このロールアウトの各種コントロールは、mental ray レンダラーがシーンを必要な形式に変換する際の動作に影響します。また、変換したシーンを MI ファイルに保存することもできます(保存した MI ファイルは、スタンドアロン レンダラーで使用できます)。変換の出力には、mental ray のバージョン 3 (mi3)形式が使用されます。mental ray バージョン 1 (mi1)はトランスレータでサポートされていません。
手順
mental ray レンダラー設定を保存するには:
- 保持したいレンダリング設定がある場合、[レンダリング設定](Render Setup)ダイアログ ボックスに移動し、下部の[プリセット](Preset)ドロップダウン リストを開きます。[プリセットを保存](Save Preset)(リストの一番下)を選択し、ファイル名を入力して[保存](Save)をクリックします。次に、[プリセット カテゴリを選択](Select Preset Categories)ダイアログ ボックスを使用してプリセットに保存するパラメータ カテゴリをハイライトし、[保存](Save)をクリックします。この後、[プリセット](Preset)ドロップダウン リストからこのカスタムセットアップを選択できるようになります。
複数のパスからレンダリングを作成するには:
- 特定のパスでレンダリングするオブジェクトを選択し、これらのオブジェクトのみをレンダリングするために[レンダリング範囲](Area To Render) [選択](Select)オプションを使用します。
- [トランスレータ オプション](Translator Options)ロールアウトの[マルチパスからレンダリング](Render Passes)領域で、[保存](Save)の横の省略記号 (参照)ボタンをクリックします。
- [名前を付けて保存](Save As)ダイアログ ボックスが表示されます。このダイアログ ボックスで PASS ファイルの名前と場所を入力します。
- [レンダリング](Render)をクリックします。
指定した PASS ファイルに部分レンダリングが保存されます。
- レンダリングのすべてのパス(または最後のパスを除くすべてのパス)を生成するまで、手順 1 ~ 4 を繰り返します。
警告: シーンに環境が含まれている場合、最終パスでのみレンダリングします。複数のパスで環境をレンダリングすると時間がかかり、バックグラウンドが望ましくない色に変更されてしまうなどのアーティファクトが生じる場合があります。既定値の黒のバックグラウンドを使用して、最後を除くすべてのパスをレンダリングします。
- [マルチパスからレンダリング](Render Passes)領域で、[追加](Add)ボタンをクリックしてリストにさまざまなパス ファイルを追加します。
- [合成](Merge)にチェックマークを付けます。
この段階で、レンダリング以外に最終的な結果を PASS ファイルとして保存する必要がなければ、[保存](Save)のチェックマークを消すことも可能です。
- [レンダリング](Render)をクリックします。
レンダリングではすべてのパスが 1 つのパスに合成されます。
ヒント: 一部の用途では、パスを作成してから新しい 3ds Max シーンをオブジェクトを使用せずに作成し、作成したパスに一致するようにレンダリング解像度を設定し、パスを前述の手順 7 ~ 8 で説明するように合成することができます。
インタフェース
[メモリ オプション](Memory Options)領域
- プレースホルダ オブジェクトを使用
- このチェック ボックスにチェックマークを付けると、3ds Max は、要求された場合にのみジオメトリを mental ray に送信します。最初は、mental ray シーンのデータベースは、3ds Max シーンのオブジェクトのサイズ(バウンディング ボックス)と位置のみを使用して作成されます。オブジェクトが含まれているバケットを mental ray でレンダリングする場合は、オブジェクトのジオメトリはレンダリング エンジンにのみ送信されます。既定値ではチェックマークが付いていません。
このオプションを使用すると、シーンの大量のジオメトリがレンダリングするビューの外部にある場合はレンダリング速度が速くなることがあります。
mental ray レンダラーがメモリで低い設定になっていれば、[プレースホルダ オブジェクトを使用](Use Placeholder Objects)により、シーンのデータベースからオブジェクト ジオメトリが削除されるため使用可能なメモリが増加します。これによって、メモリ使用率を大きく減らすことができますが、レンダリング速度が低下する可能性があります。
- mental ray マップ マネージャを使用
- オンの場合は、マテリアルおよびシェーダで使用されるマップ(通常はファイルベースのビットマップ イメージ)はディスクから読み出され、必要に応じて mental ray レンダラーが読み出せる形式に変換されます。チェックマークが付いていない場合、マップはメモリから直接アクセスされ、変換の必要はなくなります。既定値ではチェックマークが付いていません。
このオプションにチェックマークが付いている場合と付いていない場合の違いは次のとおりです。
チェックマークが付いている場合:
- mental ray はテクスチャを直接ディスクから読み取ります(メモリが少ない場合、mental ray はテクスチャをメモリからフラッシュ アウトすることができます)。また、テクスチャは必要な場合のみロードされます。
- mental ray は、組み込みのピラミッド フィルタリング システムを使用します。これらのピラミッド ルックアップ テーブルは、メモリが少ない場合、メモリからフラッシュ アウトできます。
- mental ray によって直接サポートされていないテクスチャ形式は、3ds Max によって読み込まれ、レンダリングが始まる前にバイナリ データとして mental ray に送信されます。
チェックマークが付いていない場合:
レンダリングのために大量のメモリを必要とする大きなシーンの場合、このオプションにチェックマークを付けておくと便利です。チェックマークが付いていない場合は、あらかじめメモリにロードされているテクスチャを mental ray が再ロードする必要がないので、処理が速くなります。
注: このオプションにチェックマークを付けても付けなくても、レンダリングしたイメージにほとんど違いが現れないこともあります。これは、mental ray マップ マネージャと 3ds Max マップ マネージャでは異なるアルゴリズムが使用されているからです。
次のアクションを実行する場合は、[mental ray マップ マネージャを使用](Use mental ray Map Manager)にチェックマークを付けておく必要があります。
- メモリ節約
- メモリをできるだけ効率的に使用するようトランスレータに指示します。変換プロセスの速度は遅くなりますが、mental ray レンダラーに送信されるデータ量は減ります。既定値ではチェックマークが付いていません。
このオプションが役に立つのは、莫大なシーンのレンダリングを試み、時間があまり問題にならない場合です。Ml ファイルにレンダリングする場合、このオプションにより出力ファイルのサイズも減らすことができます。
このチェックボックスにチェック マークが付いている場合、mental ray レンダラーに、フレームを一時的な .map ファイルとして保存するようにも指示します。これによって、非常に大きいフレームをレンダリングしてもランダム アクセス メモリが不足することがなくなります。
この一時マップ ファイルの場所は、次の順序で選択されます。
- ファイル ¥[プログラム フォルダ]¥mentalimages¥rayrc に _MI_REG_FBDIR という名前のレジストリが含まれていれば、レンダラーはこのディレクトリを使用します。
エントリは次のような形式になります。
registry "{_MI_REG_FBDIR}" value "<path>" end registry
ここで、<path> は使用するディレクトリです。
- rayrc ファイルにレジストリ エントリがない場合、レンダラーは TMPDIR 環境変数によって指定されたディレクトリを使用します。
- TMPDIR 環境変数がない場合、レンダラーは TEMP 環境変数によって指定されたディレクトリを使用します。
[ジオメトリをキャッシュ](Geometry Caching)領域
ジオメトリ キャッシュを使用すると、変換されたシーンの内容を一時ファイルに保存して、その後のレンダリングで再利用することができます。変換処理を省略できるため、ジオメトリを多用しているシーンでは特に時間の節約になります。キャッシュには、標準とロックの 2 つのレベルがあります。
- 使用可能
- チェック マークを付けると、レンダリング時にジオメトリ キャッシュが使用されます。まずは初回のレンダリングで、変換されたジオメトリがキャッシュ ファイルに保存されます。以降は同じシーンをレンダリングすると、変更されなかったオブジェクトは再変換されず、キャッシュに保存されているジオメトリが使用されます。変更のあったジオメトリはすべて再変換されます。既定値ではチェックマークが付いていません。
このコントロールは、レンダリング フレーム ウィンドウの下部パネルにある[再利用](Reuse) [ジオメトリ](Geometry) と同じです。
- ジオメトリ変換をロック
- このコントロールをオンにすると、サブオブジェクトレベルの変更(頂点の編集や、[ベンド](Bend)などのモディファイヤの調整)は無視され、再変換されません。ただし、オブジェクトレベルの変更(オブジェクトの移動や回転など)は再変換されます。
このコントロールは、レンダリング フレーム ウィンドウの下部パネルにある[再利用](Reuse) [ジオメトリ変換をロック](Lock Geometry Translation)( ボタン)と同じです。
- ジオメトリ キャッシュをクリア
-
キャッシュされたジオメトリを削除します。
このコントロールは、レンダリング フレーム ウィンドウの下部パネルにある[再利用](Reuse) [ジオメトリ キャッシュをクリア](Clear Geometry Cache)と同じです。
[マテリアル上書き](Material Override)領域
[マテリアル上書き](Material Override)により、すべてのマテリアルを単一のマスター マテリアルに置換したシーンをレンダリングできます。たとえば、ワイヤフレーム パスを行う必要がある場合、ワイヤ マテリアルを作成し、それをここに指定します。レンダリングする場合、すべてのサーフェスがワイヤ マテリアルを使用します。
- 有効
- このチェック ボックスにチェックマークが付いていると、レンダリングですべてのサーフェスにオーバーライド マテリアルが使用されます。チェックマークを消すと、サーフェスはシーン内でサーフェスに適用されたマテリアルを使用してレンダリングされます。既定値ではチェックマークが付いていません。
- マテリアル
- クリックして[マテリアル/マップ ブラウザ](Material/Map Browser)を表示し、オーバーライドに使用するマテリアルを選択します。上書きするマテリアルを選択すると、このボタンにマテリアル名が表示されます。
[マルチパスからレンダリング](Render Passes)領域
このグループのコントロールを使用して、複数のパスから、シーンを部分的にレンダリングするレンダリングを作成します。これは大きなシーン、または複雑な効果が使用されているシーンをレンダリングする場合に有効な方法です。また合成(マージ)レンダリングで作業を分割すための方法として使用することもできます。詳細は前述の「手順」の項を参照してください。
- 保存
- このチェック ボックスにチェックマークを付けた場合、指定された PASS ファイル内部でレンダリング中の(合成前の)イメージを保存します。
- 参照クリックしてファイル選択ダイアログ ボックスを表示し、PASS ファイルの名前と保存先のフォルダを指定することができます。
- ファイル名 PASS ファイルを指定した後、名前フィールドにファイルの名前とパスが表示されます。
タイム セグメント(すなわちアニメーション)をレンダリングする場合、メイン ファイル名に付加された連番を使用して PASS ファイルが作成されます(たとえば、test0000.pass、test0001.pass など)。
- 合成
- このチェック ボックスにチェックマークを付けると、リストに指定された PASS ファイルが最終レンダリングに合成されます。
- シェーダを合成
- PASS ファイルの合成に使用されるシェーダを選択できます。シェーダ ボタンをクリックすると、[マテリアル/マップ ブラウザ](Material/Map Browser)が表示され、シェーダを選択できます(シェーダを選択すると、その名前がボタン上に表示れさる)。切り替えをオンにすると、シェーダは合成に使用されます。
重要: 3ds Max には合成シェーダは用意されていません。このオプションは特定の合成プロジェクトに適したカスタム合成シェーダを作成する予定のユーザに対してのみ提供されています。
[マッピング](Mapping)領域
- マップとテクスチャをスキップ
- このチェック ボックスにチェックマークが付いている場合、レンダリングでは、投影マップを含むマップとテクスチャが無視され、拡散反射光や鏡面反射光などのサーフェス カラーのみが使用されます。既定値ではチェックマークが付いていません。
グローバル イルミネーションの調整時は、マップをオフにすると便利で時間を節約できます。