Physique について

Physique モディファイヤをメッシュに適用すると、人間の皮膚の下にある骨や筋肉のようにシームレスにメッシュを動かせるようになります。

Physique は、ジオメトリ プリミティブ、編集可能なメッシュ、パッチ ベースのオブジェクト、NURBS、FFD スペース ラップを含むすべてのポイント ベースのオブジェクトに対応します。NURBS と FFD に関しては、Physique は制御ポイントを変形し、モデルを変形します。Biped、3ds Max ボーン、スプラインなど、あらゆる 3ds Max 階層を含む、さまざまなスケルトンの構造にアタッチすることができます。Physique をスキン オブジェクトに適用してスケルトンにアタッチする場合、Physique は、スケルトンの各コンポーネントがスキンの各頂点へ及ぼす影響を指定した設定に基づいて判別します。

Physique は、ユーザが[Physique]ロールアウトにある[ノードへのアタッチ](Attach To Node)をクリックし、ビューポートでルート ノードを選択した後、メッシュに影響を及ぼします。アタッチの処理中、Physique は選択したオブジェクトで始まる階層内のすべての子に対して動作し、検索したリンクごとにエンベロープが関連付けられた独自のリンクを作成します。このドキュメントでは、Physique によって作成されたリンクを Physiqueの変形スプラインと呼びます。エンベロープにある頂点は、リンクに従いメッシュをアニメートするように影響を受けます。[フローティング ボーン](Floating Bones)ロールアウトの[追加](Add)ボタンで、スプラインと 3ds Max ボーンを追加することもできます。

Biped と Physique

Biped を Physique にアタッチすると、骨盤から、脚、つま先と下がり、そして脊椎を通って上がり、襟のところで分岐して、腕、手、指へ、そして首から頭へとトレースします。リンク、および関連するエンベロープが、検索された各リンクに対して作成されます。3ds Max のボーンをはじめ、その他のオブジェクトが Biped にリンクしている場合でも、Physique で同様の処理をうことでリンクとエンベロープが作成されます。

キャラクタにさらにリムがある場合、[ノードへのアタッチ](Attach To Node)を使用してリンクとエンベロープを作成する前に、3ds Max ボーンを追加の腕用の Biped に必ずリンクします。[ノードへのアタッチ](Attach To Node)を使用すると、Biped にあるすべてのリンクとリンクするボーンに対してリンクとエンベロープが作成されます。剣などの変形しないオブジェクトは、[ノードへのアタッチ](Attach To Node)を使用した後でリンクします。そうすると、剣に対するリンクとエンベロープは作成されません。

エンベロープと重み付けされた頂点

Physique モディファイヤでは、スキンの変形を制御する主要ツールとしてエンベロープを使用します。エンベロープを調整した後、腱とバルジの角度をすると、メッシュの変形を微調整することもできます。すべてのエンベロープには、内部境界と外部境界があります。単一リンクの内部境界内にある頂点は、リンクから 1.0 の重みを受け取ります。外部境界の外にある頂点は、リンクから重みを受け取りません。内部境界と外部境界の間にある頂点は、0 から 1 の重みを受け取ります。

頂点は、それに影響を及ぼすリンクとともに移動します。複数のエンベロープが頂点を囲む場所には、頂点は各エンベロープから重みを受け取り、重みに基づいて平均化された場所へのリンクにそれぞれ従います。このように、複数のリンクから重みを受け取ることを「ブレンド」と呼びます。重みが割り当てられた頂点の合計の重みが 1.0 に満たない場合やそれ以上になる場合があります。それらの頂点も無視されることなく、既定値の Physique では、それらの値を 1.0 に平均化します。

フォールオフ、オーバーラップ、スケール、その他のエンベロープのパラメータを調整すると、リンクからの頂点に対する重みの割り当てが変わります。つまり、重みの変化によって Biped が動く際のスキンの動きが変わります。通常はエンベロープを調整することによって、キャラクタのスキンの変形を修正します。

変形可能なエンベロープとリジッドなエンベロープ

リンクごとに、変形可能エンベロープとリジッドなエンベロープがあります。変形可能なエンベロープは、階層内の関節を通る Physique の変形スプラインに従い、バルジ角度、腱、リンクパラメータを使用して変形できます。リジッドなエンベロープは、直線的な 3ds Max リンクに基づいて頂点リンクの割り当てを識別し、リンクに対して固定された関係で移動します。ただし、リジッドなエンベロープ内の頂点も、他のエンベロープとのオーバーラップ領域内では変形(ブレンド)されます。

一般的には、変形可能なエンベロープが使用されますが、ゲーム エンジンの制約があるゲーム開発では、リジッドなエンベロープのみを使用する場合もあります。リジッドなエンベロープ、変形可能なエンベロープ共に同じリンクに対してオンの状態にできます。たとえば、両方のエンベロープをスケールして、肩をリジッドなエンベロープで、腋を変形可能なエンベロープで変形できます。

頂点が影響を受けるリンクの数

頂点は、任意の数のオーバーラップするエンベロープ([N 個のリンク](N Links)機能)の影響を受けます。通常は、[N 個のリンク](N Links)機能を使用してください。ゲームに対する要件のような特別な目的には、頂点に影響するリンクの数(エンベロープの数)を制限できます。[ブレンドなし](No Blending)パラメータは、Physique のバージョン 1 で使用されていた方法と類似しています。1 つの頂点は 1 つのリンクにのみ割り当てられます。

Physique ワークフロー

Physique を使用する前に、フィギュア モードで Biped のキャラクタとメッシュの位置合わせを行います。腕を伸ばしてポーズ全体を表示し、手を胴体から離すようにします。フィギュア ファイルを保存しておくと、必要な時にこのポーズに簡単に戻ることができます。メッシュを選択し、[修正](Modify)パネルで[Pysique]を選択します。[ノードへのアタッチ](Attach to Node)をオンにして、階層(Biped の骨盤、ボーンの階層にあるルート ノードであり、重心ではない)でルート ノードを選択します。[Physique 初期値](Physique Initialization)ダイアログ ボックスで[初期化](Initialization)をクリックすると、階層内のリンクに基づき既定値のエンベロープを作成できます。その後に、エンベロープの調整や、オプションでバルジ角度と腱を追加する作業があります。

フィギュア モードがオフになっている場合、エンベロープのサイズ、オーバーラップ、その他のパラメータは、アニメートされた位置のキャラクタとともに調整されます。タイム スライダを動かして、問題のある領域を特定し、この領域に影響を及ぼしているエンベロープを調整することができます。[その場歩き](In Place)モードでは、エンベロープの調整中にキャラクタをその場に維持することができます。

最後の仕上げには、リンク パラメータ、バルジ角度、腱を調整します。リンク パラメータを使用すると、キャラクタが動くときのスキンのスライド、ツイストの量、折り目ブレンドを制御できます。バルジ角度を使用すると、リンクと階層内のそのリンクの子が形成する角度を基準として、二頭筋、脚、および胸などの領域を膨張できます。腱は、階層内の複数のリンクを結合し、キャラクタのスキンを伸縮させることができます。