ラジオシティ ワークフロー

このトピックでは、ラジオシティで使用するシーンの設定について説明します。シーンのサイズおよびシーンで使用する単位系、ライティング、マテリアルなどについて考慮する必要があります。

ラジオシティを処理する前に単位を正しく設定する

読み込んだジオメトリを使用する場合は、ラジオシティを処理する前にシーン内の単位に矛盾がないことを確認する必要があります。たとえば、壁の高さが 8 km ではなく 8 フィートであることを確認します。ラジオシティ エンジンはライトに対して常に逆二乗フォールオフを使用するため、3ds Max の単位はモデルの単位に一致する必要があります。したがって、距離が非常に重要となります。

単位が正しく設定されていることを確認するには、[単位設定](Units Setup)ダイアログ ボックスを使用します。システム単位は、このダイアログ ボックスで最も重要な設定です。システム単位は、3ds Max が計算に使用する単位です。[単位を表示](Display Unit)は、単にユーザ インタフェース内での単位の表示方法をカスタマイズするツールです。

次の 2 つのシナリオでは、3ds Max で現在設定されている単位とは異なる単位を使用して作成されたジオメトリを読み込んだ後の単位スケールの設定方法を示します。

例 1: メートル スケールを使用して AutoCAD で作成したテーブルを読み込みます。このテーブルは 9 単位の長さで、実際の 90 センチメートルの長さに対応します。テーブルが 3ds Max に読み込まれると、9 シーン単位として測定されます。このため、[単位設定](Unit Setup) [システム単位設定](System Unit Setup)ダイアログ ボックスで、[システム単位スケール](System Unit Scale)を 1 単位 = 10 センチメートルに設定する必要があります。3ds Max モデルで 90 センチメートルの長さになるため、テーブルの単位は正しくなります。

例 2: 建築単位を使用して作成した AutoCAD モデルがあるとします。このモデルは、20’4” の長さの部屋です。AutoCAD では、建築単位はインチで格納されます。このため、モデルを 3ds Max に読み込む前に、[システム単位スケール](System Unit Scale)を 1 単位 = 1 インチに設定します(これは既定の設定です)。3ds Max に読み込まれると、部屋の長さは 20’x12+4”=244 単位として測定されます。

ヒント: 3ds Maxを使うと、3ds Max の寸法をすばやく確認できます。

物理ベースのワークフロー

ラジオシティを使用すると、物理ベースのライト シミュレーションを作成できます。この場合、次の点に注意してください。

物理ベースのワークフローでフォトメトリック ライトを使ってラジオシティを処理するには:

  1. ジオメトリが物理的に正しいスケールに設定されていること、マテリアルの反射率が有効な値に設定されていることを確認します。
  2. フォトメトリック ライトをシーン内に配置します。このワークフローの利点は、現実の世界と同じようにライトをシーン内に配置できることです。新しいフォトメトリック ライトを作成するか、アセット ブラウザを使用して付属のライブラリから、プリセットのルミネア オブジェクトをドラッグアンドドロップしてライトをシーン内に配置します。

    フォトメトリック ライトの共通ランプ値」も参照してください。

  3. [レンダリング](Rendering) [環境](Environment)を選択して、[環境](Environment)パネルを表示します。使用する露出制御のタイプ(通常、[対数](Logarithmic))を選択します。
  4. ライトをプレビューするために、 ([レンダリング プロダクション](Render Production))をクリックします。

    この段階ではラジオシティは処理されませんが、直接照明が正しいかどうかは一目で分かるはずです。必要に応じて、ライトの位置を調整してください。

  5. [レンダリング](Rendering) [アドバンスド ライティング](Advanced Lighting) [ラジオシティ](Radiosity)を選択し、警告が表示された場合は内容を確認します。[アドバンスド ライティングを選択](Select Advanced Lighting)ロールアウトで、[アクティブ](Active)にチェック マークが付いていることを確認します。
  6. ラジオシティの処理を開始するために、[ラジオシティ処理パラメータ](Radiosity Processing Parameters)ロールアウトで[開始](Start)ボタンをクリックします。

    ラジオシティの計算が完了すると、その結果がビューポートに表示されます。ジオメトリと一緒にライトのレベルも保存されるため、シーンを処理し直さなくても、モデルをインタラクティブに操作できます。

  7. 再度、 ([レンダリング プロダクション](Render Production))をクリックします。

    レンダラーは、直接照明とシャドウを計算した後、ラジオシティ ソリューション(間接照明)を調整済みの周囲光として適用します。

照明分析

ラジオシティ ソリューションを生成した後、[照明分析](Lighting Analysis)ツールを使用して、シーンのライト レベルを分析できます。このダイアログ ボックスには、マテリアルの反射率、透過率、および輝度に関するデータが表示されます。

[照明解析露出コントロール](Pseudo Color Exposure Control)を使用して、シーンのライト レベルをインタラクティブにビジュアル化することもできます。[レンダリング フレーム ウィンドウ](Rendered Frame Window)に、レンダリングしたフレームと、イメージの下に凡例が表示されます。凡例は、ライト レベルとカラー値に相関しています。

ライト レポートを生成する必要がある場合は、[照明データ書き出し](Lighting Data Export)ユーティリティを使用して、輝度と照度のデータを 32 ビット LogLUV TIFF ファイル、または PIC ファイルのペア(輝度と照度に 1 つずつ)に書き出すことができます。

注: ライト レベルの最も正確な定量分析を取得するには、色付きのマテリアルおよびテクスチャ マップを使用しないようにします。

非物理ベースのワークフロー

ラジオシティ効果をレンダリングに組み込むために、必ずしも物理ベースのライトを使用する必要はありません。ただし、次の点を考慮する必要があります。

標準ライトを使ってラジオシティを処理するには:

  1. ジオメトリが物理的に正しいスケールに設定されていることを確認します。
  2. [作成](Create)パネルで ([ライト](Lights))をクリックします。標準ライトを作成し、シーン内に配置します。
  3. ライトをプレビューするために、 ([レンダリング プロダクション](Render Production))をクリックします。

    この段階でラジオシティは処理されませんが、直接照明が正しいかどうかをすぐに確認できます。必要に応じてライトの位置を調整します。

  4. [レンダリング](Rendering) [アドバンスド ライティング](Advanced Lighting) [ラジオシティ](Radiosity)を選択し、警告が表示された場合は内容を確認します。[アドバンスド ライティングを選択](Select Advanced Lighting)ロールアウトで、[アクティブ](Active)にチェック マークが付いていることを確認します。
  5. ラジオシティの処理を開始するために、[ラジオシティ処理パラメータ](Radiosity Processing Parameters)ロールアウトで[開始](Start)ボタンをクリックします。ラジオシティの計算が完了すると、その結果がビューポートに表示されます。
  6. 露出制御の設定を行う[環境](Environment)パネルを表示するために、[ラジオシティ処理パラメータ](Radiosity Processing Parameters)ロールアウトの[インタラクティブ ツール](Interactive Tools)領域で[設定](Setup)ボタンをクリックします。
  7. 非物理ベースのライトを使用するときは、常に[対数型露出コントロール](Logarithmic Exposure Control)を使用します。[対数型露出コントロール パラメータ](Logarithmic Exposure Control Parameters)で、[間接のみ影響](Affect Indirect Only)にチェック マークを付けます。

    これにより、露出制御はラジオシティ ソリューションの結果にのみ影響します。ラジオシティを使用しない直接光は通常どおりレンダリングされます。露出制御の[輝度とコントラスト](Brightness and Contrast)コントロールを使用して、適切なレベルで照明が調和するようにラジオシティ ソリューションの強度を調整します。

    ヒント: サムネイル ブレビューを使用して、明るさとコントラストを対話式で調節します。
  8. ラジオシティの処理が行われた状態でシーンをレンダリングするために、 ([レンダリング プロダクション](Render Production))をクリックします。

概要

ラジオシティで最良の結果を得るために、次の表を参考にしてください。

  物理ベースのワークフロー 非物理ベースのワークフロー
ライト フォトメトリック ライト 標準ライト
デイライト IES サンおよび IES スカイ 指向性ライトおよびスカイライト
露出コントロール 任意 対数: [間接のみ影響](Affect Indirect Only)をオンにします。
単位 シーンが適切なスケールに設定されていることを確認します。 シーンが適切なスケールに設定されていることを確認します。