モデルへの適用時に各種熱荷重の大きさをコントロールする乗数が 4 つあります。これらは、[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[乗数]タブにあります。
[境界温度乗数]フィールドを除き、これらのフィールドに 0 の値を指定すると、当該タイプの荷重がモデルで無効になります。[境界温度乗数]フィールドに 0 の値を指定すると、指定温度の大きさが 0 度に変更されます。
[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[オプション]タブの[節点温度の既定値]フィールドの値は、温度が定義されていない節点の温度を定義する場合に使用します。これは、モデルに温度依存の材料モデルまたは輻射がある場合に使用する必要があります。
ジオメトリおよびメッシュが現在解析中のモデルと同じモデルに対して、静電電流と電圧解析を以前に実行している場合、このモデルに静電結果を適用して、電流の温度効果を特定できます。このプロセスでは、準拠する必要があるガイドラインがいくつかあります。
[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[解法]タブの[ソルバーのタイプ]ドロップダウン ボックスで、熱解析のソルバーのタイプを選択できます。関連情報については、「使用可能なソルバー タイプ」も参照してください。次のオプションを指定できます。
何らかの理由により解析マトリックスを作成するが、解析は実行しない場合、[剛性計算の後に停止]チェック ボックスをオンにします。これが有用になると考えられるのは、方程式番号マトリックスにアクセスする場合のみです。解析を実行すると、常に剛性マトリックスが計算されます。このため、通常の状況では、このオプションを使用する利点はありません。
スパース行列および反復法ソルバーの場合、要素データの読み取りおよびマトリックスの作成で使用できる RAM の容量を[メモリ割り当てのパーセンテージ]フィールドでコントロールします。低い値を指定することをお勧めします。(値が 100% 以下となる場合は、使用可能な物理メモリが使用されます。 100% より大きな値を指定すると、メモリ割り当てにより使用可能な物理メモリと仮想メモリが使用されます。
上記で説明したように、一部のソルバーでは、コンピュータの複数のスレッド/コアを利用できます。これに該当する場合、[スレッド/コアの数]ドロップダウンが有効になります。解析結果を最速で得られるようすべてのスレッド/コアを使用できます。ただし、解析と同時に他のアプリケーションを実行するための演算処理能力が必要な場合は、スレッド/コアの数を少なくするよう選択することもできます。
反復ソルバーを選択した場合、[反復ソルバー]領域が有効になります。この領域で指定できるオプションを次に示します。
反復法(PBiCGStab)ソルバーを選択すると、次のオプションが有効になります。
スパース ソルバーを選択した場合、[スパース ソルバー]領域が有効になります。この領域で指定できるオプションを次に示します。
解析の完了後に、解析結果をテキスト ファイルに出力できます。[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[出力]タブでは、このファイルに出力するデータをコントロールできます。
モデルに輻射荷重または温度依存の特性(熱伝達、材料など)が含まれている場合、適切な温度を特定するために解析で非線形反復プロセスが実行されます。このプロセスは、[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[高度]タブでコントロールできます。
モデルに上記の条件のいずれかが該当する場合、[実行]チェック ボックスをオンにします。[反復の最大数]フィールドでは、プロセッサで実行できる解析の反復回数をコントロールできます。指定した反復回数より後の結果が解析結果として使用されます。反復の最大数より前に適切な解析結果が収束される場合もあります。
反復プロセスを停止するオプションが 5 つあります。これらは、[基準]ドロップダウン ボックスで選択できます。[すべての N 反復を行う]オプションを選択した場合、[反復の最大数]フィールドで指定した回数の反復がすべて実行されます。[収束ノルムが < E1 のとき停止(case 1)]オプションを選択した場合、収束ノルムが[修正許容誤差]フィールドの値未満になったときに、反復が停止します。[相対ノルムが < E2 のとき停止(case 2)]オプションを選択した場合、相対ノルムが[相対許容誤差]フィールドの値未満になったときに、反復が停止します。[ケース 1 または 2 のとき停止]オプションを選択した場合、収束ノルムが[修正許容誤差]フィールドの値未満になったとき、または相対ノルムが[相対許容誤差]フィールドの値未満になったときに、反復が停止します。[ケース 1 および 2 両方のとき停止]オプションを選択した場合、収束ノルムが[修正許容誤差]フィールドの値未満になり、かつ相対ノルムが[相対許容誤差]フィールドの値未満になったときに、反復が停止します。
収束の質を特定するために計算される値が 2 つまたは 4 つあります。最初の値は収束ノルムです。収束ノルムは次のように計算されます。
ここで、numnp はモデル内の節点の総数、T old は前の反復の温度、T new は現在の反復の温度です。 このノルムは、反復間の温度差を基準にしているため、収束ノルムという名称になっています。
収束の 2 番目の値は相対ノルムです。これは次のように計算されます。
このノルムは、反復間の温度の相対的変化に類似しているため、相対ノルムという名称になっています。[修正許容誤差]フィールドでは、収束ノルムの最大値を定義できます。[相対許容誤差]フィールドでは、相対ノルムの最大値を定義できます。
解析に物体間輻射が含まれている場合、収束は熱流束(3 番目と 4 番目の収束値)も基準にします。熱流束に基づいた収束ノルムおよび相対ノルムの方程式は、上記の方程式と同じです(温度を熱流束に置き換えます)。
反復後の節点の温度(T new )は、最終収束値より高くなったり低くなる場合があります。 このため、この値は次の反復の入力値として使用できない場合があります。[緩和パラメータ]フィールドでは、こうした振動を最小化するための値を指定できます。緩和パラメータは次のように使用します。
T cur = T old + (緩和パラメータ)*(T new - T old )
グラフィック形式では、異なる結果間の関係を図 1 のように示すことができます。T cur 、つまり緩和パラメータの効果は結果ファイルに出力される値です。
図 1: 緩和パラメータのグラフィックによる説明
非線形の効果が小さい場合、0.8 ~ 1 の範囲の緩和パラメータを指定すると、有効な収束が得られます。高温での輻射など、非線形の効果が大きい場合、0.1 ~ 0.3 の範囲の緩和パラメータを指定して、振動を平滑化する必要があります。収束の履歴をログ ファイルで確認できます。
接着連結の処理には 2 通りの方法があります。適用する方法は、2 つのパーツ間で節点が一致しているかどうかによって一部決まります。
[スマート接着/溶接接触を有効化]チェック ボックスをオンにすると、パーツ A、サーフェス B 上の節点をパーツ C、サーフェス D 上の最も近い節点と接着する必要がある場合に、多点拘束(MPC)方程式が使用されます。形状関数により、サーフェス B 上の節点の温度がサーフェス D 上の節点に補間されます。したがって、パーツ間でメッシュを一致させる必要はありません。すべての節点が一致しない場合、サーフェス接触ペアのすべての節点について常に MPC が使用されます。すべての節点でメッシュが一致する場合、接触サーフェスの接着に節点マッチングが使用されます。隣接するパーツの 2 つの頂点が 1 つの節点に統合されます。接触平面の場合、MPC 方程式は使用されません。[スマート接着]ドロップダウンのオプションを次に示します。
スマート接着オプションは、接着接触および溶接接触に適用されます。その他の種類の接触([自由]を除く)の場合、節点が一致する必要があります。接触の定義およびスマート接着については、「メッシュ作成の概要」>「接触ペアを作成する」>「接触のタイプ」を参照してください。
既定では、スマート接着は縮合法を使用して解析の解を求めます。解析が収束しなかったり、想定どおりに実行されない場合は、MPC 方程式で使用する別の解法を選択することもできます(「多点拘束」を参照)。[セットアップ] [荷重]
[多点拘束]をクリックし、[解析手法]オプションから選択します。 [ペナルティ法]を使用する場合、[ペナルティ乗数]フィールドを使用することによって、解の精度をコントロールできます。ペナルティ解析時に、モデル内の最大斜め剛性を乗じるペナルティ乗数が使用されます。10
4
~ 10
6
の範囲の値を指定することをお勧めします。
[スマート接着/溶接接触を有効化]チェック ボックスをオフにすると、パーツ間で節点が一致している場合にのみパーツが接着されます。