概要 - 現在のリリースと旧リリースのレンダリングの違い

レンダリング エンジンごとに照明やマテリアルの計算方法が異なるため、生成されるレンダリング イメージも異なります。

注: AutoCAD 2016 ベースの製品から、AutoCAD 2015 以前の AutoCAD ベース製品で使用可能な「旧形式」のレンダラの代わりに、新しいレンダリング エンジンが導入されました。この変更は、AutoCAD 2015 以前の AutoCAD ベース製品で作成した 3D モデルをイメージにレンダリングする際の方法に影響します。希望どおりの品質と外観のレンダリング イメージを生成するためには、3D モデルの照明、マテリアル、レンダリング設定を変更しなければならない場合があります。

次の表に、AutoCAD 2015 以前の AutoCAD ベースの製品のレンダラでサポートされている機能と、現在のバージョンのレンダラでサポートされている機能の比較を示します。

機能 旧形式のレンダラ 現在のレンダラ コメント
ユーザ定義の光源 X X
旧形式のレンダラ
一般照明とフォトメトリック照明がサポートされていました。一般照明を使用した場合(システム変数 LIGHTINGUNITS = 0)、光源ごとに減衰を設定できました。
現在のレンダラ
フォトメトリック、つまり物理ベースの照明のみがサポートされています。すべての光源は逆二乗方式で計算され、すべてのユーザ定義光源の減衰関連のプロパティを変更しても無視されます。
注: 照明と影が適切に計算されるようにするには、システム変数 LIGHTINGUNITS を 1 または 2 に設定する必要があります。AutoCAD の旧バージョンで LIGHTINGUNITS を 0 (ゼロ)に設定すると、光源に対して異なるオプションを指定しても、光源は逆二乗減衰を使用して計算されます。LIGHTINGUNITS を 0 に設定してレンダリングしたシーンは、暗いイメージとなる可能性があります。最終的なレンダリング イメージを明るくするには、シーン内の光源の強度を調整するか、イメージ ベースの照明を使用します。
注: システム変数 FACETRES の現在の値は、シーン内の光源によって生成される影の品質に影響することがあります。
影を投じる、受ける X /
旧形式のレンダラ
影の生成は、光源ごとにコントロールすることができました。影を投じたり影を受ける能力も、オブジェクトごとにコントロールすることができました。
現在のレンダラ
すべての光源は影を生成します。個々のユーザ定義光源の影に関連するプロパティは無視され、すべてのオブジェクトはシーンで影を投じ、かつ影を受けます。
注: ユーザ定義光源の影に関するプロパティが無視されるだけでなく、図面内のすべてのグラフィカル オブジェクトの[影による表示]プロパティの現在値も無視されます。
背景 X X 塗り潰し色、グラデーション塗り潰し、イメージ ベース、日照と上空の背景がサポートされます。両方のレンダラがサポートしているカスタム 2D 背景に加えて、現在のレンダラはイメージベースの照明(IBL)マップの使用をサポートしています。IBL マップは、カスタム 2D 背景と組み合わせることができます。
注: 日照と上空の背景タイプを使用するには、視点をパースに設定しなければならず、平行であってはいけません。
日照と上空ベースの照明 X X 日照と上空ベースの照明はサポートされています。
旧形式のレンダラ
次の 3 種類の状態すべてをサポートしています。
  • オフ
  • 上空の背景
  • 上空の背景とイルミネーション
現在のレンダラ
次の 2 種類の状態のみをサポートしています。
  • オフ
  • 上空の背景とイルミネーション
レンダリング プリセット X X レンダリング プリセットは、両方のレンダラでサポートされ、旧バージョンとの互換性を維持するために別々に保持されます。旧形式のレンダラのレンダリング プリセットは現在のレンダラと互換性がなく、現在のレンダラ用に作成したレンダリング プリセットは旧形式のレンダラと互換性がありません。
マテリアル X X マテリアルは、レンダリングする前に、作成してオブジェクトにアタッチすることができます。
注: 旧形式のレンダラで使用する目的で作成したマテリアルを現在のレンダラで使用する際は、更新が必要な場合があります。たとえば、真っ白なマテリアルは明るすぎるレンダリング イメージとなる場合があります。
イメージ ベースの照明(IBL) -- X 現在のレンダラは、イメージ ベースの照明の使用をサポートします。イメージ ベースの照明は、シーンの計算される光源に影響し、レンダリング イメージの背景に適用することもできます。
露出/トーン マッピング X X
旧形式のレンダラ
対数型露出をサポートしていました。ビューポートまたはレンダリング イメージの照明の、全体的な明るさ、コントラスト、中間トーンの値は調整することができました。
注: 露出は、フォトメトリック照明が有効になっている場合(システム変数 LIGHTINGUNITS = 1 または 2)にのみサポートされました。
現在のレンダラ
写真露出をサポートします。レンダリング イメージの露出とホワイト バランスを調整することができます。
霧と距離感 X -- 霧と距離感により、オブジェクトがカメラから遠ざかるにつれてフェードするように見えます。
ウィンドウへのレンダリング X X 現在のビューを別のウィンドウにレンダリングすることができます。
ビューポートでのレンダリング X X 現在のビューを現在のビューポートにレンダリングすることができます。
領域レンダリング X X 矩形の領域を指定し、現在のビューポートにレンダリングすることができます。
オンライン レンダリング X X 3D モデルをオンライン レンダリング サービスにアップロードすることができます。レンダリング計算はレンダリング サービスによって行われ、レンダリング イメージが返されます。
注: レンダリング サービスはフォトメトリック照明のみをサポートしており、製品の現在のリリースのレンダリング エンジンと同様のレンダリング エンジンを使用します。