mCloth モディファイヤ

mCloth は MassFX シミュレーションでの作業専用に設計された[布地 モディファイヤ](Cloth modifier)です。 布地オブジェクトを物理的なシミュレーションに完全に加えて、シミュレーション内の他のオブジェクトの動作に影響を与えたり、それらの動作による影響を受けるようにすることができます。

インタフェース

mCloth の[シミュレーション](Simulation)ロールアウト

布地の動作
mCloth オブジェクトをシミュレーションに追加する方法を決定します。
  • [ダイナミック](Dynamic) mCloth オブジェクトの動きがシミュレーション内の他のオブジェクトの動きに影響を与え、かつ、mCloth オブジェクトがそれらの動作による影響を受けます。
  • [キネマティック](Kinematic) mCloth オブジェクトはシミュレーション内の他のオブジェクトの動きに影響を与えますが、それらの動きによる影響は受けません。
    注: [制限フレーム](Until Frame)を使用しているシミュレーションでは、キネマティックの布地オブジェクトをダイナミックの布地オブジェクトにいつでも変換できます。次を参照してください。
有効フレーム
オンの場合、MassFX は指定されたフレームで選択されたキネマティックの布地オブジェクトをダイナミックの布地オブジェクトに変換します。 [布地の動作](Cloth Behavior)が[キネマティック](Kinematic)に設定されている場合にのみ使用できます。

つまり、標準のメソッドを使用してオブジェクトをアニメートし、[布地の動作](Cloth Behavior)を[キネマティック](Kinematic)に設定して、そのオブジェクトのアニメーションが指定したフレームまで実行されるようにすることができます。 その時点でオブジェクトはダイナミック オブジェクトになり、その後、完全な MassFX シミュレーション フォースの影響を受けます。

ヒント: この機能を利用するために mCloth オブジェクトをアニメートする必要はありません。 たとえば、複数のハンカチを空中で一時停止させ、それぞれを別の時間に落下させるとします。 これを行うには、すべての布地オブジェクトを[キネマティック](Kinematic)に設定し[制限フレーム](Until Frame)をオンにしてから、各オブジェクトを順番に選択し、重力または他の力あるいはその両方の影響を受け始めるフレームを指定します。
ベイク処理/ベイク解除
ベイク処理は、mCloth オブジェクトのシミュレーションされた動きをレンダリング用の標準アニメーション キーフレームに変換することができます。 ダイナミック mCloth オブジェクトにのみ適用されます。

選択した mCloth オブジェクトをベイクした後に[ベイク解除](Unbake)機能を使用することで、キーフレームを除去して布地を[ダイナミック](Dynamic)状態に復元できます。

速度を継承
オンの場合、スタック内の mCloth オブジェクトの下からアニメーションを使用すると、mCloth オブジェクトがシミュレーション内で起動します。
ライブでドラッグ
アニメーションなしでシミュレートし、布地をドラッグしてポーズを作成したり動作をテストすることができます。

[フォース](Forces)ロールアウト

[フォース](Forces)ロールアウトを使用して重力を制御し、フォース スペース ワープを mCloth オブジェクトに適用します。

グローバル重力を使用
オンの場合、mCloth オブジェクトは MassFX の[グローバル重力](Global Gravity)設定を使用します。
シーン フォース適用
シミュレーションでこのオブジェクトに影響を及ぼす、シーン内のフォース スペース ワープをリストします。 [追加](Add)を使用して、スペース ワープをオブジェクトに適用します。 スペース ワープによるオブジェクトへの影響を防ぐには、このリストでそのスペース ワープをハイライト表示し、[除去](Remove)をクリックします。
追加
シーンのフォース スペース ワープをシミュレーション内のオブジェクトに適用します。 シーンにスペース ワープを追加した後、[追加](Add)をクリックしてからビューポートでそのスペース ワープをクリックします。
削除
適用したスペース ワープがオブジェクトに影響を及ぼさないようにします。 リストでスペース ワープをハイライト表示してから、[除去](Remove)をクリックします。

[キャプチャ状態](Capture States)ロールアウト

初期状態をキャプチャ

選択した mCloth オブジェクトのキャッシュの最初のフレームを更新して、現在の位置にします。

初期状態にリセット

選択した mCloth オブジェクトの状態をリセットして、mCloth がモディファイヤ スタック内にある前の状態にします。

ターゲット状態をキャプチャ

mCloth オブジェクトの現在の変形を取得し、そのメッシュを使って三角形間のターゲット ベンド角度を定義します。

注: エッジの長さではなく、ターゲットの状態メッシュから取得されたベンド角度だけが使用されます。
ヒント: 自然なしわを布地に追加する場合は、布地を床に落として[ターゲット状態をキャプチャ](Capture Target State)をクリックしてからシミュレーションをリセットして実行します。
ターゲットの状態をリセット

既定のベンド角度をスタック内の mCloth の下のメッシュにリセットします。

表示

布地の現在のターゲット状態、つまり必要なベンド角度を表示します。 オフにしてから続行します。

[生地の物理プロパティ](Physical Fabric Properties)ロールアウト

[プリセット](Presets): [ロード](Load)
[mCloth プリセット](mCloth Presets)ダイアログ ボックスを開いて、[生地の物理プロパティ](Physical Fabric Properties)設定を保存済みのファイルからロードします。

リストからプリセットを削除するには、グループ名をハイライトしてから[削除](Delete)ボタンをクリックします。

[プリセット](Presets): [保存](Save)
[生地の物理プロパティ](Physical Fabric Properties)設定をプリセット ファイルに保存する小さなダイアログ ボックスを開きます。 プリセット名を入力し、 を押すか、[OK]をクリックします。
重力スケール
[グローバル重力を使用](Use Global Gravity)がオンの場合は、重力の乗数。 これを使用して、湿った布地や重い布地などの効果をシミュレーションします。
密度(D)
布地の重さ(単位はグラム毎平方センチメートル)。

このパラメータは、主に、布が別のダイナミック リジッド ボディと衝突したときに効果を発揮します。 その質量と衝突するボディの質量との比率によって、他のボディの動きへ効果が及ぶ範囲が決まります。

伸縮性
布地の伸縮のしやすさ。
柔軟性
布地の折り曲げやすさ。
オルト ベンドを使用
スプリングの代わりにベンド角度を計算します。 場合によってはこの方法のほうが正確ですが、シミュレーションの時間が長くなります。
ダンピング
布地の張り。跳ね上がったり振り動いた後に静止するまでにかかる時間に影響します。
摩擦
布地がそれ自体や他のオブジェクトと衝突したときの滑りに抵抗する度合い。
[圧縮](Compression)領域
リミット
布地のエッジが縮むまたはつぶれる度合い。
固さ
布地のエッジが縮みまたはつぶれに抵抗する度合い。

[ボリューム プロパティ](Volume Properties)ロールアウト

既定では、mCloth オブジェクトが二次元の布のように動作します。 ただし、[バルーン動作](Balloon Behavior)オプションを使用すると、そのオブジェクトの内側に空気が含まれているような動作にできます。

バルーン動作を有効
タイヤやクッションなどの体積をシミュレートします。
圧力
膨張した布地オブジェクトの空気の体積、またはオブジェクトの固さ。

[対話](Interaction)ロールアウト

自己衝突
オンの場合、mCloth オブジェクトは自分自身の交差を防ごうとします。
自分自身の厚さ
自己衝突用の mCloth オブジェクトの厚さ。 布地が自己交差している場合は、この値を大きくしてみてください。
リジッド オブジェクトに衝突
オンの場合は、mCloth オブジェクトがシミュレーション内のリジッド ボディと衝突する可能性があります。
厚さ
シミュレーション中のリジッド ボディと衝突させるための mCloth オブジェクトの厚み。 他のボディがこの布地と交差する場合は、この値を大きくしてみてください。
リジッド オブジェクトをプッシュ
オンの場合は、mCloth オブジェクトが、衝突するリジッド ボディの動きに影響を及ぼす可能性があります。
プッシュ
mCloth オブジェクトが衝突するリジッド ボディを押す力の強さ。
コライダにアタッチ
オンの場合は、mCloth オブジェクトが衝突するオブジェクトに付着する傾向があります。
ヒント: リジッド ボディに付着する布地の場合は、MassFX はシミュレーションでリジッド ボディに少なくとも 1 つのサブステップを使用する必要があり、布地はその物理的な形状と直接触する必要があります。 最良の結果を得るには、次の提案に従ってください。
  • リジッド ボディの [サブステップ](Substeps)値を 0 より大きくします。 異なる値を試します。結果は後続の値によって大幅に異なる可能性があります。
  • リジッド ボディの物理形状のサイズを若干大きくします。 [物理的メッシュ パラメータ](Physical Mesh Parameters)ロールアウトの設定を使用します。
  • 布地の厚みに小さい値を使用します。 0.0 から始めて、少しずつ大きくしていきます。その間に、リジッド ボディの物理形状のサイズも、貫通せずに十分に付着するまで調整します。
影響
mCloth オブジェクトが接触するオブジェクトに及ぼす影響力。

これによって、定義よりも軽いかのような動作をオブジェクトにさせる可能性があります。

デタッチ対象
コライダから引き離される前に布地が伸びる量。
高速度の精度
オンの場合は、mCloth オブジェクトはより正確な衝突探知方法を使用します。 これにより、シミュレーションが遅くなる可能性があります。

[裂け目](Tearing)ロールアウト

これらのコントロールは、mCloth オブジェクトの裂け目に対するグローバル コントロールを提供します。 [グループ](Group)ロールアウトを使用して頂点サブオブジェクト レベルで裂け目を定義します。

裂け目を許可
オンの場合は、十分な力がかかった場合に、布地上で事前に定義された裂け目が引っ張られて裂けます。

この設定はアニメート可能であるため、アニメーションの特定のポイントのみでて裂け目を有効にできます。

裂け目対象
布地のエッジが裂ける前に伸びる量。
裂け目の前に連結
裂け目が発生する前に、事前に定義された裂け目を MassFX がどのように処理するかを選択します。
  • [頂点](Vertices)事前に定義された裂け目の頂点が分割されるまで結合し、トポロジを変更します。
  • 法線事前に定義された裂け目に沿って法線をエッジに合わせ、ブレンドします。 このオプションは元のトポロジを保持します。
  • 連結しない引き裂かれたエッジの連結またはブレンドは実行されません。

[視覚化](Visualize)ロールアウト

テンション
オンの場合、頂点にカラーを付けることにより、布地の圧縮と引張を表示します。 伸ばされた布地は赤で、縮んだ布地は青で、中間は緑で示します。

数値による設定を使用して、赤から青へと自在に変化させ、テンション/圧縮の範囲を変更できます。この値が高いほど、シェーディングは緩やかになります。

[拡張設定](Advanced)ロールアウト

アンチ ストレッチ
オンの場合は、小さなソルバ反復値での伸びすぎ防止に役立ちます。
リミット
オーバーストレッチが許容される範囲。
COM ダンピングを使用
ダンピングに影響しますが、固い布地については重心を使用します。
ハードウェア アクセラレーション
オンの場合、シミュレーションは GPU を使用します。
[ソルバ反復](Solver Iter)
1 サイクルあたりにソルバが実行する反復回数。 この値を大きくすると、布の安定性が向上します。
[階層ソルバ反復](Hier Sol Iter)
階層ソルバに対する反復の数。 mCloth では、「階層」は特定の頂点から隣接する頂点にかけられる力の伝達のことをいいます。 ここで使用する値を大きくすると、この伝達の精度が向上します。
[階層レベル](Hier Levels)
1 つの頂点から隣接する頂点へ力が伝達される速度。 この値を大きくすると、布地全体に拡散する力の速度が速まります。