AutoCAD Civil 3D では、オブジェクトは、設計図面を作成するための基本構成要素です。
AutoCAD Civil 3D のオブジェクトに対応するプログラム コードには、オブジェクト指向のアーキテクチャが使用されています。このため、図面内の設計図形(ポイントやサーフェスなど)は、他のオブジェクトとの関係を保持するインテリジェント オブジェクトです。たとえば、平面線形が修正された場合、その線形を基にしている縦断および横断は、自動的に変更されます。
土木工学の設計コンポーネントを作成するための AutoCAD Civil 3D の主要なオブジェクト タイプとそれを示すアイコンは次のとおりです。各オブジェクトの詳細は、対応するリンクをクリックしてください。
これらのタイプのオブジェクトは、使用するときに、グラフィック オブジェクトやシェイプ(パイプ ネットワーク、サーフェス、コリドーなど)が図面に挿入されるため、グラフィック オブジェクトまたは図面オブジェクトと呼ばれることもあります。
オブジェクト プロパティの詳細にアクセスしたり、設定を行うには、[ツールスペース]の[プロスペクター]タブおよび[設定]タブを使用します。詳細は、「[ツールスペース]ウィンドウ」を参照してください。
基本的なオブジェクトの動作の詳細は、『AutoCAD ヘルプ』を参照してください。
AutoCAD Civil 3D オブジェクトは、他の AutoCAD Civil 3D オブジェクトと相互作用して設計プロセスを自動化します。
設計チームの中で、サーフェス、線形、縦断、横断、その他の設計データについてリビジョンが正しく転送されているかどうかの確認に時間がかかってしまう場合があります。再び作図したり、ラベルを付けたり、確認を行うと多くの時間が必要になります。AutoCAD Civil 3D は、設計オブジェクト間の動的なリンクを使用し、こうした作業に要する時間を大きく軽減します。リンクおよび依存関係のシステムは、アプリケーション設計のオブジェクト モデルから派生しています。
フィールド データを基に、現況地盤サーフェスの生成に使用されるポイントのセットが作成されます。このサーフェスは、矢印で示されているとおり、他のオブジェクトにより参照されます。
区画、現況地盤サーフェス、パイプ ネットワークおよびグレーディングは、単独で作成したり、図に示されていないデータ ソースから作成することができます。通常、そのようなオブジェクトは初期の段階または設計プロセスで他のオブジェクトにリンクされています。
コリドーは、サーフェス、線形、縦断、アセンブリ(および通常は複数のサブアセンブリ)のデータを必要とするため、最も複雑な関係のセットを含むオブジェクト タイプです。
どのオブジェクトを変更しても、矢印に沿って下位オブジェクトに変更が反映されるため、結果を予測できます。たとえば、現況地盤サーフェスの標高を修正した場合、関連するグレーディング オブジェクトやパイプ ネットワーク、コリドー、縦断のフローがすべて更新されます。これに伴い、ラベルおよびテーブルに表示される値もすべて更新されます。
設計プロセスで線形を作成した後、多数の縦断や横断を作成できます。ただし、縦断ビューおよび横断ビューに縦断と横断を表示するかどうかは任意であり、最終サーフェスの作成に必要なデータのフロー(反映)とは関係ありません。同様に、区画や線形などのオブジェクトのデータは、必要に応じて、テーブルまたはレポートに出力することができます。
このオブジェクト モデルでは、あるオブジェクトへの変更を、関連付けられたオブジェクトに自動的に反映することができます。たとえば、線形曲線を再度設計した場合、その線形を基線として使用しているすべてのグレーディングも、適宜変更されます。また、関連する測点、ラベル、その他の線形固有のデータも更新されます。
次の表に、各タイプのオブジェクトを編集した場合に更新されるオブジェクトを示します。
編集するオブジェクト タイプ | 更新されるオブジェクト |
ポイント | サーフェス |
サーフェス | グレーディング、縦断、パイプ ネットワーク、コリドー |
区画 | グレーディング、コリドー |
線形 | グレーディング、区画、コリドー、縦断、横断、パイプ ネットワーク、交差点 |
縦断 | 交差点 |
グレーディング | サーフェス、コリドー |
サブアセンブリ | アセンブリ、コリドー |
アセンブリ | コリドー |
パイプ ネットワーク | サーフェス、線形 |
計画線 | グレーディング |
横断抽出ライン | 横断、土積図 |
図面オブジェクトと、その表示を制御するスタイル、および注釈を制御するラベルの間には、関連性が存在します。こうしたスタイルおよびラベルもまた、AutoCAD Civil 3D ではオブジェクトとして管理されています。
多目的スタイル コレクションを使用し、複数のオブジェクト タイプで使用可能な特定のスタイルを作成できます。
たとえば、[勾配パターン]スタイルはグレーディングとコリドーで共有でき、[マーカー]スタイルはポイントと測量のコンポーネントで共有できます。