カスタム オブジェクトは、Vault の管理者が拡張可能なシステムを使用して、所属するチーム、組織、または企業のニーズに即した新しい Vault エンティティを作成することを可能にします。管理者は、独自のカスタム オブジェクト定義を作成して、カテゴリ、ライフサイクル、およびプロパティに割り当てることができます。カスタム オブジェクト定義の作成後、ユーザはカスタム オブジェクトのインスタンスをユーザ インタフェースから直接作成できます。ファイルやフォルダと同様に、ユーザは多くの一般的な Vault のタスクをカスタム オブジェクトに対して実行できます。
カスタム オブジェクトの詳細
カスタム オブジェクト エンティティ クラスには 2 つのコンセプトがあります。具体的にはカスタム オブジェクト定義とカスタム オブジェクト インスタンスです。
カスタム オブジェクト定義
カスタム オブジェクト インスタンス
- ユーザが定義に基づいて新たに作成したカスタム オブジェクトはインスタンスと見なされます。たとえば、管理者が「連絡先」という名前のカスタム オブジェクト定義を作成したとします。この場合、ユーザは「Bob Smith」という名前のこのカスタム オブジェクトのインスタンスを作成することができます。
- ユーザは、リンクを使用して、ファイル、フォルダ、およびその他の Vault エンティティをカスタム オブジェクトにアタッチできます。
たとえば、「タスク」という名前のカスタム オブジェクト定義が作成され、ユーザが「John の設計をレビュー」という名前のタスクを作成した場合、このタスク(John の設計をレビュー)を Vault 内の John の設計にリンクすることができます。
- カスタム オブジェクト インスタンスは、多くの一般的な Vault のコマンドを使用して、チェックイン、チェックアウト、ステータスの変更、管理を行うことができます。同様に、Vault 機能のユーザ設定によっては、これらの処理をリンク オブジェクトに適用することもできます。
たとえば、カスタム オブジェクトをチェックアウトするときに、カスタム オブジェクトにファイル、フォルダ、アイテム、または変更管理へのリンクがある場合、このリンク データに関連付けられているファイルも一緒にチェックアウトされます。
[カスタム オブジェクトを設定]ダイアログ ボックスにアクセスする
Vault Client の[Vault 設定]ダイアログ ボックスの[カスタム オブジェクト]タブでは、カスタム オブジェクト定義を管理者が作成、編集、および削除することができます。
[アクセス]
- の順にクリックします。
- [Vault 設定]ダイアログ ボックスで、[カスタム オブジェクト]タブを選択します。
- [設定]ボタンをクリックすると、[カスタム オブジェクトを設定]ダイアログ ボックスが表示されます。
新しいカスタム オブジェクト定義を作成する
新しいカスタム オブジェクト定義を作成するには、次の手順を実行します。
- Autodesk Vault Client で、[ツール]
[管理]
[Vault 設定]をクリックします。
- [Vault 設定]ダイアログ ボックスで、[カスタム オブジェクト]タブを選択し、[設定]をクリックします。
- [カスタム オブジェクトを設定]ダイアログ ボックスで、[新規作成]をクリックします。
- カスタム オブジェクトの新しい表示名を入力します。この名前は、新しいカスタム オブジェクトを表示する際に Vault のユーザ インタフェースで使用されます。
注: 注: Vault ではインタフェース全体を通じて単数と複数の両方のコンテキストを使用するため、単数形と複数形の表示名が必要となります。名前を複数形にする共通の方法がないため、管理者は作成時に値を挿入する必要があります。
- カスタム オブジェクトでは、ロール ベースのセキュリティが既定で使用されます。これは、個別のユーザおよびグループに別の権限を設定することでカスタマイズできます。詳細については、「カスタム オブジェクトのセキュリティ」を参照してください。
- 新しいカスタム オブジェクトでは任意のアイコン ファイル(*.ico)を使用できます。4 種類のアイコンのサイズ(16x16、32x32、64x64、128x128)の中から、Vault インタフェース全体を通じてアイコンの外観が最適になるサイズを定義します。1 つのサイズだけを定義した場合は、各サイズに収まるよう伸縮されます。使用可能なアイコンがない場合は、[既定のカスタム オブジェクト アイコンを使用]チェック ボックスをオンにする必要があります。
注: 新しいカスタム オブジェクトは、カスタム オブジェクトの作成後にユーザがログアウトして再ログインするまで、ユーザ インタフェースに表示されません。
カスタム オブジェクト定義をプレビューする
- プレビュー フィールドの上にカーソルを合わせると、Vault インタフェースでのアイコンの表示をプレビューできます。想定していたほどイメージが明瞭に表示されない場合は、より適切なイメージ サイズになるよう .ico ファイルの設定を変更します。
既存のカスタム オブジェクト定義を編集する
カスタム オブジェクト定義を作成した後、管理者は[カスタム オブジェクトを設定]ダイアログ ボックスに移動して、既存の設定を変更することができます。
名前を編集する
- Autodesk Vault Client で、[ツール]
[管理]
[Vault 設定]をクリックします。
- [Vault 設定]ダイアログ ボックスで、[カスタム オブジェクト]タブを選択し、[設定]をクリックします。
- カスタム オブジェクト定義を選択し、[編集]をクリックします。
- [表示名]および[複数表示名]フィールドの値を変更します。
- [OK]をクリックします。
注: 変更したカスタム オブジェクト名は、ログアウトして Vault Client に再度ログインした後に表示されます。
セキュリティを編集する
- Autodesk Vault Client で、[ツール]
[管理]
[Vault 設定]をクリックします。
- [Vault 設定]ダイアログ ボックスで、[カスタム オブジェクト]タブを選択し、[設定]をクリックします。
- カスタム オブジェクト定義を選択し、[編集]をクリックします。
- [セキュリティ]をクリックします。
- 既存のアクセス制御リストのエントリを編集します。
- [OK]をクリックします。
セキュリティの編集内容は、カスタム オブジェクト定義のすべてのインスタンスに即座に適用されます。
アイコンを編集する
カスタム オブジェクト定義に関連付けたアイコンは、定義の作成後に変更することができます。
- Autodesk Vault Client で、[ツール]
[管理]
[Vault 設定]をクリックします。
- [Vault 設定]ダイアログ ボックスで、[カスタム オブジェクト]タブを選択し、[設定]をクリックします。
- カスタム オブジェクト定義を選択し、[編集]をクリックします。
- 既定のアイコンを使用するか、新しい .ico ファイルを指定して、アイコンを変更します。
- [OK]をクリックします。
注: 変更したカスタム オブジェクト アイコンは、ログアウトして Vault Client に再度ログインした後に表示されます。
カスタム オブジェクト定義を削除する
ユーザは、[カスタム オブジェクトを設定]ダイアログ ボックスを使用して、既存のカスタム オブジェクトをいつでも削除することができます。カスタム オブジェクトが使用中でない限り、定義を Vault から削除できます。
注: 定義を削除するには、事前にカスタム オブジェクト定義のインスタンスを Vault からすべて削除する必要があります。
- Autodesk Vault Client で、[ツール]
[管理]
[Vault 設定]をクリックします。
- [Vault 設定]ダイアログ ボックスで、[カスタム オブジェクト]タブを選択し、[設定]をクリックします。
- [カスタム オブジェクトを設定]ダイアログ ボックスで、削除するカスタム オブジェクトを選択します。
- [削除]をクリックします。
- 次のいずれかの作業を実行します。
カスタム オブジェクトのインスタンスが Vault に作成されていない場合:
- [削除を確認]ダイアログ ボックスで[はい]をクリックします。
カスタム オブジェクトのインスタンスが Vault にある場合:
- 定義が使用中であることを通知するダイアログ ボックスで[OK]をクリックします。
- Vault に対してカスタム オブジェクト インスタンスを検索します。
- インスタンスを削除します。
- [カスタム オブジェクトを設定]ダイアログ ボックスに戻り、定義を選択します。
- [削除]を選択します。
- [削除を確認]ダイアログ ボックスで[はい]をクリックします。
カスタム オブジェクト定義が削除されます。必要に応じて、同じ名前の新しい定義を作成することができます。
注: カスタム オブジェクト定義にプロパティが関連付けられている場合、管理者はこの定義の削除を制限されます。
カスタム オブジェクトとカテゴリ、ライフサイクル、プロパティ
カスタム オブジェクトは、カテゴリ、ライフサイクル ステータス、およびプロパティに割り当てることができます。
カテゴリ
カテゴリは、カスタム オブジェクトを作成する場合、およびユーザがカスタム オブジェクトに対してカテゴリの変更イベントを実行する場合にカスタム オブジェクトに割り当てることができます。カスタム オブジェクト インスタンスをカテゴリに割り当てると、そのカテゴリに関連付けられたプロパティとライフサイクル定義が自動的にインスタンスに適用されます。
詳細については、「ユーザ定義プロパティを使用する」を参照してください。
ライフサイクル
ファイルやフォルダと同様に、カテゴリに割り当てられたカスタム オブジェクトは、関連付けられたライフサイクル定義を自動的に継承します。ライフサイクルにおけるカスタム オブジェクトのステータスに基づいて、特定の動作を自動化するようライフサイクルを設定できます。ライフサイクルの設定は管理者が行います。
詳細については、「ライフサイクルの管理」を参照してください。
プロパティ
カテゴリは、ユーザ定義プロパティをカスタム オブジェクトに割り当てる場合にも使用できます。[カスタム オブジェクト名]や[カスタム オブジェクト システム名]など、カスタム オブジェクト固有の初期設定のプロパティもあります。
詳細については、「ユーザ定義プロパティを使用する」を参照してください。