FEA エディタでは常に、パーツ間の境界にある個別の節点が(複製されることにより)パーツごとに区別して扱われます。したがって、メッシュを(パーツごとに 1 つずつ)突き合わせると、2 つ以上の頂点が同一の座標に存在します。これらの一致した頂点では、接触タイプによって次のことが決定されます。
頂点の合併は、[モデルをチェック]操作の実行時、または解析の開始時([シミュレーションを実行])に行われます。解析タイプ、要素タイプ、接触タイプ、シミュレーション(SimMech または Nastran)の実行に使用されるプロセッサによっては、メッシュが接触パーツ間で一致する必要がある場合とない場合があります。
次の表は、アセンブリ内で隣接するパーツをギャップがゼロでフィットさせてモデリングする必要があるか、パーツ間で初期ギャップまたは干渉が、各種解析および接触タイプで許容されるかを示します。
| 解析カテゴリ | 表面間の初期ギャップまたは干渉が許容されますか? | |
|---|---|---|
| ネイティブの Simulation Mechanical (SimMech)ソルバー | Nastran ソルバー(注 A を参照) | |
| 線形解析 | いいえゼロのギャップ、ゼロの干渉(自由接触を除く)である必要があります。 | はい |
| 非線形解析 |
サーフェスと自由接触に関しては[はい]。 その他の接触タイプに関しては[いいえ]。 |
はい |
| 熱解析 | いいえゼロのギャップ、ゼロの干渉(自由接触を除く)である必要があります。 | はい |
| 静電解析 | いいえゼロのギャップ、ゼロの干渉(自由接触を除く)である必要があります。 | (該当なし) |
注 A: Nastran 溶接接触では、小さい初期ギャップがサポートされています。NASTRAN オフセット溶接とサーフェス(一般)では、接触タイプで大きい初期ギャップがサポートされています。 小さい初期干渉は、すべての Nastran 解析および接触タイプで許容されています。溶接およびオフセット溶接接触の場合、節点が接続され、サーフェスが相互に接着しているかのように動作するため、干渉が無視されます。 サーフェス(一般)接続の場合、スレーブ上の節点(2 次)接触サーフェスは、結果が計算される前の初期干渉を排除するために再配置されます。 したがって、干渉反力が発達しません。初期干渉は削除されます。
次の表は、SimMech ソルバー使用時の各種解析および接触タイプにおいて、隣接するパーツ間でメッシュを一致させる必要があるかないかを示します。
| 接触のタイプ | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 解析タイプ | [接着] | [溶接] | [自由/無接触] | サーフェス接触(注 4 を参照) | [エッジ接触] | [焼ばめ接触] |
| 線形解析、静的応力解析 | 一致または不一致(注 1 を参照) | 一致または不一致(注 1 を参照) | 一致または不一致 | 一致 | 一致 | 一致(注 5 を参照) |
| 線形解析、固有値解析、および固有値解析(応力硬化考慮) | 一致または不一致(注 1 を参照) | 一致または不一致(注 1 を参照) | 一致または不一致 | [スライド/接触なし]のみ(一致) | 不可 | 不可 |
| 線形解析、線形座屈解析、および過渡応答解析(直接積分) | 一致または不一致(注 1 を参照) | 一致または不一致(注 1 を参照) | 一致または不一致 | [スライド/接触なし]のみ(一致) | 不可 | 不可 |
| 線形解析、その他 | 一致または不一致(注 2 を参照) | 一致または不一致(注 2 を参照) | 一致または不一致 | [スライド/接触なし]のみ(一致) | 不可 | 不可 |
| 非線形解析 | 一致または不一致(注 3 を参照) | 一致 | 一致または不一致 | 一致または不一致 | 不可 | 不可 |
| 熱解析 | 一致または不一致(注 1 を参照) | 一致または不一致(注 1 を参照) | 一致または不一致 | 一致 | 不可 | 不可 |
| 静電解析 | 一致または不一致(注 1 を参照) | 一致または不一致(注 1 を参照) | 一致または不一致 | 不可 | 不可 | 不可 |
注 1: スマート接着を有効にした場合は、メッシュは一致または不一致となります。 スマート接着を使用しない場合、メッシュを接着するパーツに一致させる必要があります。
注 2:固有値解析の結果を使用する解析タイプ。したがって、これらの解析では追加の接触設定を必要とせずに、スマート接着(注 1 を参照)の利点を活用できます。
注 3: 非線形解析では、接着を実行するために結合サーフェス接触を使用している場合、メッシュが一致していなくても許容されます。(基本的な接触タイプはサーフェスであり、サーフェス接触の固有のタイプは結合になります。)結合サーフェス接触を使用していなければ、メッシュは一致している必要があります。この場合、接触のタイプは接着接触です。結合サーフェス接触は、接触ペアの右クリック メニューから[設定を編集]コマンドを使用して設定されます。結合接触の詳細については、「Simulation Mechanical の表面間接触オプション(非線形)」ページを参照してください。
注 4: 線形解析では、[サーフェス接触]列は、[サーフェス]、[スライドあり/接触なし]、[接触あり/スライドなし]の使用可能な 3 種類の接触タイプを示します。これらはすべてブラウザで選択可能です。最初のタイプ([サーフェス])のみを熱解析に適用できます。必要に応じて、熱サーフェス接触に熱抵抗を含めることができます。これにより、熱流動時の接触サーフェスの間に温度差が発生します。サーフェス接触タイプとオプションの設定は、非線形解析では異なります。詳細については非線形表面間接触ページおよび各種サブページを参照してください。
注 5: [焼ばめ接触]列では、[焼ばめ/スライドあり]および[焼ばめ/スライドなし]の使用可能な 2 種類の接触タイプを示します。パーツ間の干渉の量は、CAD ジオメトリ内で表現できます(パーツのオーバーラップとして)。Simulation Mechanical へのモデルのインポート時に、サーフェスは一致されます(ゼロの干渉、ゼロのギャップ)。つまり、ジオメトリから干渉は削除され、パーツ間のメッシュが一致しています。ただし、干渉の量は数値形式で保持されます。この詳細については、後述する「焼ばめ/スライドあり」および「焼ばめ/スライドなし」セクションを参照してください。
一致したメッシュ(等角メッシュまたは連続メッシュとも呼ばれる)は、Nastran ソルバーを使用してシミュレーションを実行するときは、どの解析タイプまたは接触タイプにも必要ありません。さまざまな Nastran 接触タイプと関連付けられているパラメータの詳細については、「Nastran 接触オプション」ページを参照してください。
ブラウザで最上位の[接触(既定: __)]設定に指定された接触のタイプは、モデルにグローバルに適用されます。 既定のタイプは、異なるタイプの明示的な接触ペアが作成されていない 2 つの接触サーフェスに適用されます(それにより既定が変更されます)。たとえば、1 つのアセンブリを構成するすべてのパーツが互いに接続されている(接触面ですべてのタイプの荷重を伝達できる)と想定される場合は、[結合]に設定されている既定の接触タイプをそのまま使用することができます。
既定の接触タイプを変更するには、[接触(既定: __)]を右クリックし、右クリック メニューから目的の接触タイプを選択します。
使用可能な接触のタイプについては、次のセクションで説明しています。
使用可能な接触タイプの選択肢は、解析タイプによって異なります。一覧にある接触タイプの選択肢が右クリック メニューに表示されていない場合、その接触タイプは現在の解析タイプでサポートされていません。
明示的な接触のエントリに対して[既定]コマンドを選択した場合は、グローバルな[接触 (既定: __)]設定で指定した接触タイプが使用されます。[既定]は、既存の接触ペアに対してのみブラウザで選択できます。したがって、明示的な接触ペアを作成する際は選択できません。
接着接触は、すべての要素タイプに適用できます。解析中、結合されている 2 つのサーフェスは完全に接触した状態が維持されるため、隣接するパーツ間では荷重が伝達されます。応力解析の場合は、サーフェス上の節点がたわむと、それに隣接するサーフェス上の節点も同じ方向に同じ量だけたわみます。また、熱伝達解析の場合は、接続されている各パーツでは温度が同じになります。その他の解析についても同様です。
メッシュが一致しないモデルで接着接触を使用するには、次の 2 つの方法が使用できます。
既定では、接着接触タイプは Nastran 溶接(対称)接触タイプにマップされます。 ただし、[接触オプション]ダイアログ ボックス内で次の Nastran 接触タイプの中から選択することができます。
溶接接触は、ブリック要素および 3D 要素に対して適用できます。[溶接]オプションを選択すると、接触サーフェスのエッジ上にある節点は、[結合]オプションが選択された場合と同じように処理されます。ただし、表面の内部にある節点は、[自由/無接触]オプションが選択されている場合と同じように処理されます。この接触タイプは、溶接ビードがパーツ接触面の外辺部に追加されるときの 2 つのパーツ間の接続をシミュレートします。荷重は、1 つのパーツから別のパーツに周長溶接を通じてのみ伝達されます。内部サーフェス節点は互いに他方と分離するか、他方に貫通することができます。
既定では、溶接接触タイプは Nastran 溶接(対称)接触タイプにマップされます。 ただし、[接触オプション]ダイアログ ボックス内で次の Nastran 接触タイプの中から選択することができます。
自由/無接触は、すべての要素タイプに適用できます。[自由/無接触]コマンドを選択すると、メッシュが一致している場合でも、接触ペアの各サーフェス上にある節点が結合して 1 つになることはありません。CAD モデルの場合は、必ずしもメッシュ マッチングが強制されるわけではありません。これらの節点では、パーツ間での荷重の伝達は行われません。応力解析の場合、各節点は反対側のサーフェスにある節点を基準にして変位することができます。熱伝達解析の場合、パーツ間での熱の伝達は行われません。その他の場合についても同様です。
サーフェス接触は、次のような要素タイプに対してのみ適用されます。またサーフェス接触は、次のような CAD ソリッド モデル、2D で作成されたメッシュ、および独自に作成したモデルにも使用できます。
[サーフェス接触]コマンドを選択していて、メッシュが一致している場合、節点と節点の間に長さ 0 の接触要素(ユーザが作成したギャップ要素に類似した要素)が配置されます。これらの節点は互いに離れることができますが、接触する際に互いを通り抜けることはできません。これらの各サーフェス上にある節点と節点の間に微小なラインを作成したとします。解析中、このラインが長くなっても、モデルには影響を及ぼしません。一方、長さが 0 になると、このラインはその時の動きに抵抗する剛性値を持つばねとしての役割を果たします。
[サーフェス接触]を使用した場合の解析は、反復処理が行われるため、接着接触を使用した場合の解析よりも実行に時間がかかります。この反復処理は、荷重によるたわみによってサーフェス上にある節点の各ペアが接触するかしないかを判定するために行われます。
サーフェス接触ペアに対して接触要素が定義されると、接触要素ごとに方向が計算されます。ネイティブの Simulation Mechanical ソルバーを使用した解析実行では、この方向の計算に使用される方法をコントロールすることができます。また、適用可能な接触タイプに摩擦を含めることができます。詳細については、「」ページの「摩擦タブSimulation Mechanical の接触オプション」セクションを参照してください。 Nastran 解析での、摩擦やその他の接触パラメータに関する情報は、「」ページの「一般タブNastran 接触オプション」セクションを参照してください。
線形材料による静解析で接触が使用される場合は、接触力を伝達する節点は元々接触していた節点と同じであり、かつ力の方向は元の法線方向に一致するとみなされます。つまり、たわみが生じても、接触している点や方向は変更されません(微小変形理論)。
メカニカル イベント シミュレーションまたは非線形静的応力解析の接触パラメータは、[接触オプション]ダイアログ ボックスで入力されます。 このダイアログ ボックスとそれに含まれるさまざまなオプションは、線形解析、熱解析、静電解析の接触設定とは非常に異なります。さらに、非線形解析では、静摩擦および滑り摩擦(動摩擦)を考慮することができます。(詳細については、「表面間接触」ページとその各種サブページを参照してください。)
熱解析におけるサーフェス接触では、サーフェスとサーフェスの間に厚みが 0 の 2D 要素または 3D 要素が作成されます。2 つのパーツ上にある節点は結合されないため、接触面全体が熱流束になるたびに、結合部をまたいで温度勾配を指定できます。
熱解析では、任意のサーフェス接触ペアに対して接触抵抗を定義することができます。この抵抗を使用して、接触領域での不完全な熱伝達係数と、結果となる接触サーフェス間の温度差をシミュレートします。また、この抵抗を使用して、電気絶縁体などの 2 つのパーツ間の薄膜をシミュレートすることができます。詳細については、「」ページの「熱解析タブSimulation Mechanical の接触オプション」セクションを参照してください。 Nastran 解析での、接触熱抵抗やその他の接触パラメータに関する情報は、「」ページの「一般タブNastran 接触オプション」セクションを参照してください。
サーフェス接触を持つ 2 つのパーツとそれ以外のパーツ(複数可)とが結合されている境界では、接触要素は作成されません。たとえば、パーツ 2 およびパーツ 4 が、互いのサーフェス接触として定義され、かつパーツ 1 に結合されているとします(図 10(a)を参照)。結合部の詳細図を見ると、パーツ 2 とパーツ 4 は互いに分離されており、そのギャップには 8 節点熱接触要素(3D モデルの場合)または 4 節点熱接触要素(2D モデルの場合)が追加されています(図 10(b)を参照)。ただし、パーツ 2 とパーツ 4 がパーツ 1 に結合されている位置には、接触要素は作成されません。
![]() (a) 3 パーツ モデルの例パーツ 2(P2)およびパーツ 4(P4)の間にはサーフェス接触が定義されています。どちらのパーツも、パーツ 1(P1)に結合されています。 |
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接触要素 (b)パーツ間の接触の詳細図熱接触要素は、パーツ間のあらゆる位置に作成されます。ただし例外として、パーツ 1 と接触する位置には、結合が存在するため作成されません。したがって、パーツ 2 とパーツ 4 の間の接触面積は、想定される面積よりも小さくなります。(便宜上、パーツ 2 とパーツ 4 の間のギャップは誇張して表示してあります。解析ではギャップは作成されません。) |
| 図 10: 熱接触の例 |
既定では、サーフェス接触は Nastran 一般(対称)接触タイプにマップします。 または、[接触オプション]ダイアログ ボックス内の[一般(非対称)]タイプを選択することができます。
接触サーフェスを法線方向に結合します。また、サーフェスは接線方向に互いにスライドできます。
既定では、スライド/分離なし接触タイプは、Nastran スライド(対称)接触タイプにマップします。 または、[接触オプション]ダイアログ ボックス内の[スライド(非対称)]タイプを選択することができます。
接触サーフェスを法線方向に部分的または完全に分離できます。ただし、接線方向に互いにスライドすることはできません。
既定では、接触/スライドなし接触タイプは、Nastran 分離/スライドなし(対称)接触タイプにマップします。 または、[接触オプション]ダイアログ ボックス内の[分離/スライドなし(非対称)]タイプを選択することができます。
[エッジ接触]コマンドを選択すると、接触サーフェスのエッジ上にある節点は、[サーフェス接触]コマンドが選択された場合と同じように処理されます。サーフェスの内部にある節点は、[自由/無接触]コマンドが選択された場合と同じように処理されます。つまり、接触は接触領域の周囲に沿って、サーフェスのエッジでのみ発生します。
[エッジ接触]は、Nastran ソルバーを使用するシミュレーション実行にはサポートされていません。
接触パーツ間に初期干渉がある[サーフェス接触]のように挙動します。干渉の量(フィットの強度)は、CAD ジオメトリから自動的に決定するか、手動で指定することができます。必要に応じて、接触サーフェス間の摩擦を含めることができます。適用可能な接触設定の詳細については、「」ページの「[焼ばめ]タブSimulation Mechanical の接触オプション」セクションを参照してください。
[焼ばめ/スライドあり]接触は、Nastran ソルバーを使用するシミュレーション実行にはサポートされていません。
接触パーツ間に初期干渉がある[接触/スライドなし]のように挙動します。フィットと摩擦の強度が、接触パーツ間の相対移動(スライド)を防止するのに十分である場合に、このオプションを選択します。放射状の干渉は、自動的に指定されるか(CAD ベースの場合)、または[焼ばめ/スライドあり]と同様に手動で指定します。詳細については、「」ページの「[焼ばめ]タブSimulation Mechanical の接触オプション」セクションを参照してください。
[焼ばめ/スライドなし]接触は、Nastran ソルバーを使用するシミュレーション実行にはサポートされていません。

