注: 旧式のレンダー レイヤを置き換える
新しいレンダリング設定システムが搭載され、これが Maya の
既定のシステムになりました。この新しいアプローチは、レンダリングの複雑なシーンの管理を簡略化するため、現在、推奨ワークフローとなっています。詳細については、「
Maya のレンダリングの設定」を参照してください。
以下のセクションでは、レンダー レイヤを処理するために必要な基本概念について説明します。
マスター レイヤとレイヤ メンバーシップ
マスター レイヤには、シーン内のすべてのオブジェクトおよびマテリアルが含まれます。シーン内には必ずマスター レイヤが存在し、これがレンダー レイヤ エディタ(Render Layer Editor)に表示されています。マスター レイヤは、レイヤが複数存在する場合のみレンダー レイヤ エディタ(Render Layer editor)で可視となります(この場合、既定ではレンダーできません)。
新しいレイヤを作成する場合、そのレイヤのみ、複数のレイヤ、またはすべてのレイヤの任意のオブジェクトまたはノード(ライトなど)メンバーを作成できます。特定のレイヤのオブジェクトのみが、そのレイヤに作用します。これには、ライト、反射、シャドウなどが含まれます。
シーンをレンダー レイヤに分割できるだけでなく、レイヤのオーバーライドを作成することによって、各レイヤまたはレイヤのオブジェクトの特性を変更できます(定義では、マスター レイヤの特性のオーバーライドは作成できません)。Maya は、レイヤとマスター レイヤ間の変更として、レイヤとアトリビュートの各オーバーライドを格納します。詳細については次のセクションを参照してください。
レイヤまたはレイヤのオブジェクトへの変更(オーバーライド)
アトリビュートに対して、レイヤ単位とオブジェクト単位の 2 つのタイプのオーバーライドがあります。
- レイヤ単位のオーバーライドは、レイヤ全体に作用するアトリビュート、特性、またはマテリアルの割り当てを変更します。これには、レイヤのレンダラ、レイヤのレンダリング イメージのイメージ サイズ、レイヤのすべてのオブジェクトがシャドウを投影するかまたは受像するか、あるいはレイヤ内のすべてのオブジェクトにマテリアルが割り当てられるかどうかが含まれます。
- オブジェクト単位のオーバーライドは、アトリビュートの値またはオーバーライドが存在する特定のレイヤでのオブジェクトのマテリアル割り当てを変更します。これには、レイヤのオブジェクトに対するマテリアル割り当て、オブジェクトに対するレンダリング詳細(Render Stats) (シャドウの投影または受像など)、オブジェクトのアトリビュート、またはオブジェクト単位のシェーダ(透明度など)を含めることができます。
オーバーライドを作成するには、自動および手動の 2 つの方法があります。
- 自動のオーバーライドでは、ユーザ側のアクションがなくても、アトリビュート値がマスター レイヤで指定したものとは異なる値に即座に変更されます。
- 手動のオーバーライドでは、マスター レイヤで指定した値と異なるアトリビュート値を Maya に明示的に通知する必要があります。
- レイヤ単位の自動オーバーライドには、シェーダ割り当て(レイヤ内の全オブジェクト対象)が含まれます。詳細については、「レイヤ オーバーライドによる作業」を参照してください。
- レイヤ単位の手動オーバーライドには、レイヤ単位のレンダー設定およびメンバー オーバーライド(レンダリング詳細(Render Stats))への変更が含まれます。「レイヤ オーバーライドによる作業」を参照してください。
- オブジェクト単位の自動オーバーライドには、オブジェクトへのマテリアル割り当てが含まれます。詳細については、「アトリビュート オーバーライドによる作業」を参照してください。
- オブジェクト単位の手動オーバーライドには、他のすべてのアトリビュート変更が含まれます。詳細については、「アトリビュート オーバーライドによる作業」を参照してください。
レイヤの表示と管理
レンダー レイヤは、シーン ビュー、ハイパーグラフ(Hypergraph)、ハイパーシェード(Hypershade)などに作用します。レイヤの切り替えは、ライト、ジオメトリ、またはノードが特定のレンダー レイヤに存在するかどうかによって、これらが可視/非可視になることを意味します(以前は、オブジェクトがレンダーに存在していなくても、必ずシーン ビューには表示されました)。
ディスプレイ レイヤとレンダー レイヤの表示は相互に反作用します。つまり、オブジェクトを含むディスプレイ レイヤの表示をオフにしている場合は、どのレンダー レイヤでもこれらのオブジェクトは表示されません。
- レイヤ単位の変更は次の3つの方法で行います。
- レイヤ全体に反映するオーバーライド
- レイヤのオブジェクトのレンダリング詳細またはマテリアル割り当てへの自動オーバーライド
- その他のすべてのアトリビュートへの手動オーバーライド
レンダー レイヤで実行できる操作: 概要
マスターレイヤ、レイヤ、およびオブジェクトのオーバーライド(自動または手動)、レンダー設定、およびプリセットの基本概念を理解したら、次の操作をレイヤ単位で実行できます。
- レンダラを選択し、共通(Common)タブとレンダラ固有のタブの両方でレンダー設定(Render Settings) (以前のレンダー グローバル(Render Globals))をオーバーライドします。
- レイヤのオーバーライドを作成します。レンダリングに作用する設定にオーバーライドを作成できます。たとえば、レイヤに対してシャドウの投影(Cast Shadows)をオフにして、屈折に現れる(Visible in Refractions)と反射に現れる(Visible in Reflections)をオンにします。
- マテリアル割り当てのオーバーライドを作成します。
- コンポーネント単位(特定のフェースに対して任意のレイヤの異なるマテリアルの割り当てなど)
- オブジェクト単位(特定のサーフェスに対して任意のレイヤの異なるマテリアルの割り当てなど)
- レンダー可能なアトリビュートのオーバーライドを作成します(たとえば、特定のレイヤのオブジェクトに異なる透明度の値を設定します)。
- レンダー レイヤ エディタ(Render Layer Editor)でレイヤのブレンド モードを直接割り当てて、レンダー ビュー(Render View)にレイヤ合成をプレビューします。
関連項目
個々のオブジェクト、レイヤのオブジェクト グループ、またはシーンのアトリビュート(パス)をレンダーしてから、合成システムを使用してこれらを統合できます。合成は、複数のイメージを 1 つに統合するプロセスです
(グローバル イルミネーション パスを個別にレンダーすることもできます)。
レイヤとパスでのレンダリングの利点
レイヤとパスでオブジェクトを個別にレンダーするとかなりの時間がかかり、十分な計画も必要ですが、次のような利点があります。
- 創造性を自由に発揮できる。
たとえば、レンダーでは、レイヤごとにさまざまなオプションを使用できます。合成では、カラーを補正したり、レンダー レイヤごとに特殊なエフェクトを追加したりすることができます。
- 予定外の変更要求にも柔軟に対応できる。
たとえば、シーン全体を再レンダリングしなくても、陶器の花瓶をガラスの花瓶に変更することができます。
- 厳しい制作スケジュールにも対応できる処理速度
たとえば、オブジェクトに変化の少ないシーンやバックグラウンドの全体ではなく、最も変更が多いフォアグラウンド レイヤをすばやくレンダーできます。大きなシーンの比較的小さな部分をレンダーする場合でも、メモリへの負荷を軽減できます。
合成のためのレンダリングに関する一般的なヒント
- 制作プロセスの初期段階でシーンを要素に分離します。
- レンダーしたイメージを合成する予定がある場合は、必ずシーンのバックグラウンド カラーを黒に設定してください。バックグラウンド カラーの変更については、「ライトとカメラ」の章を参照してください。
- また、合成ソフトウェアで必要なイメージのタイプについて理解しておいてください(プリマルチプライ イメージなど)。
プリマルチプライ イメージ
イメージを 3 つの基本のカラー チャネルだけでなくアルファ チャネルも使って格納すると、アルファ チャネルによってカラー チャネルをある割合に調整することができます。たとえば、カラー チャネルに透明度を考慮したアルファ チャネルの値を掛けておくような使い方ができます。
合成ソフトウェア(ゲーム エンジンのような)の中には、プリマルチプライ イメージを使用できるものがあります。その他の合成ソフトウェアでは、特にバックグラウンド カラーとオブジェクト カラーのデータを分離するときに、別々のイメージ情報とアルファ情報が必要です。既定では、Maya はプリマルチプライ イメージを扱えますが、この機能をオフにすることもできます。
プリマルチプリケーションをオンまたはオフにするには、「プリマルチプライ(Premultiply)」を参照してください。