Autodesk Simulation CFD ウィンドウに入力した値です。