[モーション パラメータ](Motion Parameters)ロールアウトを使用すると、スピードや加速など、代理オブジェクトの特性を指定できます。また、代理オブジェクトを Biped に関連付けることもできます。
重要: 代理オブジェクトを Biped とともに使用する場合、Biped ではスピードや回転情報をすべてモーション フロー クリップおよび動作から取得するため、[Biped]領域の設定のみがシミュレーションに影響します。
インタフェース

- 速度カラー
- [速度を表示](Show Velocity)がオンの場合、シミュレーションの計算中に代理オブジェクトの中心に、ここで指定した色でベクトルが描画されます。ベクトルの長さは、代理オブジェクトの相対スピードを示します。既定値は黒です。
- アクティブ化
- 代理オブジェクトオブジェクトは、群集オブジェクトによってコントロールされます。既定値ではチェックマークが付いています。
- フォースを表示
- 適用可能な動作から代理オブジェクトに適用されている力は、ベクトルとして描画されます。ベクトルの長さはフォースの範囲を、方向は動作が代理オブジェクトの移動に影響する方向を示します。既定値ではチェックマークが付いています。
たとえば、スペース ワープ動作とさまよい動作の影響を受ける代理オブジェクトは、既定値の色を使用していれば、それぞれ黄色と青緑色で表示されます。これらのベクトルは、群集シミュレーションの解決時にのみ表示されます。
- 速度を表示
- 速度カラー(上記参照)を使って、長さによって代理オブジェクトの相対スピードを示すベクトルを描画します。このベクトルは、群集シミュレーションの計算中にのみ表示されます。既定値ではチェックマークが付いていません。
- 認識機能コントロール状態を表示
- 計算中は、認識機能コントローラの状態名または現在動作を主導しているトランジションの名前が、代理オブジェクトの横のラベルに表示されます。既定値ではチェックマークが付いています。
- XY 平面にコンストレイント
- シミュレーションの間、代理オブジェクトは最初の高さ(ワールド Z 軸上の位置)から動きません。オフの場合、オブジェクトを別の高さで探査するときなど、代理オブジェクトの高さがシミュレーションの間に変わる可能性があります。既定値ではチェックマークが付いています。
- 階層のバウンディング ボックス
- オンの場合、回避動作は代理オブジェクトとそのすべての子の境界ボックスを使用して、動作を実行します。既定値ではチェックマークが付いています。
[速度](Speed)領域

- 平均スピード
- 代理オブジェクトのベースライン速度を、1 フレームあたりの3ds Max 単位(または現在の単位タイプ)で指定します。 既定値は 5.0 です。
代理オブジェクトのスピードは、シミュレーション中に、リンクされた Biped に組み込まれているスピード、動作の偏差設定など、さまざまな係数で変更することができます。
- [最大加速](Max Accel)
- 平均スピードに掛けて、最大加速を決定します。既定値は 0.1 です。
たとえば、[平均スピード](Average Speed)の既定値が 5.0 で[最大加速](Max Accel)の値が 0.1 だとすると、加速または減速は常に 0.5 単位/フレーム/フレーム以下になります。
- [減速の重み](Decel Weight)
- 代理オブジェクトが方向を変えるときにどれだけ減速するかを指定します。
この設定値が大きいほど、回転角度に到達したときのスピードは遅くなります(次のパラメータを参照)。値が 0 の場合、代理オブジェクトは減速しません。値が 1 の場合、代理オブジェクトは停止します。既定値は 0.3 です。
代理オブジェクトの回転角度が 0 からユーザ指定の回転角度に変化すると、0 から(1 - 減速の重み)に線形に変化する値 d が、アルゴリズムにより計算されます。その後、代理オブジェクトのスピードに d の値を掛けます。たとえば、代理オブジェクトが回転角度以上で回転するとき、そのスピードは 1 - 減速の重みを掛けた値になります。このパラメータに基づいて、できるかぎり減速されます。代理オブジェクトが回転しない場合には、そのスピードは減速の重みの影響を受けません。代理オブジェクトが指定された[回転角度](Turn Angle)の半分で回転する場合(d = 減速の重み/2)、そのスピードには(1 - 減速の重み/2)を掛けます。
実際的な例として、代理オブジェクトを 10 単位/フレームで移動させます。[減速の重み](Decel Weight)を 0.4、[回転角度地点](At Turn Angle)を 30 に設定したとします。代理オブジェクトが 15 度([回転角度地点](At Turn Angle)の値の半分)回転すると、有効な減速の重みは 0.2 になります。1 からこれを引いた値である 0.8 を代理オブジェクトのスピードに掛ければ、半回転時のスピードは 8 単位/秒ということになります。完全に回転(30 度)すると、代理オブジェクトは 6 単位/フレームで移動します。
- 回転角度地点
- [減速の重み](Decel Weight)の完全な減速効果が適用される回転角度を指定します。既定値は 10.0 です。
現在の回転が[回転角度地点](At Turn Angle)の値より小さい場合、[回転角度地点](At Turn Angle)の値を現在の回転角度で割り、その結果で[減速の重み](Decel Weight)の設定値を割って有効な減速の重みを計算します。
- [減速の重み](Decel Weight)
- 代理オブジェクトが斜め上方に移動するときにどれだけ減速するかを指定します。既定値は 0.1 です。
詳細な説明については、減速の重みを参照してください。
- 傾斜角度地点
- [減速の重み](Decel Weight)の完全な減速効果が適用される上方向の傾斜角度を指定します。既定値は 90.0 です。
- [加速の重み](Accel Weight)
- 代理オブジェクトが斜め下方に移動するときにどれだけ加速するかを指定します。既定値は 0.1 です。
[加速の重み](Accel Weight)により減速ではなく加速効果が生み出せることを考慮した詳細な説明については、減速の重みを参照してください。有効な加速の重みは、1 から引くのではなく 1 に足します。
- 下傾角度地点
- [加速の重み](Accel Weight)の完全な加速効果が適用される下方向の傾斜角度を指定します。既定値は 90.0 です。
[回転](Turning)領域
これらのパラメータは、代理オブジェクトの回転動作に影響します。つまり、群集動作に適用されたフォースに応じて方向を変化させます。
[方向動作](Orientation behavior)を使用して、代理オブジェクトがどのように回転および傾くかを、実際に通過するパスとは独立して、操作することができます。
回転は、地上および空中の両方で移動するオブジェクトに適用されます。
- 最大回転速度
- 代理オブジェクトがフレームごとに回転できる最大の角度を指定します。ヘッディングおよびピッチの両方に適用されます。既定値は 30.0 です。
- 最大回転加速
- 代理オブジェクトのヘッディングまたはピッチ角度がフレームごとにどれだけ変化するかを指定します。角加速および角減速を制御します。スムーズに回転させるには、比較的小さい値にします。既定値は 3.0 です。
ヒント: シミュレーションで代理オブジェクトの回転が緩慢な場合は、[最大回転速度](Max Turn Velocity)または[最大回転加速](Max Turn Accel)のいずれか、あるいは両方を増加します。
- 最大傾斜
- 代理オブジェクトがフレームごとに上昇できる最大の角度を指定します。たとえば、ほとんどの鳥はまっすぐ上に上昇することはできないので、鳥に対してこの値を 45 に設定するなどします。既定値は 90.0 です。
- 最大下傾
- 代理オブジェクトがフレームごとに下降できる最大の角度を指定します。既定値は 90.0 です。
たとえば、まっすぐ上に上昇することはできないがまっすぐ下に飛ぶことのできる鳥に対しては、[最大傾斜](Max Incline)を 45、[最大下傾](Max Decline)を 90 に設定します。
[バンク](Banking)領域
これらのパラメータは、代理オブジェクトのバンク動作、つまり移動中に方向を変化させた場合の前後を結ぶ軸を基準とした傾きに影響します。バンクは、通常空中または水中を移動するオブジェクトに適用されますが、一輪または二輪の乗り物など、地上で移動するオブジェクトにも適用できます。
- 最大バンク
- 代理オブジェクトが傾くことができる最大度数を指定します。既定値は 30.0 です。
- 最大バンク速度
- 代理オブジェクトがフレームごとに傾くことができる最大の角度を指定します。既定値は 3.0 です。
- 回転ごとのバンク
- 回転角度の機能として代理オブジェクトが現在のフレームで傾く度数です。たとえば、[回転ごとのバンク](Bank Per Turn)が 1 の場合、代理オブジェクトは所定のフレームで 1 度回転するごとに 1 度傾きます。既定値は 1.0 です。
[Biped]領域
これらのパラメータは、代理オブジェクトに関連付けられた Biped の使用に関連します。Biped が代理オブジェクトの進路にしたがう際にキャラクタ アニメーションが表示されるようにするには、モーション フロー方法を使用しなければなりません。手順は、群集シミュレーションで Biped を使用するを参照してください。
- Biped を使用
- 代理オブジェクトを Biped に関連付け(このチェックボックスの下のボタンで指定)、代理オブジェクトのスピードを Biped の既存のモーションの速度で決定します。 代理オブジェクトの動作(他のオブジェクトを探すなど)は、引き続き群集オブジェクトにより定義されます。
注: このチェックボックスは、ボタンを使用して Biped を指定するまで使用できません。
- Biped ボタン
-
クリックすると、Biped を選択して代理オブジェクトのモーションと関連付けることができます。 Biped を選択する前は、このボタンのラベルには[なし](None)が表示されています。 Biped を選択した後は、その Biped 名が表示されます。
Biped を選択するには、ビューポートでその重心オブジェクト(たとえば Bip001)をクリックします。 また、[オブジェクトを選択](Pick Object)ダイアログ ボックスも使用できます。このダイアログ ボックスは、[H]を押すか、ツールバー ボタン
([名前による選択](Select By Name))をクリックすると開きます。 [選択フロータ](Selection Floater)は使用できません。
ヒント: ビューポートを使用した場合、マウス カーソルが Biped の重心に置かれると、十字に変わります。
- 開始フレーム
- Biped の最初のクリップが再生を開始するフレームを指定します。
複数の Biped が同じ開始クリップを共有している場合に、各 Biped に異なる開始フレーム値を設定すると、Biped の歩行がそろいません。このオプションは、[複数の代理オブジェクトを編集](Edit Multiple Delegates)ダイアログ ボックスの機能を活用して、各代理オブジェクトの開始フレームをランダムに選択する場合に便利です。
- 優先順位
- 代理オブジェクトの優先順位を設定します。これは、Biped または代理オブジェクトのシミュレーションでのソリューションの順番になります。
詳細については、[優先順位](Priority)ロールアウトを参照してください。
- 最初のクリップの選択方法
- 群集で代理オブジェクトにリンクされた Biped をアニメートするために最初に使用する、共有モーション フロー グラフ内のモーション クリップを決定します。
- [現在のスクリプトの最初のクリップ](First clip of current script) スクリプトが存在する場合、Biped のモーション フロー スクリプトの最初のクリップを使用します。スクリプトが存在しない場合にこのオプションをオンにすると、エラー メッセージが表示されます。
- [ランダムな開始クリップ](Random start clip) ランダムな開始クリップが指定されている場合、ランダムな開始クリップまたは共有モーション フロー グラフで指定されたクリップを使用します。ランダムな開始クリップが存在しない場合にこのオプションをオンにすると、エラー メッセージが表示されます。