CATRig のすべてのボーンには、操作方法とモーションの継承方法を定義する一連のコントロールがあります。これらのコントロールは、[階層](Hierarchy)パネルにあります。
[階層](Hierarchy)パネルの設定を使用すると、アニメートするときにより安全で安定した動作のリグを設定できます。アニメータがリグにとって望ましくない状態にボーンを移動したり、編集したりすることがないよう、設定を変更することもできます。これらの設定がボーンの操作方法に与える影響についていくつかの例を確認するために、プリセットの CATRig のいくつかのボーンの設定を検証してみましょう。
CAT を使用して、レイヤに依存しない結合制限を設定できます。 CAT の制限システムを利用するメリットは、あらゆる種類のコントローラを制限できることです。たとえば、コンストレイントを制限できます。 コンストレイントの設定コントローラにあるキャラクタの目のコントローラにルックアット コンストレイントを割り当てると、モーションが制限され、目が回転しすぎることがありません。また、TCB 回転コントローラや、標準の制限システムによって制限できないあらゆる種類のコントローラを制限できます。
例: [階層](Hierarchy)パネルの設定を使用するには:
この例では、3 つのエクストラ ボーンのシンプルな階層を使用しています(以下の図を参照)。
予想どおり、ボーンは階層メンバーを変換する標準規則に従って移動します。
この状態でボーンを移動しようとしても、位置がロックされているために何も起こりません。
緑のボーンを移動すると、そのローカル位置は変わりませんが、その親ボーン(赤のボーン)が回転し、緑のボーン自体も子ボーン(青のボーン)の方向を向くように回転します。
これにより、緑のボーンを移動すると、赤のボーンが緑のボーンの位置に達するまでストレッチします。
緑のボーンを移動すると、赤と緑の両方のボーンが緑のボーンの位置に達するまでストレッチします。
通常、[変換を適用](Apply Transforms)をオンにする必要がある唯一のボーンはルート ハブ(骨盤)です。また、IK ターゲットでもオンにする必要があります。レイヤのアニメーションを変換する場合、階層の子ボーンはそれぞれの親の変換を継承するため、子ボーンを個別に変換する必要はありません。「レイヤ変換ギズモ」を参照してください。
[位置](Position)オンにすると、ボーンは設定モードでその親の位置を継承します。オフにすると、CATParent の位置を継承します。
[回転](Rotation)オンにすると、ボーンは設定モードでその親の回転を継承します。オフにすると、CATParent の回転を継承します。
位置を継承オンにすると、ボーンはアニメーション モードでその親の位置を継承します。オフにすると、CATParent の位置を継承します。
回転を継承オンにすると、ボーンはアニメーション モードの親からその回転を継承します。オフにすると、CATParent の回転を継承します。
スケールを継承オンにすると、ボーンはアニメーション モードでその親のスケールを継承します。オフにすると、CATParent のスケールを継承します。
オンにすると、このボーンは階層で隣にあるボーンに影響を与えます。
既定値では、CATBone は SetupTM と呼ばれる静的な変換値を使用します。この値は(アニメートできないため)、アニメーション エディタには表示されません。また、MAXScript からのみアクセスできます。
設定ポーズはアニメートできないため、既定値では設定アニメーション コントローラは利用できません。[アニメーション コントローラ](Animation Controller)オプションを選択すると、設定アニメーション コントローラが[LayerTrans] (レイヤ変換)トラックの子として表示され、トラック ビュー内で表示および編集できます。
設定モードが次のように設定された CATbone のトラック ビュー階層:
左: 静止マトリクス値
右: アニメーション コントローラ
アニメーション コントローラを設定モードにする理由は、設定モードでは[設定ポーズに加算](Additive to Setup Pose)機能を利用できるからです。独自の手続き型アニメーション コントローラ設定を設定コントローラに適用し、レイヤ システムをそのコントローラと関連付けることができます。
この機能を利用すると、キャラクタの腕や頭の継承をカスタマイズできます。コンストレイントを設定モード コントローラに割り当て、アニメートを開始するアニメーション コントローラのベース値を定義します。たとえば、両方の手のひらを下に向けつつ、ルックアット コンストレイントを設定回転トラックに適用して、空中の高い位置にあるオブジェクトをルックアット ターゲットとして、また胸部をアップノードとして割り当てます。その後、新しいオブジェクトを作成して胸部と骨盤をターゲットとする方向コンストレイントを適用し、このオブジェクトを使用してリムの設定方向を決定できます。こうすることで、単に胸部から回転を継承するのではなく、リムの動作を柔軟に制御できるようになります。
キャラクタの尾をスプラインまたは IK チェーンに制限して、尾のスプライン IK を使用できます。実際に、[アニメーション](Animation)メニュー [アニメーション - CAT](Animation - CAT)サブメニューにある[Max IK を適用](Apply Max IK)ユーティリティは、この操作と完全に同じではありません。このユーティリティの[レイヤを選択](Pick Layer)オプションを[設定コントローラを使用](Use Setup Controller)に設定すると、設定モードのレイヤによって CATBone チェーンが IK チェーンに制限されます。
顔のリグの設定では、自動的に瞬きを生成する、または眼球の動きによる回転をわずかに継承するスクリプトを作成することもできます。これにより手続き型モーションを作成できますが、CAT のレイヤ システムのメリットを活用すれば、この手続き型アニメーションに手付けアニメーションの効果を簡単に追加できます。
これらの手続き型コントローラを 1 つのレイヤにまとめ、その上に追加のレイヤを適用して仕上げに手付けのキーフレームの効果を加えてはどうでしょうか?
レイヤ システムはリグのプリセットと一緒には保存されないため、リグのプリセットを保存しようとすると作業が失われてしまいます。レイヤ システムは、キーフレーム コントローラを保持するよう設計されています。このため、複雑なコントローラ設定を作成する場合は、この設定を設定コントローラに保存することをお勧めします。これにより、特定のレイヤだけでなく、リグにも設定が組み込まれます。
レイヤはシーンに固有のものです。レイヤに修正を加えると、その修正はリグ設定全般ではなく、そのシーンのみに適用されます。リグに機能を追加する場合は、設定コントローラを使用します。
アニメート中に移動したくないボーンについては、このロックをオンにします。オンにすると、アニメータがボーンを移動しようとしても、ボーンは移動されません。この設定は、キャプチャ アニメーション ツールと、このボーン上にアニメーションがどのようにマッピングされるかにも影響します。
アニメーションでサイズ変更したくないボーンのスケールをロックすることをお勧めします。こうすることで、アニメータが誤ってボーンをスケールしても、CAT がストレッチを無視します。
ボーン ポーズ = 設定モード ポーズ + レイヤの値
また、[レイヤ設定を記憶](Remember Layer Settings)をリアクション コントローラとともに使用することはできません。リアクション コントローラは SDK 経由でアクセスできないため、CAT のアニメーション セーバおよびローダを使ってコントローラを保存、ロードすることはできません。 リアクション コントローラを設定する場合は、[設定モード](Setup Mode)領域の[アニメーション コントローラ](Animation Controller)オプションを使用します(上記を参照)。設定コントローラ上にリアクション コントローラを設定し、[レイヤ設定](Layer Settings)領域の[設定ポーズに加算](Additive To Setup Mode)オプションをオンにします(上記を参照)。RG3 ファイル形式は、リグを含むリアクション コントローラを保存およびロードできます。
最後に、制限コントローラを使用して制限を設定できます。値を手動で制限して[レイヤ設定を記憶](Remember Layer Settings)をクリックすると、ボーンがこれらの制限値を記憶し、新しい絶対レイヤを追加するたびにこれらの値を再適用します。
オンにすると、[X]/[Y]/[Z]設定を使用して、対応する軸にある選択されたボーンの位置オフセットの許容範囲を指定できます。ボーンにスーパーインポーズされたワイヤフレーム ボックスが位置の制限を描きます。
オンにすると、[X]/[Y]/[Z]設定を使用して、対応する軸にある選択されたボーンの回転オフセットの許容範囲を指定できます。回転ギズモにスーパーインポーズされたオレンジの線が回転の制限を描きます。