Inventor での AutoCAD コマンドの概要

寸法記入、ジオメトリ、挿入、および表示の各コマンドについて説明します。

DWG ファイルを開く場合の注意

AutoCAD オブジェクトを Inventor オブジェクトに変換する必要がない場合、Inventor で任意の AutoCAD DWG ファイルを直接開いてかまいません。その後、ファイル コンテンツを表示、出力、測定することができます。オブジェクトは AutoCAD とまったく同じように表示されます。さらに、AutoCAD のすべてのデータをコピーと貼り付けの対象として選択することができます。Inventor で AutoCAD DWG ファイルを開いてから、AutoCAD の図形をコピーして Inventor のスケッチに貼り付けます。

寸法記入コマンド

AutoCAD コマンドの多くは Inventor のコマンドと同じです。Inventor には、AutoCAD にはないコマンドがあります。AutoCAD では、2D ジオメトリを必要な寸法で作成します。Inventor は、寸法によってジオメトリがパラメトリックに駆動されます。

Inventor の一部のコマンドには、AutoCAD の複数のコマンドを組み合わせた機能が用意されています。[一般寸法]コマンドでは、1 つまたは 2 つの要素を選択すると長さ寸法が作成され、円を選択すると直径寸法が作成され、円弧を選択すると半径寸法がされます。このコマンドは、単一用途 AutoCAD コマンドのいくつかに取って代わったものです。

次の表に、AutoCAD の寸法記入コマンドと、対応する Inventor 2D スケッチ環境の寸法記入コマンドを示します。

AutoCAD

Inventor

長さ寸法

一般寸法

平行寸法

一般寸法

半径寸法

一般寸法

直径寸法

一般寸法

角度寸法

一般寸法

寸法編集

 

寸法をダブルクリックします。

さらに一部の AutoCAD 寸法記入コマンドは、対応するコマンドが Inventor にあるものの、図面ファイル(IDW または DWG)で寸法記入するときにのみ使用できます。

AutoCAD

Inventor

並列寸法

並列寸法

直列寸法

一般寸法

累進寸法

累進寸法

クイック寸法

並列寸法セット

   

累進寸法セット

クイック引出線記入

引出線注記

公差寸法

幾何公差記号

中心マーク

中心マーク

注: AutoCAD の寸法は AutoCAD の寸法として読み込まれます。Inventor で AutoCAD の寸法を表示および印刷することができます。Inventor の[寸法記入]コマンドを使用して AutoCAD オブジェクトを計測できます。ただし、Inventor では AutoCAD の寸法は関連付けされていません。Inventor で AutoCAD の寸法に対して行われた変更は、AutoCAD の対応するファイルには反映されません。

ジオメトリ作成コマンド

AutoCAD では通常、正確なサイズで 2D ジオメトリを作成します。Inventor でパーツ フィーチャ用のスケッチを作成する際は多くの場合、[2D スケッチ]コマンドを使用して、ジオメトリ(サイズに関係なく)をすばやく作成できます。その後、寸法拘束とスケッチ拘束を追加して、正確なサイズと位置をコントロールします。

次の表では、AutoCAD の作図コマンドと、対応する Inventor のスケッチ コマンドを比較します。

AutoCAD

Inventor

線分

線分

ポリライン

線分

ポリゴン

ポリゴン

長方形

2 点長方形

円弧

3 点円弧

中心点円

スプライン

スプライン

楕円

楕円

点、中心点

次の AutoCAD 作図コマンドに対応する Inventor コマンドは、図面ファイル(IDW または DWG)で 2D スケッチを作図しているときにのみ使用できます。

AutoCAD

Inventor

ハッチング

スケッチ領域を色で塗り潰しまたはハッチング

テキスト

テキスト

ジオメトリ編集コマンド

Inventor では、2D 編集コマンドを使用して 2D スケッチを編集し、その 3D パーツを更新します。3D パーツを修正するための 3D 編集コマンドもいくつか用意されています。

次の表では、AutoCAD の編集コマンドと、それに相当する Inventor の 2D 編集コマンドを比較します。

AutoCAD

Inventor

削除

 

[Delete]キー

コピー

 

[Ctrl]+[C]

ミラー

ミラー

オフセット

オフセット

配列複写

円形状パターン

   

[矩形状パターン]

[移動]

[移動]

オービット

オービット

トリム

トリム

延長

延長

面取り

面取り

フィレット

フィレット

スプラインを編集する

 

フィット点を選択してドラッグ

注: Inventor の[移動]コマンドと[回転]コマンドを使用し、同時にコピーできます。

次の AutoCAD 編集コマンドに対応する Inventor コマンドは、図面ファイル(IDW)で 2D スケッチを修正するときにのみ使用できます。

AutoCAD

Inventor

ハッチング編集

 

右クリックして[ハッチングを修正]を選択

文字を編集

 

右クリックして[文字を編集]を選択

挿入コマンド

次の表に、AutoCAD の挿入コマンドと Inventor の挿入コマンドの対応関係を示します。

AutoCAD

Inventor

[イメージをアタッチ]

リボン: [スケッチ]タブ [挿入]パネル [イメージ]

[インポート]

リボン: [管理]タブ [挿入]パネル [インポート] (.iges および .sat)

OLE オブジェクト

リボン: [管理]タブ [挿入]パネル [オブジェクトを挿入]

表示コマンド

AutoCAD のリアルタイム ズームでのマウスのスクロール方向は、既定では Inventor と逆になっています。

AutoCAD でリアルタイム ズームを使用しているときに、マウスのスクロール方向を逆にして Inventor と同じ方向にするには、システム変数 Zoomwheel の値を 1 に設定します(既定値: 0)。

次の表では、AutoCAD の表示コマンドと、対応する Inventor の表示コマンドを比較します。

AutoCAD

Inventor

[リアルタイム画面移動]

画面移動

[リアルタイム ズーム]

ズーム

窓ズーム

窓ズーム

[全画面表示]

[全画面表示]

ズーム前画面

 

[F5]

[自由オービット]

[自由オービット]

[連続回転]

[Shift]+[自由オービット]