複数の荷重ケースを使用して単一の解析を実行する
複数の荷重ケースを使用して、モデルを設定し、複数の荷重組み合わせの結果を取得します。[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[乗数]タブで(部分的に)モデルを設定します。
節点力またはエッジ力および節点モーメントをモデルに適用する場合、それらの配置先である荷重ケースを[荷重ケース/荷重曲線]フィールドで指定できます。 節点力は、[解析パラメータ: 乗数]ダイアログ ボックスによる影響を受けません。
[荷重ケース乗数]表のダイアログ ボックスでは、[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[乗数]タブにある荷重ケースのそれぞれに対して 1 つの行を作成できます。ダイアログ ボックスに一覧表示された要素タイプは入力値によって乗算されます。
たとえば、100 psi の圧力をモデルのサーフェスに適用し、[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[乗数]タブで 1.5 の圧力乗数を指定した場合、荷重ケースの合計圧力は 150 psi になります。
圧力乗数は、サーフェス軸受荷重、サーフェス モーメント、またはサーフェス リモート荷重には適用されません。これら 3 タイプの荷重では、[解析パラメータ]ダイアログ ボックスではなく、各荷重を適用する際に荷重ケースを指定します。
解析を実行する場合、指定した荷重ケースごとに結果のセットが個別に出力されます。結果環境では、[結果オプション][荷重オプション]
[荷重ケース]で各荷重ケースの結果を確認できます。
典型的な応力解析の計算では、有限要素に反応する節点変位および応力が求められます。場合によっては、モデルによって外部に発せられる力/モーメントの量を認識したいということがあります。例えば、一端が固定され、その反対側で垂直重力を受ける片持ちはり型ビームでは、反力/モーメントが発生します。
図 1: 片持ちはり型ビームのフリーボディ図
F = ビームによって壁に生じる反力
Fd = ビームによって壁に生じる反力モーメント
内部反力の計算機能によって、モデルのすべての節点における反作用がレポートされています。これは、[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[解法]タブにある[反力を計算]チェックボックスをアクティブにすることで有効にすることができます。典型的には、いくつかの境界条件が設定された節点のみでゼロではない反作用が発生します。内部力の計算機能によって、ファイル名.ro ファイルが生成されます。.ro ファイルは、節点の反作用、節点の反作用力と節点でのその違いを含む、直接アクセスのフォーマットされていないファイルです。このファイルは .do ファイルと同様、結果環境で使用できます(ただし、荷重ケース数は 3 倍になります)。反力のテキスト結果は、ファイル名.l ファイルに書き込まれます。
構造解析では、次の方程式系が解かれます。
K D = F (Kij Dj = Fi j sum)
内容
K は、剛性マトリックスです
D は、節点の変位/回転のベクトルです
F は、適用荷重/境界条件のベクトルです
A は、アセンブリ演算子です
k e は、要素レベルの剛性マトリックスです
f e は、要素レベルの適用力のベクトルです(表面力、物体力、熱荷重などを含む)
は、適用された片持ちはり型の力の要素レベルのベクトルです
d e は、要素変位ベクトルとして定義されます(例えば、ベクトル D からの要素節点に対応する値)
F n は、節点の反作用力/モーメントのベクトルです
内部力の計算機能では、次の定義が使用されます。
R = -KD = 節点の反作用
F = 適用された節点力
F - KD = 節点の残りの力(R + F)
-k e d e = 要素の反作用
f
e
+ = 要素の反作用力
構造解析では、遠心力が要素レベルの物体力ではなく節点力として計算されます。境界、ギャップ、剛性要素には質量がないため、遠心力荷重には考慮されません。
反力を正しく計算するには、プロセッサに一貫性がなければなりません。例えば、要素ルーチンは、内部力プロセッサおよび線形応力プロセッサで同一である必要があります。非同期のプロセッサでは、拘束されていない節点でゼロではない残差が発生します。長方形の要素でゼロの残差が発生し、その一方で変形された要素ではゼロではない残差が発生する状況に注意してください。これは、同期の問題が原因となっている場合があります。
場合によっては、反作用の計算でいくつかの要素を無視すると便利なことがあります(例えば、境界要素にアタッチされている節点の反作用を見つける場合、境界要素の剛性は K にアセンブルする必要はありません)。 この場合は、[設定]ボタンを使用します。結果のダイアログ ボックスには、表が表示されます。その表には、パーツ番号を表示する最初の列、追加可能な説明を表示する 2 番目の列、クリック時に表示される次のオプションを提供する 3 番目が表示されます。
荷重と要素
[要素のみ]
要素の反力のみを出力します。[無視]
反力の計算時に要素と節点が無視されます。モデルに境界要素(1D 接地バネ、3D 接地バネ、または強制変位)が存在する場合、正確な反力の結果を得るために[境界要素グループを無視]チェック ボックスをオンにする必要があります。これにより、境界要素の反力は無視され、境界要素が接続されるモデルの節点にある反対方向の反力は無効になります。[境界要素グループを無視]オプションは既定でオンになっています。
静的応力解析のタイプは、[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[解法]タブにある[ソルバー タイプ]ドロップダウン メニューから選択できます。関連情報については、「使用可能なソルバー タイプ」も参照してください。利用可能なオプションは次のとおりです。
反復法(AMG-MF)ソルバーを選択すると、追加のオプションが、[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[解法]タブで使用可能になります。特にこのソルバーは、処理負荷の高い計算を補助する、GPU の多数の小さいコアでの GPU(グラフィックス プロセッシング ユニット)計算の利点を使用できます。この機能を利用するには、[ソルバーの GPU バージョンを使用]オプションをアクティブにします。
何らかの理由で解析を実行せずに剛性マトリックスを作成する場合は、[剛性計算の後停止]チェックボックスをアクティブにします。これは、別の目的で剛性マトリックスを使用する場合のみに便利です。例えば、別のプログラムから剛性マトリックスにアクセスするなどが挙げられます。剛性マトリックスは解析を実行する際に必ず計算されます。したがって、通常の場合、このオプションには何のメリットもありません。
スパース行列および反復法ソルバーの場合、要素データの読み取りおよびマトリックスの作成で使用できる RAM の容量を[メモリ割り当てのパーセンテージ]フィールドでコントロールします。低い値を指定することをお勧めします。(値が 100% 以下となる場合は、使用可能な物理メモリが使用されます。 100% より大きな値を指定すると、メモリ割り当てにより使用可能な物理メモリと仮想メモリが使用されます。
上記で説明したように、一部のソルバーでは、コンピュータの複数のスレッド/コアを利用できます。これに該当する場合、[スレッド/コアの数]ドロップダウンが有効になります。利用可能なスレッド/コアをすべて使用すれば、最も高速な解法が実現しますが、解析と同時に別のアプリケーションを実行する場合は、その処理能力を確保するために、使用するスレッド/コアの数を減らすよう選択できます。
[反復ソルバー]セクション
反復ソルバーを選択すると、[反復ソルバー]セクションが有効になります。このセクションでの入力は次のとおりです。
[スパース ソルバー]セクション
スパース ソルバーを選択した場合、[スパース ソルバー]セクションが有効になります。このセクションでの入力は次のとおりです。
[サーフェス接触]
接触を含む解析を実行する場合、どの節点が接触しているかを判別する反復プロセスで使用できる 3 つの方法があります。これは、[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[接触]タブにある[反復法]ドロップダウン メニューで指定できます。[個々のポイント]オプションは最も保守的なアプローチです。各ポイントがアクティブ/アクティブ解除され、複数のポイントは、それらがすべて同一の状態である場合のみ考慮されます。この方法は、ギャップ要素を使用する手動構築のモデルに適しています。[混合]オプションは、圧縮内のすべての非アクティブ接触ポイントを同時にアクティブにします。圧縮内にないポイントは一度に 1 つずつアクティブ解除します。[複数]オプションは、最もアグレッシブなアプローチで、状態の変更が必要なすべてのギャップをアクティブ/アクティブ解除します。 この最後のオプションは不安定な解法の原因になる場合があります。しかし、安定した場合には、最も有効な解法が実現します。3 つの方法すべてサーフェス接触およびエッジ接触に適用できますが、後者の 2 つの方法を使用することをお勧めします。
接触に関連する非線形構造解析は、数多くの区分線形計算の段階に線形化されます。このプロセスは、均衡に達するまで、または反復数が[反復回数の最大値]ダイアログ ボックスに指定した値を超えるまで継続されます。
[しきい値の許容誤差]フィールドは、接触中に不要な振動曲線の動作を防ぐために使用します。この値(小さな値)未満の絶対ひずみを持つ接触要素では、反復から次の反復への移行でその状態が変化しません。したがって、本来ならば状態が有効/無効で切り替わる場合でも、要素はこの特定の反復では現在の状態のままになります。このエントリの典型的な値は、通常 0.01 よりも小さくなります。
接触の問題が数多く存在する場合、最初の反復で不安定な解法が発生します。さらに、剛性物体運動が可能な場合、すべての反復で不安定な解法が発生します。これは、構造が付加されていない場合に、基準となる算術によって特異なまたは非常に不良な条件のシステムが結果として生じる純粋な人工物です。通常、こうした解法の問題を防ぐには、安定化方法を使用します。[安定化方法]ドロップダウン メニューには、3 つの異なる利用可能なオプションがあります。これらの安定化オプションでは、最初の反復ですべての接触ポイントが事前にアクティブ化されます。[グローバル/初期]オプションでは、モデル全体の剛性に対して同一の小さな値が使用されます。このオプションは、最初の反復の前のみに適用されます。したがって、剛性物体運動のないモデルに特に適しています。その他 2 つのオプションは、最初の反復の前には適用されませんが、すべての反復に対して、シュミレートされた拘束を追加して、剛性物体運動を防ぐことができます。これらのオプションでは、この拘束を強制するために人工的な剛性が使用されます。[ローカル]オプションでは、この剛性を確立するために使用する数値を入力する必要があります。入力する数値は、構造モデルに存在する最も大きな剛性に相対的なこの剛性の比率です。この数値は 0 と 1 の間です。安定化方法の使用を回避するためのオプションもあります。
[ローカル]オプションを選択した場合、この剛性を確立するために使用する値を指定する必要があります。 [安定化係数]フィールドで指定します。入力する数値は、構造モデルに存在する最も大きな剛性に相対的なこの剛性の比率です。この数値は 0 と 1 の間です。
反復の最大数に達しても解法が収束されない場合、接触剛性を 10 の係数で減少させることができます。これは、最大で[剛性減少試行]ドロップダウン メニューで指定した回数まで発生します。
接着接触
結合接続の扱いには、2 つの方法があります。どちらの方法を使用するかは、2 つのパーツ間で節点が一致しているかいないかに基づきます。
[スマート接着/溶接接触を有効化]オプションをアクティブにすると、パーツ A の節点、パーツ C 上で最も近い節点を持つサーフェス B、サーフェス D を接着する必要がある場合に多点拘束の方程式(MPC)が使用されます。形状関数によって、サーフェス B 上の節点の変位がサーフェス D 上の節点に補間されます。したがって、パーツ間でメッシュは一致する必要がありません。節点が一致しない場合、サーフェス接触上のすべての節点に対して MPC が使用されます。すべての節点でメッシュが一致する場合、接触サーフェスの結合に節点一致が使用されます。隣接するパーツ上の 2 つの節点が 1 つの節点に折りたたまれ、接触するサーフェスに MPC の方程式は使用されません。 スマート接着のオプションを次に示します。
スマート接着オプションは、接着接触および溶接接触に適用されます。その他の接触タイプ(自由以外)では、節点が一致している必要があります。接触の定義の説明およびスマート接着の追加情報については、「メッシュ作成の概要」>「接触ペアを作成する」>「接触のタイプ」を参照してください。
既定では、スマート接着は縮合法を使用して解析の解を求めます。解析が収束しなかったり、想定どおりに実行されない場合は、MPC 方程式で使用する別の解法を選択することもできます(「多点拘束」を参照)。[セットアップ] [荷重]
[多点拘束]をクリックし、[解析手法]オプションから選択します。 [ペナルティ法]を使用する場合、[ペナルティ乗数]フィールドを使用することによって、解の精度をコントロールできます。ペナルティ解析時に、モデル内の最大斜め剛性を乗じるペナルティ乗数が使用されます。10
4
~ 10
6
の範囲の値を指定することをお勧めします。
[スマート接着/溶接接触を有効化]オプションがアクティブでない場合、パーツ間で節点が一致してる場合のみパーツが結合されます。
解析を実行する前に、作成する追加の出力を選択できます。[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[出力]タブでは、出力するデータを制御できます。すべての出力は、次の場合を除きテキスト ファイルに出力されます。