評価マネージャのパフォーマンスを高める

評価マネージャ(EM)はシーンの評価方法を決定し、利用可能な CPU および GPU 計算リソースの間で作業を分割してパフォーマンス速度を向上させます。これはバックグラウンドで動作し、既存のダーティ伝搬メカニズムを使用してシーンの直接グラフ(DG)表現をフォワード評価グラフ(FG)に変換します。FG が構築されると、伝搬が無効になり評価スケジュール(ES)が構築されます。ES はシーン ノードを正しい順序で評価し、「クラシック」な直接グラフベースの評価と同じ結果をシーンが生成します。

評価マネージャの機能に関する詳細な説明のためのショート ムービーをここで視聴できます。

FG はシーン要素間のディペンデンシーを決定します。シーンの 2 つのノードが独立している場合、異なるプロセッサでのパラレル評価に対する優れた候補となります。

注: 場合によっては、ノードの実装が原因でシーン内のノードが独立していてもパラレル モードで評価できない場合もあります。この場合、ノードはそのさまざまな「スレッド安全性」レベルに応じて分類されます。
注: FBIK により評価マネージャでディペンデンシーが失われるため、FBIK を使用するアニメーションはシリアル評価に戻ります。FBIK は廃止されているため、全体インバース キネマティクスおよびリターゲットには HIK を使用します。

評価モード

エディタ > 設定/プリファレンス > プリファレンス > アニメーション > 評価(Editors > Settings/Preferences > Preferences > Animation > Evaluation)セクションから適切な評価モードを選択します。
DG
シーンにディペンデンシー グラフ ベースの評価モードを使用します。(詳細については、「ディペンデンシー グラフ」も参照してください。)Maya の旧バージョンでは、これが既定の評価モードでした。
シリアル(Serial)
評価マネージャを使用しますが、1 つのコアの評価(シリアル評価)に制限されます。シリアル(Serial)を使用して、ボトルネックを発見できるようにパフォーマンスに対するシーンの忠実度の優先順位をつけて、シーンのトラブルシューティングを行います。
注: DG モードよりもシリアル(Serial)評価モードの方がシーンの実行が遅くなることがあります。これは、シリアル(Serial)では DG モードよりも多くのノードが評価されるためです。この詳細な評価のために、シリアル(Serial)モードでシーンが正しくないように見えた場合、そのシーンが平行(Parallel)モードで適切に動作することはほとんどありません。

カスタム プラグインによりシリアル(Serial)モードで不適切な評価が行われる場合があります。

平行(Parallel)
評価を並列処理し、シーンを評価するために利用可能なすべてのコアを使用します。このモードでシーンに問題が発生した場合には、モードを無効にして前の標準の DG 評価モードに戻ります。

シーンをプロファイルしてパフォーマンスを向上させる」を参照してください。

既定ではこのモードはオンになっています。
GPU のオーバーライド(GPU Override)
評価マネージャと連携し、シリアル(Serial)または平行(Parallel)評価モードでデフォメーションを高速化します。シーンに標準の Maya デフォーマがある場合、またはメッシュ ジオメトリが高密度な場合、これによりパフォーマンスが向上します。結果は、シーン内のデフォーマとメッシュの密度によって異なります。
注: GPU のオーバーライド(GPU Override)は、ビューポート 2.0 でのみ動作します。OSX の Quadro 4000 グラフィックス カードでは動作しません。
評価グラフにコントローラを含める(Include Controllers in Evaluation Graph)
構築時に、評価マネージャでコントローラ メカニズムを使用した事前設定をアクティブ/無効にします。

評価モードの違い

リソースを大量に消費するタスクは、DGシリアル(Serial)平行(Parallel)モードでほぼ同じ長さの時間がかかります。たとえば、メッシュのデフォームに 0.5 秒かかるデフォーマを使用する場合、平行(Parallel)でこのデフォーマを評価してもパフォーマンスに変化はありません。

すべての EM または DG モードに同じボトルネックがある場合、この問題に対処することでパフォーマンスが向上します。プロファイラ(Profiler)を使用して各プロセスにかかる時間の長さをグラフで示します。

ただし、平行(Parallel)でのみ発生する問題がある場合には、共有リソースのコントロールと競合しながら複数のスレッドが一度に動作しようとするスレッド コンテンションの問題がシーンにある場合があります。

制限事項

一部の Maya 機能では、評価マネージャを使用したときに正しくない結果が生成される場合があります。たとえば、ビューポート 2.0(Viewport 2.0)モーション ブラーが有効になっている場合、またはシーンに特定のクラシック ダイナミクス(たとえば、パーティクル、クロス、リジッド ボディなど)が含まれる場合などです。
ヒント: 評価マネージャで問題が発生しているダイナミクス ノードのリストを返すスクリプトを実行することができます。「パフォーマンスを抑制するダイナミクス ノードを識別する」を参照してください。

既知の制限事項の一覧については、リリース ノートを参照してください。