概要 - カスタムプログラムファイルにデジタル署名を行う

カスタムプログラムファイルにデジタル署名を行うことにより、ファイルの発行元および署名後にファイルが変更されたかどうかをユーザに知らせることができます。

カスタムアプリケーションを配布する前に、デジタル署名をサポートしており、AutoCAD ベースのプログラムにロードされる予定の各ファイルに署名を行うことを考慮する必要があります。カスタムプログラムファイルにデジタル署名を行うことは任意ですが、署名を行うことを推奨します。

次に、カスタムプログラムファイルにデジタル署名をアタッチすることの利点を概説します。

ワークステーションのセキュリティが強化されます。デジタル署名されたファイルをロードすることで、ユーザは、ファイルの発行元および署名後にファイルが修正されたかどうかを知ることができます。
ファイルを信頼できる場所以外の場所からもロードできます。ファイルをロードするたびに、[ファイルのロード - セキュリティの問題]メッセージボックスが表示されなくなります。既定では、「バンドル」内のファイルは信頼されません。
同じ発行元によって署名されたファイルはすべて信頼することができます。一度発行元が信頼されると、同じデジタル署名付きのカスタムプログラムファイルはすべて、自動的に信頼されます。
カスタムプログラムのセットアップおよび環境設定に要する手順の数が減るので、顧客経験が向上します。

デジタル署名が行えるカスタムプログラムファイル

次のカスタムプログラムファイル形式に、デジタル署名を追加することができます。

ARX: ObjectARX ファイル
CRX: Console Runtime Extension ファイル。ユーザインタフェースがない点以外は ARX ファイルに似ています。
DBX: ObjectDBX (Object Enabler)ファイル
DLL: メニューリソースライブラリまたは .NET アセンブリ
FAS: 高速ロード AutoLISP ファイル
MNL: メニュー AutoLISP ファイル
LSP: AutoLISP ソースファイル
VLX - Compiled AutoLISP プロジェクトファイル(MAKELSPAPP[LISP アプリを作成]および VLISP[VLISP エディタ]コマンド)

注: VBA プロジェクト(DVB)および JavaScript (JS)ファイルに、デジタル署名を行うことはできません。

カスタムプログラムファイルへのデジタル署名に必要なツール

カスタムプログラムファイルにデジタル署名を行うためには、特別なツールが必要です。必要なツールは、署名を行うファイルの形式に基づきます。次に、使用可能な 2 つのツールの概要を説明します。

AcSignApply.exe: AutoLISP ファイル(LSP、MNL、FAS、VLX)へのデジタル署名に使用します。このツールは、AutoCAD ベースのプログラムとともにインストールされ、Windows の[スタート]メニューまたは[スタート]画面からアクセスできます。
注: このツールは、DWG ファイルへのデジタル署名のアタッチにも使用できます。
SignTool.exe: バイナリ(ObjectARX および Managed .NET)ファイル(ARX、CRX、DBX、DLL)へのデジタル署名に使用します。このツールは、Windows SDK の一部であるため、AutoCAD ベースのプログラムと一緒にはインストールされません。Windows SDK の最新バージョンは、Microsoft の Web サイト(https://developer.microsoft.com/ja-jp/windows/desktop/)からダウンロードできます。

デジタル署名のアタッチのワークフロー

次に、AutoLISP ファイルまたはバイナリファイルにデジタル署名をアタッチする際に従う必要がある手順の基本を概説します。

AutoLISP ファイルに署名を行う

デジタル証明書を作成するか、ベンダーから取得します。
デジタル証明書を作成する方法については、「デジタル証明書を作成するには」を参照してください。
デジタル証明書を作成する場合は、PFX ファイルを作成してから、デジタル証明書をインポートします。
詳細は、トピック「個人情報交換(PFX)ファイルを作成するには」および「デジタル証明書をインポートするには」を参照してください。
[デジタル署名をアタッチ] (AcSignApply.exe)ツールを使用して、AutoLISP ファイルにデジタル署名をアタッチします。
AutoLISP ファイルに署名を行う方法については、「AutoLISP ファイルにデジタル署名を行うには」を参照してください。
新しく署名したファイルを AutoCAD ベースのプログラムにロードし、デジタル署名が認識されることを確認します。

バイナリファイルに署名を行う

デジタル証明書を作成するか、ベンダーから取得します。
デジタル証明書を作成する方法については、「デジタル証明書を作成するには」を参照してください。
デジタル証明書を作成する場合は、PFX ファイルを作成してから、デジタル証明書をインポートします。
詳細は、トピック「個人情報交換(PFX)ファイルを作成するには」および「デジタル証明書をインポートするには」を参照してください。
署名ツール(SignTool.exe)を使用して、バイナリファイルにデジタル署名をアタッチします。
バイナリファイルに署名を行う方法については、「バイナリ(ObjectARX または Managed .NET)ファイルにデジタル署名を行うには」を参照してください。
新しく署名したファイルを AutoCAD ベースのプログラムにロードし、デジタル署名が認識されることを確認します。