ソルバー技術

ソルバーにいくつかの機能上の改良が加えられました。改良点は、物理モデルとパフォーマンスの向上です。

またソルバー開発が必要なもう1つの新しい物理モデルに、熱交換材料デバイスがあります。これは材料として分類されているので、材料の新規機能のトピックで説明されています。

サーフェスの腐食

激しい流れの環境で機器の故障を引き起す主要な原因の1つに、高速な流体流れの衝突によるサーフェスの腐食があります。腐食が発生する可能性がある箇所を把握することは、優れた耐久性と長いサービス寿命のための設計を行う上で重要です。

砂、クォーツ、飛散灰などの混入物質がバルブなどの機構で再循環し、衝突する際に、材料の腐食が生じます。石油およびガス産業では、エンジニアが粒子の「メッシュサイズ」に基づいてこの延性腐食を評価します。メッシュサイズは、システム内への混入が考えられる最大粒子サイズです。この現象は、「ウォッシュアウト」とも呼ばれます。

Autodesk Simulation CFD では、Edwards Model を使用した Lagrangian 粒子追跡によって腐食を計算します。低い粒子集中度の想定(スラリー腐食モデルでない)を採用し、結果をスカラー結果量として提示します。これにより設計の比較が容易になり、腐食予測の解釈を当て推量で行うことがなくなります。

腐食モデルは仰角の反発データと材料のブリネル硬さを使用して材料ボリュームの除去率を計算します。このアプローチは、腐食の対象領域を質的に特定します。流れと腐食傾向の間の関係を明らかにすることで、設計を改良して腐食を軽減できます。

浸食の計算についての詳細

シナリオステータスアイコン

デザインスタディバーのシナリオブランチには、シミュレーションの現在の状態を把握するためのステータスアイコンが表示されています。これらのアイコンは、シミュレーションプロセスの様々な状態に対応します。

キューに追加...

シナリオは現在、キューの中にあります。このシナリオの前に、1つまたは複数のシナリオがスケジュールされています。

実行

シミュレーションはメッシュ作成中または解析中です。

Completed

シミュレーションが完了しましたが、結果はまだソルバーコンピュータからダウンロードされていません。

失敗しました

シミュレーションが実行できませんでした。これには複数の原因が考えられます。

Canceled

ユーザーが処理を中止したために、シミュレーションが実行できませんでした。

アップロード

シミュレーションモデルがソルバーコンピュータに転送されています。

ダウンロード

完了したシミュレーションの結果がソルバーコンピュータから返されています。

注意:

解析についての詳細

パフォーマンスに関する改良点

計算速度の高速化、シミュレーション時間の短縮、および処理効率の向上は、CAEソルバー技術の進化における不変の目標です。Autodesk Simulation CFD では、次の改良点によってこれらの目標をすべて実現しました。

複数の物理モデルでの広範な数値並列処理

Autodesk Simulation CFD は、数値モデルのあらゆる側面を計算する数百もの基本的なアルゴリズムで構成されています。これらのアルゴリズムは、基本の行列演算から分布抵抗や内部ファンなどの材料モデルまで様々です。Autodesk Simulation CFD 2013 では、これらのアルゴリズムのほとんどすべてに対応するように機能が拡張されているので、このソフトウェアのほとんどすべての物理モデルがハイ パフォーマンス コンピューティング(HPC)に対応します。これにより、さらに広範なCFD解析タイプでパフォーマンスが向上しています。

メッセージ転送の抑制

「マスター」ノードと「スレーブ」ノード間の通信レベルを抑制することで、操作効率が向上しました。これにより「スレーブ」の自立性が拡大し、各「スレーブ」ノードが従来のバージョンよりも多くの情報を管理できるようになりました。その結果、複数のコンピューティングコアに作業をより均等に分散できるようになり、計算速度が向上しました。

ハイ パフォーマンス コンピューティングについての詳細

放射モデルのパフォーマンスの向上

従来のバージョンでは、形態係数の計算に使用できるメモリ(RAM)容量は最大2GBでした。この制限があるため、数千のサーフェスが含まれた非常に大きなモデルでは、相互依存性計算を正確に実行することができませんでした。

現在、熱放射形態係数の計算用に利用できるデフォルトのメモリ容量は4GBです。

この容量を拡張するには、フラグマネージャrad_matrix_sizeフラグの値を変更します。引数には、RAM容量(単位:MB)を指定します。例えば、上限のRAM容量を10GBに設定するには、値を10000に指定します。

そこで相互依存性計算のパフォーマンスの向上(およびメモリ使用量の削減)を図るため、フェースクラスタリングスキームが実装されています。この方法では、同じサーフェスに属する要素サーフェスをそれよりも大きなポリゴンにグループ化して、形態係数サーフェスの有効数を減少させます。その結果、形態係数の計算が高速化され、相反性の確保が改善され、各収束計算時のラジオシティーマトリックス解析が高速化されます。

熱放射サーフェスクラスタリングは自動実行されますが、フラグマネージャでフラグ ClusterFaces によって制御できます。

熱放射(輻射)についての詳細

新しい対流項計算スキーム

ソルバーに、新しい対流項計算スキーム、「ADV 5」が導入されました。

ADV 5はADV 2(Petrov-Galerkin対流項計算スキーム)の安定した改訂版です。ADV 2で推奨されるすべてのアプリケーションタイプに対応しますが、通常、全体として慎重な結果が得られます。ADV 5は、ADV 2と比較して次の面で改善されています。

対流項計算スキームについての詳細