熱解析の一般的なエラー メッセージ

熱解析の実行時に発生する可能性のあるエラー メッセージのいくつかを次に示します。 特に示されていな限り、これらのメッセージは統計情報ファイルかサマリ ファイルのいずれか、またはその両方に記録されます。

AMG ソルバーが指定された精度に到達できませんでした。(AMG solver could not reach to specified accuracy.)

指定された許容範囲 =  n.nnnE-nn (Specified tolerance =  n.nnnE-nn)

(スケーリングされたシステムの)最終的な相対残差 =  c.cccE-cc (Final relative residual (of scaled system) =  c.cccE-cc)

事前に調整されたシステムの状態 =  1.0000E+00 (Condition of the preconditioned system =  1.0000E+00)

使用された反復の回数 = X (Number of iterations used = X)

解析を解くために反復ソルバーが使用されましたが、解に収束できませんでした(さまざまなソルバーの詳細については、「解析の設定と実行」の「使用可能なソルバーのタイプ」のページを参照してください)。 ソルバーは、X 回の反復の後、ターゲット残差の n.nnnE-nn と比較して、c.cccE-cc の残差まで連立方程式を解くことができました。選択肢は、別のソルバーのタイプ(Type of solver)を試すか、収束の許容範囲(Convergence tolerance)または最大反復回数(Maximum number of iterations)を変更することです。 これらのパラメータはすべて、[解法]タブ([解析パラメータ] [パラメータ])で入力します。

エラー: すべての温度が 0.0D0 です (ERROR: ALL TEMPERATURES EQUAL 0.0D0)

解析は完了しませんでした。負荷の欠落が原因と考えられます。サマリ ファイルで他の警告を確認してください。問題の実際の原因が特定される可能性があります。また、負荷の乗算器を確認してください。さらに、熱源が存在することを確認してください。定常状態解析の場合には、熱の除去手段も確認してください。

エラー: 要素温度が材料テーブルの範囲外です (error: element temperature outside material table)

直交異方性の温度依存材料のプロパティが指定されていますが、初期温度または計算された温度がテーブルの温度範囲を超えています。温度値が小さい順に並べられており、最初と最後の材料温度が解析全体の温度値を包含していることを確認してください。

エラー: 形態係数の合計 = X は 0 以上かつ 1 未満でなければなりません。(Error: view factors sum = X must be >= 0 and < 1.)

(使用された許容範囲=Y) オープン エンクロージャ対象。((tolerance used=Y) for an open enclosure.)

これはサーフェス N では誤りです。(This is not the case for surface N!)

物体間輻射における形態係数の計算結果(エラー メッセージの値 X) が、0~1 (およびユーザ入力の許容範囲の値 Y をプラスまたはマイナス)の許容範囲外です。問題のある要素は、その輻射サーフェス番号 N によって特定されます。形態係数が範囲外であるため、計算された温度結果はおそらく不正確です。

輻射ログ ファイル(.LRD)を使用して、輻射サーフェス番号(輻射サーフェスの一覧(List of Radiation Surfaces)のRad.Surf)を、パーツ番号(Egroup)および要素番号に相関付けしてください。[結果]環境で要素の場所を特定して([結果の照会] [照会] [要素情報])、問題の発生場所を把握してください。

次に、問題の原因および解決策の可能性を列挙します。項目 1 および 2 が物体間輻射入力ダイアログで設定されています。詳細については、「解析の設定と実行」の「熱」の「荷重および拘束」の「物体間輻射」のページを参照してください。

  1. [影付け]オプションが含まれていません。その場合、要素は、理論的に可能な範囲より多くの面に輻射可能となります。該当する場合は、[シャドーイング]オプションをアクティブ化してください。
  2. 要素の面が小さな隙間で分離されている場合、[形態係数の計算方法]([String則/周回積分])でより精度の高い方式を選択することで向上する可能性があります。面が十分に分離されている場合は、[点から点]オプションが適しています。
  3. 細かいメッシュを使用してください。

許容範囲の値 Y を大きくしてエラーを回避するのは推奨されません。許容範囲が提供されているのは、形状係数の計算が正確に 1 になることは数学的にありえないことが唯一の理由です。

エラー: モデルの拘束が不十分です。(error: your model isn't tied down enough.)各 DOF がおよそ nnn であることを確認してください(make sure each DOF is set somewhere nnn)

モデルが負荷を受けていない可能性があります。負荷が定義されており、アクティブ化されていることを確認してください。

直交異方性の方向節点が定義されていません。(Orthotropic orientation nodes not defined.)パーツ(n)エラーです。(Part (n) Error.)データが無効であるか欠落しています。(Invalid or missing data)

直交異方性材料モデルを使用する場合、3 つの材料軸の方向は、[要素定義]に 3 つの節点番号を指定することによって定義されます。このエラー メッセージは、パーツ n に対して節点番号が指定されていないことを示しています。[結果]環境を使用して、方向を指定する節点番号を取得し、該当パーツに対してそれらの番号を入力してください。

解が収束基準を満たしませんでした (SOLUTION DID NOT MEET CONVERGENCE CRITERIA)

直交異方性の温度依存材料特性または輻射による定常状態解析の場合、反復プロセスの設定に[高度]タブ([解析パラメータ]画面)が使用されます。しかし、指定された反復回数以内でモデルが収束できませんでした。サマリ ファイルの修正ノルムと相対ノルムを確認し、解析中にモデルがどのように収束した(または収束しなかった)のかに基づいて、反復パラメータになんらかの変更を加え、モデルを再度実行してください。

比熱に 0.0 以下の値を指定できません (SPECIFIC HEAT CANNOT BE <= 0.0)

非定常熱伝導解析では比熱が必要とされます。ところが、材料の比熱の入力に負またはゼロの値が含まれています。材料を編集し、ゼロ以外の値を入力してください。

温度結果ファイルに x 個の節点がありますが、モデルの節点は y 個です。(Temperature results file has x nodes, but the model has y nodes.)

非定常解析で、初期節点温度が別の熱伝達解析から読み込まれる場合、2 つのモデルの節点数は同じでなければなりません。そうでない場合、温度の自動転送が正しく動作しません。 このメッセージは、ポップアップ ウィンドウに表示され、サマリ ファイルには記録されません。また、ポップアップ ウィンドウを閉じた後も解析の実行は継続されますが、初期節点温度は設定されません。

温度結果ファイルが見つかりません。(Temperature results file not found. )

非定常解析で、初期節点温度が別の熱伝達解析から読み込まれるときに、最初の結果の場所を特定できませんでした。[グローバル] > [オプション]タブに入力されているパスとファイル名を確認してください。

このメッセージは、ポップアップ ウィンドウに表示され、サマリ ファイルには記録されません。また、ポップアップ ウィンドウを閉じた後も解析の実行は継続されます。

熱伝導率は 1.0E-09 でなければなりません(THERMAL CONDUCTIVITY MUST BE 1.0E-09)

熱伝導率は、ゼロより大きくなければなりません。材料パラメータを変更してください。

警告: 行列の再定式化が実行されません。(Warning: Matrix reformulation will not be done.)要素ベースのロードは、負荷曲線に依存しません。(Element based loading will not depend on Load Curves.)

ユーザの入力によって、プロセッサが解析中に行列を更新しないように指示されています。そのため、時間依存の効果や温度依存の効果は正しく計算されないことがあります。詳細については、「解析の設定と実行」の「熱」の「解析パラメータ」の「非定常熱伝導解析」のページにある「マトリックス計算をコントロールする」のパラグラフを参照してください。

警告: 温度依存の熱伝導率によってモデルは非線形を持ちます。(WARNING: Model has non-linearity through temperature-dependent thermal conductivity.)非線形フラグはユーザによって設定されていません。(Nonlinear flag has not been set by user.)このため、不正確な結果を生じる可能性があります。(This may lead to inaccurate results. )ランタイム オプション NL を使用して非線形解析を設定してください。(Use runtime option NL to set up nonlinear analysis.)

定常状態解析では、[高度]タブ([解析パラメータ]画面)を使用して、非線形材料の反復プロセスを設定してください。この操作は、モデルで直交異方性の温度依存材料特性を使用し、輻射が適用される場合に必要です。

警告: モデルが十分に拘束されていないか、モデル内のいずれかで実行された剛性の変更が大きすぎる可能性があります。(warning: your model may not be tied down enough or you may have a change in stiffness somewhere in your model which is too abrupt.)DOF: nnn を確認してください(Check DOF: nnn)

モデルが負荷を受けていないか、解析中に要素が変形して剛性問題を生じている可能性があります。 負荷が定義されており、アクティブ化されていることを確認してください。要素の特性を確認してください。この場合の実行可能な処置内容の詳細については、「拘束が不十分なモデル」を参照してください。