フィジカル マテリアル パラメータ

フィジカル マテリアルには標準パラメータと拡張パラメータがあり、非物理的な調整を避けるためのベスト プラクティスを可能にしますが、そのような調整をできなくするわけではありません。

フィジカル マテリアルのユーザ インタフェースのモードには、標準と詳細の 2 つがあります。詳細モードは標準モードのスーパーセットで、非表示のパラメータが含まれます。フィジカル マテリアルには標準パラメータと拡張パラメータがあり、非物理的な調整を避けるためのベスト プラクティスを可能にしますが、そのような調整をできなくするわけではありません。大半の場合、標準モードのパラメータは物理的に正確な大半のマテリアルを作成するのに十分です。

拡張パラメータには、

マテリアルには動作の大半部分に作用する 2、3 のパラメータがあり、その 1 つは[メタル](Metalness)です。

[メタル](Metalness)は、基本的なシェーディング モデル 2 つを補間します。

さらに、基本マテリアルはオプションのコーティング層です。

ベース カラーと反射

[ベース カラーと反射](Base Color and Reflection)は、サーフェスからの反射であると同時に拡散反射でもあり、これらはマテリアル内部のカラー付きパーティクル最上位層での反射です。

反射

ベースカラー/拡散反射光

反射は、サーフェスに対するビューの角度で変わる角度機能の作用によって生じます。この角度機能は、通常、IOR パラメータに基づくフレネル関数ですが、手動で作成されるカスタムのカーブ(拡張パラメータ モード)の場合もあります。 以下では「角度機能」 として記述されます。
  • [メタル](Metalness)が 0.0 の場合、ベース ウェイトとカラーによりマテリアルの拡散反射が定義されます。反射ウェイトとカラーをともなう(拡張パラメータ モードのみで表示)反射レイヤに、角度機能で乗算されるウェイトがともないます。
  • [メタル](Metalness)が 1.0 の場合、ベース ウェイトとカラーによりメタル反射の反射率が定義されます。角度機能は、そのカラー(手前向きの反射)と反射カラー(エッジでの反射)との間を補間します。
    注: 金属は常に反射をともない、反射ウェイトは無視されます。

反射の粗さは反射をともなう粗さパラメータにより定義されます。0.0 の場合は完全にスムーズで鏡面のようなサーフェスになり、1.0 の場合は非常に粗く拡散の外観をともなうサーフェスになります。設定を反転して、0.0 を非常に粗く、1.0 を鏡面のようにスムーズにすることもできます。これにより、逆の設定をともなう既存の従来からの輝度マップや光沢マップを容易に再利用できるようにします。

[メタル](Metalness)が 0.0 の場合、カラー付き基本レイヤが表示され、通常、上部が白い反射になります。粗さが増すと反射強度の認知程度が弱まることに注意してください。これは光エネルギーが広範に分散するためです。

[メタル](Metalness)=0.0、および[粗さ](Roughness)=0.0、0.3、0.6

[メタル](Metalness)が 1.0 の場合、基本レイヤは表示されず、カラー付き反射のみが表示されます。反射カラーはベース カラーとベース ウェイトによるものです。ただし反射カラー(通常は白)によるエッジを除きます。

[メタル](Metalness)=1.0、および[粗さ](Roughness)=0.0、0.3、0.6

IOR パラメータ(屈折指数)は、マテリアルのフレネル反射率を定義し、既定で使用される角度機能になります。または、拡張パラメータで手動で定義するカーブを使用します。実質的に、IOR は手前向きのサーフェスの反射とサーフェス エッジ上の反射とのバランスを定義します。ティーポットのふたの反射強度は変わらない一方、ティーポット前側の反射強度は大幅に変わるのがわかります。

[IOR]=1.2、1.5、2.0

ハッチング透過性

透明度は、オブジェクトの表示に使われる不透明またはシースルーの程度を設定します。光はサーフェスによって屈折しカラーが与えられるか、または潜在的にマテリアルに吸収されます。

ハッチング透過性

[粗さ](Roughness)は透明度の明瞭さを定義します。0.0 では透き通った窓ガラスのように表示され、値が高くなると曇りガラスのように表示されます。既定では、透明度の粗さの値は反射率の粗さの値と同じにロックされます。ロック アイコンを選択解除して、値のリンクを解除できます。

[粗さ](Roughness)=0.0、0.3、0.6

[深度](Depth)パラメータにより、マテリアルへの吸収が可能になります。[深度](Depth)が 0.0 の場合、従来のコンピュータ グラフィックスの透明度モデルが使用され、光はサーフェスでカラー付きになり、媒体内部への進行に影響されません。このため、オブジェクトの厚みは影響しません。

[深度](Depth)=0.0

ただし[深度](Depth)が 0.0 以外の場合、光は媒体への吸収に影響され、これにより指定の深度で特定のカラーが与えられます。

[深度](Depth)=0.1cm、1.0cm、5.0cm

透明度は薄い壁でもかまいません。これは、モデルの面がソリッドの境界サーフェスを表さず、薄いシェルとみなされる場合に便利です。このモードでは、深度の影響はなく、光はマテリアルを通過しても屈折しません。
注: 光は粗さに基づいて分散します。

薄い壁の透明度

[薄い壁](Thin-walled)パラメータでは、オブジェクトがソリッドでなくマテリアルの薄いシェルで作られているように表示されます。これは、窓を 1 つの面でモデリングする場合に使用できます。

[薄い壁](Thin-walled)=オン

サブサーフェス スキャッタリングとトランスルーセント

このパラメータは、オブジェク内部の光のスキャッタリングをモデル化します。オブジェクトがシースルーになる透明度とは異なり、サブサーフェス スキャッタリングは光をマテリアル内で移動することであり、どのような方法でもマテリアルを透かして見ることはできません。光は周囲に跳ね返り、さまざまな波長が異なる方法で吸収され、光はカラーをともないながらマテリアル内をさらに進みます。

サブサーフェス スキャタリング

[サブサーフェス スキャッタリング(SSS)](Sub-Surface Scattering)パラメータは、拡散反射光シェーディングとエネルギーを共有するので、その重みを増すと通常の拡散反射光シェーディングからSSSをともなうシェーディングに消えます。SSS カラーはサーフェスのカラーで、基本的に SSS 効果全体をカラー化します。

SSS の[ウェイト](Weight)=0.0、0.5、1.0

[深度](Depth)パラメータは、光がオブジェクトを貫通する深さの程度を定義します。スケールは深度への純粋な線形スケールで、テクスチャ マッピングが可能です。オブジェクト全体でスケールを変更できます。[深度](Depth)が 0.0 の場合、シェーディングは純粋な拡散反射光シェーディングと実質的に同じです。深度を大きくすると、より多くの光がオブジェクトを貫通します。

SSS の[深度](SSS Depth)=0.0、0.1、1.0

スキャッタ カラー パラメータは、光が媒体の中を進むときティントする程度を定義します。技術的には、スケールで乗算される深度は媒体中のスキャッタリングの平均フリー パスで、スキャッタ カラーは赤、緑、および青のパスに対する追加のスケール係数です。

スキャッタ カラーをともなう白いサーフェス=青、緑、赤

一般に、赤い光は緑よりスキャッタが多く、緑は青よりスキャッタが多くなります。このため、既定のスキャッタ カラー 1.0、0.5、0.25 が合理的な開始点となります。

薄い壁モードが有効な場合、従来のトランスルーセントになります。これは、SSS がボリューム効果であり、薄い壁モードにはボリュームがないためです。

薄い壁トランスルーセント

この効果の表示は薄い紙に似ており、光によっては背面に通過します。次の例では、シーン内に正方形を配置して光の方向を修正することでこの効果が示されています。

[トランスルーセント](Translucency)=0.0、0.25、1.0

注: [トランスルーセント](Translucency)=1.0 はすべての光が反対側から入り正面側からの光がないことを意味するので、物理的に現実的な設定ではありません。一般に、トランスルーセント モードで使用する場合、重みは 0.5 を超えないようにする必要があります。

放出

フィジカル マテリアルは、放出コンポーネント、他のシェーディング上の追加光をサポートします。放出の識別は、明るさによって乗算されたウェイトやカラーによって定義され、ケルビン色温度によってティントされます(6500=白)。

[輝度](Luminance)=1500、5000、50000

ケルビン色温度=3000、6500、10000

異方性反射

異方性反射は、特定の木目の方向によって異なるサーフェスの粗さの視覚的な効果がさまざまな方向で得られる、ブラシ メタルなどのマテリアルに見られる効果です。ハイライトと反射が、特定の方向に「ストレッチ」されて表示されます。

異方性反射パラメータは、効果がどの程度「ストレッチ」されるかを定義します。原則として、このパラメータは水平および垂直方向の粗さの値の比率です。つまり値が 1.0 の場合、ストレッチはありません。

[異方性反射](Anisotropy)=1.0、0.5、0.1

異方性反射の効果は、[回転](Rotation)パラメータを使用して回転でき、0.0 から 1.0 への回転は 360 度の回転になります。

[回転](Rotation)=0.0、0.12、0.25

高度な反射率

[高度な反射率](Advanced Reflectance)パラメータは、既定で IOR モードです。角度依存の反射率をマテリアルの屈折指数に基づいてフレネル方程式から得ます。これは、最も物理的に正確な方法です。一方、カスタム カーブ モードも使用できます。この場合、パラメータ 3 つを使用して角度依存を手動でスカルプトできます。
  • 表 - 手前向きの面の反射率
  • エッジ - エッジのグレージング ビュー角度からの反射率
  • スロープ - 2 つのエンド ポイント間のカーブのシェイプ

コーティング

フィジカル マテリアルには、マテリアルをコーティングする機能があります。その他すべてのシェーディング効果の上に、クリアコートの層として機能します。コーティングは常に反射をともない(所定の粗さで)、誘電体であることを前提とします。反射率は、所定のコーティング IOR によるフレネル方程式に基づき、反射は常に白になります。

[コーティング ウェイト](Coating Weight)=0.0、0.5、1.0

コーティング レイヤには異なる粗さ値が含まれる場合があります。

[コーティングの粗さ](Coating Roughness)=0.0、0.25、0.5

現実世界では、マテリアルがコーティングされるとコーティングの内側に一定量の内部反射があります。これは、光が外に出る前にサーフェス上で複数回跳ね返る要因になり、マテリアルのカラーに強調効果が与えられます。この 1 つの例は、ニス塗り木材です。この効果は、[下位に影響を与えるカラー](Affect Underlying Color)パラメータを使用して得ることができます。

[下位に影響を与えるカラー](Affect Underlying Color)=0.0、0.5、1.0

コーティング自体がカラーを含むことができます。これは、コーティング レイヤの透明度のカラーです。次の例では、ダイヤモンド型のマップがコーティング ウェイトに適用されており、異なるコーティング カラーが使用されています。

[コーティング カラー](Coating Color)=白、緑、赤

左の例ではコーティングが[下位に影響を与えるカラー](Affect Underlying Color)により暗くなる効果のみで変化しており、一方右の例はコーティング カラー自体を通して表示されているのでさらに影響を受けます。これは、ペイントまたはラッカーの半透明レイヤでオブジェクトをペイントする操作に似ています。

コーティングにも[下位に影響を与える粗さ](Affect Underlying Roughness)パラメータがあります。これは、コーティングの粗さが基底レイヤの粗さに作用する原因となり、最上位のレイヤを通して表示されるぼかし効果をシミュレートします。

次の例では、赤くティントされたコーティングをベース カラー上で使用しており、[メタル](Metalness)を 1.0 に設定しています。

[影響粗さ](Affect Roughness)=0.0、0.5、1.0

左側の例では赤いコーティングで覆われた金属は影響されず、右側の例はぼかしの外観が生じます。

[コーティング](Coating)パラメータには、別個のバンプ マップがあります。これにより、コーティング レイヤを使用して印象深い効果を生成できます。たとえばジャムが付着した真鍮ティーポットなどです。